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2021年10月19日 (火)

林野庁に「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」に関する要望書を提出

本日10月19日は、林野庁を訪問し「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」に関する要望書を天羽隆林野庁長官に提出しました。

Dsc00816 【織田央林野庁次長に要望書を手渡す】
  日本をはじめ世界各国で気候変動による異常気象が発生し国民の暮らしが脅かされています。今年8月9日、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は第6次評価報告を公表し、「温暖化は人間活動によるもの」と断定しました。国連のアントニオ・グデーレス事務総長は「IPCC報告書は人類に対する警告だ。温室効果ガスの排出が地球を窒息させ、何十億もの人たちを差し迫った危険のもとにさらしている」と危機感をあらわにしています。いま、この地球上で生存を持続するためにはその基盤を健全にすることが世界中の人々の何よりも早く取り組まなければならない課題です。

Dsc00817【織田林野庁次長に要望書の趣旨を説明】

 私たちは温暖化にブレーキをかけられないかと栃木県足尾町の銅山跡地、岩手県八幡平松尾鉱山跡地、福島県南相馬市の「鎮魂復興市民植樹祭」での森づくりを行っていますが、市民レベルの森づくりでは、急速にすすむ気温上昇にブレーキをかけることは出来ません。

Dsc00423【栃木県日光市足尾、渡良瀬川源流の松木での森づくり】

Dsc00708【岩手県、八幡平での森づくり】

  本日、森びとプロジェクトからは川端森林アドバイザー、清水運営委員会副代表、大野運営委員が訪問しました。お忙しい中、織田央(おりたひろし)林野庁次長、小坂善太郎林野庁森林整備部長、橘政行林野庁国有林野部長が面会して下さり、林野庁として取り組むカーボンニュートラルに向けた政策や私たち森びとプロジェクトの要望書に対する考え方をお聞きすることができました。

Dsc00820【小坂善太郎林野庁森林整備部長に要望書を手渡す】

Dsc00825【小坂森林整備部長より2050年カーボンニュートラルに向けたお話を伺う】
 世界各国が「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」に舵を切る中で、日本政府が目指す2030年度までに2013年度比46%削減目標達成に向けて林野庁としても「地球温暖化対策計画」を立案していることを伺いました。林野庁としては当初2%削減を目標としましたが、中長期的な森林吸収量の確保・強化を図り2013年度総排出量比約2.7%へと削減目標を高め、国民運動として10年間で1億本の木を植える計画など、温室効果ガス(CO²)を吸収する森をつくり育てるプロのお話を伺うことができました。

Dsc00831【橘政行林野庁国有林野部長に要望書を手渡す】

Dsc00829【橘国有林野部長より温室効果ガス吸収源の森の育成など林野庁の取り組みを伺う】 

 行政と市民が連携し、生存可能な地球基盤を守るために森を元気にする活動を推し進めていきたいと思います。お忙しい中、森びとプロジェクトの要望書提出に対応していただきました、林野庁の関係者の皆さまありがとうございました。

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<政府・林野庁への要望>

 1、政府、林野庁は、IPCC第6次評価報告書第I作業部会報告書を受け入れ、「2050年カーボンニュートラル」の具体案に以下を加えてください。

①世界の気温上昇を2040年までに1.5度以下に抑えられる日本の二酸化炭素排出量の削減目標を2013年度比50%以上に設定する。

②衛星解析から日本列島の炭素吸収基盤(カーボンシンク)に値する森林を抽出し、吸収する炭素量を明らかにするとともに、炭素吸収基盤を増やす目標を具体的に策定し、実行する。

2、政府、林野庁は「2050年カーボンニュートラル」の具体策として、自治体と国民の心がひとつになる行動を提案します。

①「全国CO2 削減デー」(仮称)を設けて、全国一斉にネオンを消す。さらに、化石燃料を燃焼する車を運転しない日を設け、実施する。

②国民に「エコ休暇」(仮称)を取得させ、全ての国民が大地の森と海の森を健全にする活動に「エコ休暇」(仮称)を活用する。

3、「カーボンシンク」(CO2の吸収量が排出量を上回る)に値する森林の拡大を図るために全国の経済林の見直しを進めると共に耕作放棄地、休耕田、荒廃地等に多様な生態系の森をつくるためにふるさとの木を植える。この事業では安定した雇用の場を確保する。この具体的な政策が国民運動の森づくりに繋がることを期待します。

①国民運動の森づくりの栃木県版として、日光市足尾町の足尾銅山跡地の治山、緑化が済んでいない地・荒廃地に木を植える県民運動を実施する。

②八幡平市松尾鉱山跡地(国有林)の土壌改良を行い、雪に耐えうる落葉広葉樹を植え、育樹活動を行う国民運動の岩手県版として森づくりを実施する。

 4、政府の脱炭素社会に向けたエネルギー政策は、原発に頼らず、森林生態系を破壊しない再生可能エネルギーによる脱炭素社会づくりを急いでください。自然環境を資本とする社会を目指し、生活上の差別や格差を国民に強いることなく、誰もが自然資源を共有でき、誰もが取り残されない脱炭素社会環境を整えてください。

 (報告:清水 卓)

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