2025年4月 9日 (水)

早春の松木郷で、獣害・雪害の二重苦もカタクリの花に癒される

 昨日8時40分、足尾の気温は9度、天気は晴れでした。つい先日まで残雪も多かった松木郷も、すっかり春めいてきました。満開はもう少し先のミツマタの奥に、ハイカーの交流の場「みちくさ」が見えます。

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 朝の打ち合わせで作業責任者の大野運営委員より、午前中は里親植樹の臼沢西で、枯れてしまった樹木の代替木を補植するための準備作業の説明がありました。具体的には、黒土31袋、獣害防止網取り付けのための鉄筋100本、篠竹200本などを運び上げます。午後は、植樹で大いにご協力をいただいた北海道・旭川MS会と群馬県・桐生ローターアクトの老朽化した木製の看板を建て替える提案があり、皆で作業がスムースにいくよう相談し、早速作業に取りかかりました。

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 作業に取りかかろうと小屋を出ると、広場ではキジが遊んでいました。

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 水を含んでかなりの重量の黒土を各々2袋背負って、臼沢西の急斜面を運び上げます。

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 なかなかの労働ですが、心地よい汗がかけて終わるととても良い心持ちになります。

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 黒土の運び上げが予定より早く終わりましたので、残りの準備作業を3人に任せ、午後の予定の作業場、民衆の杜北に早めに移動しました。

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 道すがら、早咲きの桜が2~3輪、馬酔木(アセビ)が満開に咲き誇っていました。松木郷にも、本格的な春が近づいています。

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 旭川MS会、桐生ローターアクトの老朽化した木製の看板の取り替え作業をはじめます。

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 旭川MS会の木製の看板、右がビフォー、左がアフターです。

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(2015年5月23日 旭川MS会の皆さんが植樹)

 桐生ローターアクトの木製の看板も、無事取り替えられました。

 この看板の作成に当たっては、板の看板では腐食が早くなることを危惧した済賀正文スタッフが、30㎝程の丸太を自宅に持ち帰り、丸太を削って文字を彫り、丸太の外側を焼いて腐食防止を施してくれました。腐食防止に塗料を使うとクマが爪で剥ぎ、塗料を舐めて傷がつけられる経験から、表面を炭化させてクマの害も防ぐ措置をしてくれました。

 旭川MS会や桐生ローターアクトの皆さんが植えた木々の生長を見守り続けてほしいとの思いを込めて丸太に鑿(ノミ)を入れてくれた済賀スタッフ、ありがとうございました。

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2014(2014年6月15日 桐生ローターアクトの皆さんが植樹) 

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 午前の作業が早く進みましたので、午後はアジサイをサルから守るために作った獣害網が、春の重い大雪に押しつぶされて見るも無残な姿になっており、状態の悪い部分を撤去しました。

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 右手前の白い部分が、サルに食われて地肌が露出したアジサイです。キレイに一周食べられているので、水をそれ以上上に吸い上げられず枯れてしまいます。可愛いけれど忌々しい「サル」です。

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 大変な労力を費やしてつくった獣害防止柵ですが、自然の力に押しつぶされて心も折れそうになります。獣害と雪害の二重苦です。うな垂れて下を向くと、可憐なカタクリの花が咲いていました。「自然」に打ちひしがれる心をカタクリの花に癒されました。

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 気温が20度まで上がった14時30分、作業を終えてミーティングをはじめます。

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 本日の作業を振り返るとともに、20周年行事が目白押しの4月から6月のスケジュールを確認し、一つひとつの行事を確実に取り組んでいこうと、気持ちを一つにして15時30分松木郷を後にしました。

 本日の作業は、清水、大野、加賀、橋倉、柳澤、田口、深津、坂口、そして筆者田城でした。

〈報告者 田城 郁〉

2025年4月 7日 (月)

春が一歩一歩近づく、足尾・松木の郷!

