2025年3月 8日 (土)

厳冬期の森作業と足尾の歴史を知る

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  本日(3月8日)の足尾・松木沢の気温はマイナス3℃(9時20分)で曇りです。風が無いので寒いとは感じませんでしたが温度計を見て驚きました。作業小屋のヤカンの水も凍っていました。

Dsc00466 森作業は、先日撤去したビニールハウス1棟の跡地の整地です。橋倉さんと二人で石をビニールハウスの脇に並べて、ハウスの中に雨水が少しでも入らないように作業をしました。地面は、雪解けで土が柔らかでしたので順調に整地作業が進み昼には終わりました。Dsc00471_3

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 昼食後は、「みちくさ」で乾燥したハーブのお茶を飲みながら「襤褸の旗(らんるのはた)」を鑑賞しました。

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Dsc00476 本日の作業者は、橋倉さんと筆者でした。  (報告者:済賀正文)

2025年3月 1日 (土)

本気の本気で森づくりに取り組む!

 2/25、約1か月ぶりの森作業集中日に参加しました。(詳細はHPの森びとブログをご覧ください。)
 ひと月空いたのは、前回の作業日(2/9)に、足尾・松木郷も大雪に見舞われ、安全第一を優先し作業中止の判断をせざるを得なかったからです。この大雪は、南米海域がラニーニャ現象で高温になり、影響を受ける対馬海流が日本海の水温を上げ、大量の水蒸気を発生、北極からの最強寒波に冷やさ
れ、記録的な大雪をもたらしたようです。加えて、長期間の同じ地域への降雪は、夏によく発生する「線状降水帯」が冬に起きているという事です。大雪は、各地でホワイトアウトによる交通事故、鉄道の混乱、雪下ろし中の落下や雪の下敷き等、多数の事故により尊い命が奪われ、高齢世帯では生活が困窮する事態に見舞われました。

2 また、気象庁は「今夏、気温は平年より高い予想・・・『また猛暑』となる見込み」と発表しました。大雪に関連する犠牲者に加え、熱中症による死亡も想定される猛暑の再来は、特に高齢者等、社会的弱者に犠牲を強いることになります。長年、健康に留意しつつ社会に貢献されてきた方々が、雪に埋もれて人生の最後を迎えるなどあってはならない。大雪で先が見えない中、不安に苛まれながらの運転、そして事故などあってはならない。何とか、気候崩壊を克服しなければならない。 

1 森は、温室効果ガスである二酸化炭素を吸収し、人間にとって必須である酸素を供給することに加え、大雨時にダムとして機能し、土砂流出を防止し、真夏の気温を低下させ、多くの動植物の生活の場となるなど、地球環境保全機能を備えています。地球環境を維持し、激甚化する自然災害から「命」を守り、子や孫に繋いでいくためには、「森」の育成が絶対的に必要だということです。ここまで地球を危機的状況に追い込んでしまった私たち人間が、何を成すべきか。まさに20年前の先達の先見性が如何に優れていたか。スタッフが森に学び、積み上げてきた20年の森づくりが如何に正しかったか。そしてこれからの20年、森に学びながら森づくりを実践し、自立して生長していける本物の森=母なる森になるよう、一つ一つの活動を積み上げていかなければならない。身体を動かすことが好きな私は、65歳で退職後老化防止のために森づくりのお手伝いをする感覚で、森びとプロジェクトに関わろうとしていました。しかし、老化防止云々と言ったレベルで本物の森は作れないし、失礼であると思った。

3 本気の本気で森づくりに取り組み、学んだことを発信し、足尾・松木郷の森を自立的に生長できる森へ育て、「次世代の担い手」に引き継ぐべく、これからの20年を頑張らなければ、この危機は克服できない。足尾の大雪を目の当たりにし、そして運営委員2年目にして、その責任の重さを再認識させられました。まずは、自分の心に木を植えなければならない。(運営委員・田城 郁)

2025年2月25日 (火)

久しぶりの森作業に心わくわく、筋肉痛も久しぶり。

 2月25日、足尾に向かう途中で見た日光連山は雪化粧でした。久しぶりの足尾森作業日です。前回(2/9)は大雪の影響で中止になり、約1か月ぶりに会う森ともに「お疲れ様。久しぶりです。元気でしたか?」とのあいさつでした。寒い日が続きましたが、今日は9:30、気温は2℃と比較的暖かです。雲一つない快晴です。思わず、携帯カメラで動画を映していました。下のほうでは、ピューと鳴き声がしたので見るとシカが出迎えてくれていました。

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Img_0006 今日の責任者大野さんから作業の説明がされ、午前中は、以前の苗床に植えた桜の木の幹ガードを補強と福原さんから伝授されている獣害柵の補強をする事にしました。午後からは、「りんねの杜改良地」の桜が猿か鹿に樹皮を食べられてしまっているので、幹ガードで保護することになりました。

