森と人の共同作業が叶える本物の“幸せ”?
この頃、寒暖差が激しく感じる。森の中ではストーブの暖が欲しくなるが、ニットの上着を着れば寒さはなんともない。森の中では、エゾハルゼミの大合唱団が歌っている。
木々は蜂、蝶等の虫たちに支えられて、あるいは森がつくった風によって受粉がなされ、小さな実を付けている。この実にとっては寒暖差が気に入っているのか、いつもより早く、実を大きくしているようだ。
やがてこの実は、森の住人たちの大切な栄養源となり、それは命を育むことに結びつく。勿論、人間にも有り難い木々からの贈り物だ。
筆者は、ナナカマドとナツハゼを果実酒に、エゴノキは野鳥の餌に、ヤマグワ、スグリ、オオカメノキの実は熟した時に食す。ノイチゴとキイチゴは朝のジュースに混ぜて美味しくいただく。
佐渡市では今月1日、野生で育ったトキが42年ぶりにひなを巣立ちさせた。もうひとつのペアも2羽のひなを育てているという。間もなく、巣立ったひなは地上で餌をとるようになる。
巣立ったひなが餌を探せるには、人間の我慢と努力があったに違いない。農作物の生産をあげるための農薬などの使用を制限し、冬でも田で餌を探せるようにしてきた人間の努力に、自然の力は加勢してくれたのだろう。
ニュースを読んでいると、42年間の自然と生きる暮らしをしてきた地元の方々の笑顔が行間に浮かんでくる。その顔は、幸せそうである。人のために、社会のために自分の欲をセーブして、他を支え合う労働の結晶が幸せの笑顔をつくっているようだ。
森の恵みに感謝である。(理事 髙橋佳夫)
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