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 「みちくさ」オープン2日目の昨日(4月6日)、朝9時の気温は11・5度、曇り。春遅い足尾・中倉山は、まだ雪をかぶっています。Dscn9704

 それでも、「民集の杜・西」のスイセンは、枯草をかき分けて奇麗な緑を輝かせています。

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 今日はオープン早々に、3人の皆さんが訪れてくれました。足尾で1棟貸しの民泊施設」のオーナー夫妻と友人の女性です。4月25日(金)に行われる「花見の会」(足尾町民中心)のお手伝いをしたいと、打ち合わせに見えました。

 終了後、松木沢の散策を行いましたが、初めて来られたご主人は「素晴らしい!家に戻りたくなくなってしまう!」と感想を述べてくれました。Dscn9714

 桜はというと、蕾を振らませ花開く日を待っていました。

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 大きな株のミツマタは、鮮やかな黄色い花を広げ春を告げていました。

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 小柴舎人は、臼沢西の杜へ続く通路・階段を補強・整備してくれました。安心して歩けます。

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 また、臼沢の杜・第1ゲートの出入り口の新設も行ってくれました。限られた資材を駆使して、軽く開閉しやすく設置してくれました。

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 中倉山に太陽が隠れると、急速に気温が下がります。「お前ら早く帰れよ!」と若草を食べているシカにに睨まれながら、松木の郷をあとにしました。

  本日の舎人は、小柴、橋倉の両舎人。報告は橋倉喜一でした。

2025年4月 5日 (土)

本日、遊働楽舎=「みちくさ」をオープンしました

 本日より11月まで土・日・祝祭日に足尾・松木郷の森を訪れる方々のための憩いの場として、「みちくさ」をオープンしています。(森びとプロジェクトのHPをご覧ください)

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 本日は6名のスタッフ(舎人)に参加していただき、午前中に「みちくさ」室内の清掃、整理整頓、訪問者を迎える準備を完璧に行いました。また、みちくさの前に山積みになっていた砂利もダンプで、作業小屋のいつもぬかるんでいたところに2回運びバラマキました。

2 室内も綺麗になり、爽やかな空気の中で、それぞれが「みちくさ」運営するにあたって、どのようなことに気配り、心掛けていくのかを出し合いました。

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 その話が弾んできたところに、埼玉県新座市から来た4人連れの方が立ち寄ってくれました。みちくさの今年度訪問者第一号です。天気も良かったので、澄み切った空のもとで、森づくりの意見交換が弾みました。

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5 訪問者の皆様が帰路に着いた後、スタッフ(舎人)の打ち合わせを継続し、今年11月まで、私たちは森に生かされている“森は友だち”を訪問者と実感、共有できるように、丁寧に且つ緻密に案内や意見交換をしていくことを心合わせしました。

6 遅い昼食を食べたのち、済賀さんが、遠くからでも「みちくさ」のオープン&クローズが一目で分かるようにと、看板を作製してくれ成したのでセレモニーを行いました。本人は上々の出来栄えにご満悦でした。

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8 その後は、臼沢西の森(里親植樹)に110本の苗木補植を22日に行うので、その前準備を行いました。29袋の黒土を階段のところに必要な黒土の半分を荷揚げすることが出来ました。

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 今年も、釣り人やハイカーなど多くの皆さんに訪問していただき、コーヒー、お茶などを飲みながら有意義な交流が出来できることを願っています。

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 今年もスタッフ(舎人)一同、皆様の「みちくさ」へのお越しをお待ちしています。

 本日の舎人は、橋倉、山田、加賀、済賀、田城、そして大野でした。<報告は大野昭彦>

2025年4月 4日 (金)

残雪を踏みしめてブナ保護下見

Dsc00521 本日(4月4日)は、4月29日に開催する「中倉山のブナ恩送り」の下見を行いました。登山口に集まった6名で9時30分に「孤高のブナ」と「希望のブナ」をめざしました。サポートで「みちくさ」に橋倉さんが待機してくれました。

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Dsc00503 風もなく暖かな日差しを受けて、つづら折りの道を上り始めると枯葉の上の雪を見つけました。

