「パリ協定」離脱表明撤回をトランプ大統領に要望しました
今年も異常気象の猛威は各国の国民の暮らしを脅かしています。日本では「50年に一度の大雨」が4回も降りました。アメリカでは、ハリケーン・「ハービー」が数日間で1300㍉を越す大雨を記録し、貯水池や湖の堤防が決壊したヒューストンでは町が浸水して犠牲者と被害が起きています。テキサス州の市民は避難生活を今でも強いられています。
海水温度の上昇が主な原因として言われていますが、地球温暖化にブレーキをかけていこうとする「パリ協定」の離脱表明したアメリカ大統領・トランプさんは、このような現実に直面していても離脱表明を撤回し、世界の人々の暮らしを脅かしている根本的な原因に迫ろうとしていません。
当委員会は、7月30日の第二回理事会で審議・決定した「バリ協定」離脱表明の撤回をトランプ大統領と駐日アメリカ大使館へ要望しました。
アメリカ合衆国大統領 ドナルド・ジョン・トランプ 殿
駐日アメリカ合衆国大使 ウィリアム・F・ハガティ 殿
「パリ協定」離脱表明の撤回を要望します
去る26日のハリケーン「ハービー」上陸による被害にお見舞い申しあげます。
貴国は、温室効果ガス排出国世界第2位であります。その貴国が実質的な温室効果ガスの排出ゼロに向けた世界全体の気候変動対策を決めた『パリ協定』を離脱することは、世界各国を裏切る背信行為だと言わざるを得ません。さらに、その意味は世紀末の生存を危うくする暴挙であり、未来を生きる子供たちの生活基盤を奪うことです。貴国のパリ協定からの離脱表明の撤回を強く要望するものです。
トランプ大統領は日本時間6月2日午前4時すぎ、「アメリカ、そして米国民を守る重要な義務のため、アメリカは『パリ協定』から離脱する」と表明、8月4日には、アメリカ政府は正式に国連に「パリ協定」離脱の通知を発表しました。
トランプ大統領は、大統領選挙期間中に「(温暖化が)中国によって中国のためにでっち上げられた」デマだと主張しました。
しかし、地球上では海水温度の上昇が続き、想定外の大雨と洪水そして強風や干ばつが各国で荒れ狂い、世界各国の国民の暮らしと命を脅かしています。同時にそれは、生態系の破壊や変化を強い、やがてそれは全世界の政治経済問題に発展することでしょう。この生存の危機意識が世界の共通認識であり、全世界は地球温暖化に真正面に向き合って、温室効果ガス削減の取り組みをしていくことが、今まさに「待ったなし!」です。190カ国以上の国と地域が利害を超えて合意したのが、歴史的な『パリ協定』です。
貴国でも国民の6割が『パリ協定』からの離脱に反対し、州知事や大企業のトップも異を唱えています。全世界の国民がアメリカ政府に望んでいることは、「アメリカ・ファースト」と称して自国の利益を優先する傲慢な政治ではなく、「人類ファースト」へのチャレンジと英断です。温室効果ガス排出国世界第二位のアメリカの責務を果たしていただきたい。
私たち市民も人類の責務として地球温暖化にブレーキをかける暮らし方にシフトしていくことを明らかにします。
2017年8月31日
NPO法人森びとプロジェクト委員会 理事長 岸井 成格
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