打ち合わせ風景

Img_0009_2獣外柵のスカート部分を運びます。

Img_0010スカート部分を5枚つなぎ合わせます。突起部分を引っ張り上げて繋ぎますが、結構力技です。

Img_0026出来上がった幹ガード

Img_0020巻いてある古い幹ガードを外します。

Img_00123本鉄筋を打ち込み、5枚繋げたスカートを縦に使い木を囲みます。

Img_0037針金で鉄筋と金網を結び付けて出来上がりImg_0019 Img_0050最後にみんなでジャンダルムをバックに記念写真。

Img_0071 桜の木10本、イチョウの木2本の補強を完成させ、11:30頃に終了しました。皆さん、「今日はあったかいなぁ」と口々に言っていました。

 作業小屋に戻ると、先日小柴さんと友人たちがCハウスを取り壊してくれましたが、ビニールが凍り付いて剥がれませんでした。今日は暖かく土が緩んでいるので一部を除いて剝がすことが出来ました。Img_0074 午後からは、「りんねの杜土地改良地」の桜の樹皮が食べられて幹が裸状態になっているので、幹ガードで守っていきます。桜の木は美味しいのか、ほかの木よりも被害が多くなっています。

Img_0079こちらも鉄筋を2本打ち込み、幹ガードを針金で止めて出来上がりです。

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 56本の木に幹ガードを取り付けました。終了後、来年度(4月)からの「エコ散歩IN足尾」を中心とした森びとプロジェクトの取り組みの大まかな内容が大野運営委員から提案され、意見交換をした後に解散となりました。

本日の作業者は、大野さん、松村宗さん、本間さん、山本さん、橋倉さん、田村さん、柳澤さん、坂口さん、林子さん、田城さん、筆者加賀でした。(報告:加賀春吾)

2025年2月19日 (水)

山(森)の権利は人が行使する!

2025023 NZのタラナキ山が人間と同等の権利を法的に有するということを当欄(2/16・「森びとオピニオン&アーカイブ」)で知った。背景には、植民地時代の政府が行った土地没収やマオリの権利侵害に対する先住民への権利と文化を尊重する政府の姿勢だと言われている。要するに、タラナキ山の自然保護とか、資源保護とかという考え方ではなく、精神的文化的な存在としての山ということらしい。2025025 先日(2/13)、『襤褸の旗』というDVDを観た。描かれていたのは、鉱毒被害に苦しむ農民と田中正造の足尾銅山操業停止を求める闘い(1900年)で、健康被害と命を守る農民の請願闘争だった。しかし、官憲の弾圧(1900年2/13)と、その後の行政の強制執行で村民は村を追い出されてしまい、操業は続いた。ちなみに、今月24日は足尾銅山が閉山(1973年)した。2025024 南半球の先住民マオリの世界観には、「真の文明は山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さるべし」(1912年6/17・田中正造の日記)という精神が貫かれているように感じた。この精神は、未来社会を生きていく次世代の心にも宿ってほしいと願っている。  (アドバイザー・高橋佳夫)

2025年2月16日 (日)

自然物の権利を考えてみる

ニュージーランドのタラナキ山は法的に人間と同等の権利が認められているのだそうだ。山などの自然にいのちを見る先住民マオリの世界観が認められたのだとか。こうした流れはまだ主流ではないけれど、インドやエクアドル、ボリビアなどといった国でも同様の例があるらしい。

R0002929伊豆の鎮守の森にあるイチイガシ

いっぽう今の日本を考えてみる。「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」をたたえる文化はあるけれど、果たしてその実はどうなのだろう。神宮外苑の杜もあれだけの反対があっても伐採は止まらない。太陽光が必要だと言えば山を削る。虫や他の生き物は邪魔だから気持ち悪いから殺せという。環境に悪いとわかっていながら農薬を大量に使い、便利だからと安いプラスチック製品を買ってしまう。そして困ったことに、ほとんどの人々が都市で生まれ育つことで、自然を軽んじる風潮がさらに進むのではないかと言われている。

ほとんどの人は善良である。すべての命は大切だと言う。でもどういうわけか、深く考えることなしに自然に優しくない選択をしてしまっている。それはたぶん、これまではそれが当たり前だったからだろう。冒頭の、山が権利を持つ、そんなことは多くの人にとって思いもよらないことに違いない。でも、樹木や花、石ころまでにも何らかの権利があるのだとしたら、そしてそのうえで新しいテクノロジーがうまく使われるのであれば、それはきっと今よりずっと良い世界になるに違いない。と思うのである。(運営委員 小黒)