2025年1月 9日 (木)

2025年「母なる森」へ、希望をつなぐ森づくり!

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 今年は当プロジェクトが栃木県足尾町旧松木村跡地での植樹を開始して20年となります。“地球温暖化にブレーキをかけられないか”と願い、2005年から煙害や山火事で木々が失われた荒廃地に木を植え始めました。急斜面に階段をつくり、穴を掘って幼木を植え、シカなどの食害防止対策など手探りで、多くの植林ボランティアの皆さんと森づくりを行ってきました。

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 現在、足尾では植樹地約5.5haに約8万本の木を植え、生長した森にはクマやアナグマ、サルなど多くの生き物たちが生息し、鳥や風が種を運び、森の生態系を豊かにしています。春は桜や新緑、秋は紅葉に彩られ、松木沢を訪れる皆さんに安らぎを与える場所になっています。

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 森づくり20年を無事に迎えることができましたのも、ひとえに皆様方の“山と心に木を植える”活動への熱い情熱と実行力の賜物です。

 現在、世界各地で豪雨災害や干ばつ、山火事が発生するなど人々のいのちと暮らしを脅かしています。まだ20年ではいのちを守る森には道半ばです。地球上のすべての生き物にとって欠かすことのできないいのちの森をつくる活動を継続させ、今後も微力ですが森に寄り添い、自然環境と人間のいのちを大切にする心を育む森づくりを進めていきたいと思います。

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 東京電力福島第一原発での事故から間もなく14年を迎えます。現在もなお廃炉作業は進まず、汚染水は海洋放出され、漁業民や市民の不安は払拭されていません。私たちは、原発への回帰と気候危機に向き合う生活の思考力を高め、脱原発・脱炭素社会への変革を目指していきます。そのために、今後も森の育樹と啓発を活動の両輪にして、森びと次世代の育成を中心にした社会運動をつくり出す決意ですので、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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 最後になりますが、皆様にとって2025年が実り多い一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

 運営委員会一同

2024年12月29日 (日)

正月飾りに誓う!20周年の年の自分の課題!

 今日(12月28日)の足尾は曇り空。「放射冷却現象」が無かったせいか、そんなに冷えてはいませんでした。それでも、風に流されて来た雪がチラチラと舞い、作業小屋の寒暖計を見ると10時の気温は1℃と厳しい冬を感じさせてくれました。 Dscn3462

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 今年も残りわずか、今日は今年最後の森作業日です。とは言っても、正月飾り取り付けが中心の作業で、臨時作業に参加したのは柳沢スタッフと清水副代表、筆者の3名だけです。ホットコーヒーと薪ストーブで暖を取った後、「雲集亭」の竹を搬出するための積み込み、作業小屋に正月飾りと「謹賀新年」を取り付けました。

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 引き続き、「雲集亭」「みちくさ」「森びと看板」と作業を進めました。「みちくさ」では仁平村長が出迎えてくれました。

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 各森・杜の木々も葉を落とし、すっかり越冬中です。臼沢のふもとには常緑広葉樹樹のアラカシが太陽の光をあびて緑色に輝いています。民集の杜ではコブシが綿毛の穂をたくさんつけていました。

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 最後の作業は、臼沢に向かう途中の「祠」の屋根が落下していて、元に戻す作業でした。見つけた清水副代表によると、「原因は、動物によるものか、風か、人為的なものか分からないが、土台が割れだして、この部分を直さないと落下する可能性がある」とのこと。新年の無病息災を願い、松を添えました。

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 2024年の締めに一言!足尾のシカたちが言っていました。

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 「正月は、飲んで食べてゴロゴロしているな!『森づくり20周年を迎える主役の一人として、”母なる森”へ何をするのかを考えなさい!』と。また、「シカだけじゃなく多くの動物がすみやすい森を作ってくれてありがとう!」と、私たちに感謝しているようでしたよ!

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 今日の森作業は、清水、柳沢、筆者の3人でした。それでは森ともの皆さん!良いお年を!!!

 (報告は橋倉喜一)

2024年12月23日 (月)