Dsc00506 フジの樹皮が大きくかじられていました。食べるものが少ない冬を乗り切るためにサル等が食べたのかと話がされました。

Dsc00505 稜線に近くなると道は雪に覆われていましたのでその上を慎重に歩みを進めました。

Dsc00510 その雪の中に生きる木々は青い空に向けて枝を伸ばしていました。

Dsc00511 途中の岩場で腰をおろして春の景色を楽しみながら休憩をとりました。

Dsc00512 山頂近くになると更に雪が深く足元が滑ります。

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Dsc00516 慎重に進みながらケガをすること無く「孤高のブナ」に会えました。

Dsc00518 強風を避けて昼食を済ませて作業に取り掛かりました。「希望のブナ」は、幹ガードに保護されて順調に生長し新芽を出していました。

Dsc00524 「希望のブナ」が元気に育つように新たに看板を固定する鉄筋を打ち込みましたが、ハンマーで叩くと十分に打ち込みが可能なのが分かりました。当日の作業がスムーズに進むことが確認されました。

Dsc00523 「孤高のブナ」の根の保護のための迂回用の麻ロープの切れている箇所が多くありましたので、新しい麻ロープと交換をしました。稜線での作業は、冷たい風で軍手の中に風が入り指が冷たくなります。我々は強風の中で立っているいるのがやっとでしたが、「孤高のブナ」を見るとびくともしませんでした。

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Dsc00528_2 予定された準備作業を無事終えることができました。

Dsc00527  当日は、「孤高のブナ」と「希望のブナ」の親子が元気に生長することを願う多くの皆さまの参加をお待ちしています。

 本日の作業者は、福原さん、山内さん、山田さん、大津さん、橋倉さん、坂口さんと筆者でした。(報告者:済賀正文)

2025年4月 1日 (火)

森は友だちである人間性を養う活動を支えてもらいます

 3月20日(祝)、名古屋市熱田区の三五本社(ECO35)にて三五ものづくり基金と三五自然共生基金が合同で第5回助成事業助成金贈呈式が開催されました。これは昨年夏、2025年度の事業で使用するために第5回助成事業への申請を三五自然共生財団へ行い、審査対象が全て承認され、採択をしていただきました。

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 三五は、2006年に三五発祥の地である旧名古屋工場が「ECO35(エコサンゴ)」として生まれ変わることから、"三五の森づくり"がはじまり、当時社長の恒川幸三が故・宮脇昭先生の番組を見たことがきっかけだという。厳しい条件を受け入れて環境保全に取り組むという企業としての決断が恒川社長に感銘を与え、宮脇先生の研究室を訪ねて森づくりの指導をお願いしたそうです。宮脇先生からは「木を植えることは人を育てることと同じであり、本物とは厳しい環境になっても、理念をもち、ぶれないことが大切だ」と提唱され、その言葉を受けて企業としても、財団を設立しても宮脇さんの哲学を貫かれていることに、刺激をいただきました。現在でも新入社員教育の場や地域の子供たちを招いての環境教育、世界・日本各地での植樹活動が行われているそうです。

Photo三五自然共生財団パンフより

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Photo_6の2枚は三五さんの広報誌より

 恒川幸三代表理事から、2020年の財団の基金設立の経緯から始まり、「ここ数年で世の中も変化している。ものづくりではモーターからモビリティに、自然では植えるだけではなく獣害対策や育苗が大切である」「気候変動に関心をもたなくてはならない時代になっている」等の挨拶がありました。

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20250320_135617363 贈呈式の後、本社内にある「マフラーミュージアム」や「ECO35の森」の見学会を行い、財団と自然共生活動で採択を受けた4団体との意見交換が行いました。私からは、助成のカテゴリーに育樹という項目を入れて欲しいことと、植樹をしたら終わることではなく、草刈りをはじめ手入れには時間が必要であり、助成が1回(1年)だけではなく継続して採択してもらえるようにしてもらいたい」等の趣旨を述べました。

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 公益財団法人三五自然共生財団様、1年間よろしくお願い致します。(運営委員・小林敬)