できないと思っていることをやってみる

 今年の足尾・松木沢の森作業は20日が仕事納めでした。森づくりスタッフ、サポーターの皆さん、1年間の森の手入れお疲れさまでした。また、この活動を支援してくれました各団体さま、会員の皆さまにこころから感謝申し上げます。ありがとうございました。202412251 足尾の森づくりスタッフ、サポーターは年間延べ約1か月も見地に入り、土を耕し、苗木を植え、草を刈り、時には獣害に向き合ってきました。この活動は全ての生きものたちの命を守る「母なる森」へと、その希望を次世代へつなげているものです。202412252 特に、今年(2024年)は煙害や山火事で荒廃地になった地に木を植えて来年で20年を迎える松木沢に、人が森に寄り添って生きていける“松木郷”が体感・体験できる環境を整えてくれました。202412253 来年はこの森を散歩しながら、 “自然環境と人とのつながり”や“森は友だち!”ということを体感できることを楽しみにしています。202412254 世界中の人々の生存を脅かしている異常気象は今年も各国で猛威をふるい、その被害は拡大するばかりで、私たちはその猛威が過ぎ去るのを待つばかりでした。師走の寒気・寒波は乱高下しながら関西や四国などに雪を降らせています。気象専門家や学者によると、暖かく湿った水蒸気が上昇し、それが北極の極渦を分裂させ、寒気が乱高下していることが関係しているらしいのです。世界中の異常気象(大雨・猛暑・暴風・豪雪等)の猛威もそうであるように、地球の海水温度の上昇から異常気象がはじまっているようです。202412255 海水温度を下げていくにはなんとしても温室効果ガス(二酸化炭素)排出を削減しなければなりません。しかし、その排出量が多い国々の首脳は自国の経済第一路線を強力におしすすめ、削減どころではありません。このままでは私たちの生存の基盤であるエコシステムと密接に連関している様々なサイクルは衰弱し、生きものたちの生存がますます不安定になっていきそうです。202412257 足尾の森づくりの恩師である故・岸井成格さんは、生前、“現代は人間活動のパラダイムシフト期だ!”という旨のことを何度も言っていました。私は、今でもそのように思っています。2025年は、自然環境と人とのつながりを軸(自然環境に負荷をかけ過ぎない人間活動)とした社会像を描き、試行錯誤をしながら、私たちが生存していく価値観を養う体感・体験が求められていると思います。(写真上:次世代の草木の土壌づくりに励む煙害地に50年以上も生きるヤシャブシ2本)202412256 私は、20年間の森づくりで得た体感・体験を言葉に紡ぎ、それを森づくり20年後の“山と心に木を植える”活動の軸にできないかと熟慮中です。とりあえずは、2011年東日本大震災・東電フクシマ原発事故の恐ろしさ、新型コロンウイルス感染のパンデミック恐怖の体感・体験で得た生存のための心得を整理しています。来年春には森びとのシンポジウムが計画されているようですから、出席者の方々との意見交換を愉しみにしています。健やかな新年をお迎えください。
                              (森びとアドバイザー・髙橋佳夫)

2024年12月21日 (土)

森づくりを支えてくれた道具や作業小屋に感謝し大掃除

 12月20日(金)寒気も弱まり、足尾「松木郷」には青空が広がっています。10時の気温は4℃でしたが陽射しもあり暖かさを感じます。

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 今年最後の森作業集中日となった今日は、午前中に作業小屋の大掃除と19年間の森作業で使ってきた道具の整理整頓。矢口さんが持参してくれた2tトラック一杯のヒガンバナの苗の移植を行い、午後は1年の振り返りと2025年の森づくり20年記念事業について打ち合わせを行いました。責任者の大野さんより班分けが行われ、早速作業に入りました。

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 ヒガンバナの苗は「こころの園」の階段東側の獣害柵沿いに移植しました。一株一株が大きく穴を大きめに掘り、黒土を入れて植えました。地面には霜柱が立っています。厳しい足尾の冬を乗り越え来春には根を張り、秋に真っ赤な花を咲かせてくれるよう丁寧に植えました。

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 作業小屋の清掃では、朝のコーヒー飲みながらの作業打ち合わせや、昼食・味噌汁づくり、育樹ボランティアとの意見交換など、雨の日も風の日も雪の日も森びとスタッフがお世話になった作業小屋に感謝し、室内清掃と土埃で汚れた窓の清掃を行いました。

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 ビニールハウスの整理整頓では、使わなくなった道具や資材を、継続して使用するものと廃棄するもの、リサイクルするものに選別しました。3つのビニールハウスにあるものを2つのビニールハウスにまとめ、空になったビニールハウスは来年解体しリサイクルに回したいと思います。

 2005年からスタートした植樹活動には、多い時には1000人を超えるボランティアの皆さんが参加してくれました。急斜面の「臼沢の森」への植樹には参加者一人一人の安全を守るヘルメット、苗を植える移植ゴテ、穴を掘るスコップ、草刈り用のカマを準備しました。

それらが大切に保管されていましたが、現在は育樹活動がメインになっていますので、継続して使用するものと処分するもの、スコップや移植ゴテなどリサイクルするものに分別しました。

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 19年間の活動を支えてくれた道具や資材類を広場に並べ、「これは残そう、これはリサイクルに回そう、これはもったいないけど処分だな」など声を掛け合い、来年以降の森作業を頭に浮かべながら整理していきました。

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 コンテナの整理では、草刈りで使用してきた刈払い機とチェーンソーの点検を行い、壊れて使用できないものを処分しました。機体に描かれた購入時期を確認すると10年以上使用してきたものもあり、年々広くなる植樹地の草刈りで大きな役割を果たしてくれた刈払い機に感謝しました。

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 前回の作業でフレコンに入れた防草シートと処分するヘルメットや廃材などを柳澤さんと矢口さんのトラックに積み込み、処理施設に運んでもらいました。

 

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 残ったメンバーで使用する道具や資材をビニールハウスに入れ、広場の隅に今回の処分で運び出せなかったものと、リサイクルするものを分け、ブルーシート掛けて保管しました。

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 区切りがつくまでと作業を行い、気が付くと13時。遅い昼食を取りました。1年の締めくくりで、スタッフに感謝し事務所から、足尾町内の植佐食堂のお弁当と済賀スタッフ手作りのお味噌汁「クマ汁」が準備されました。満腹になる豪華なお弁当とコリコリしたクマ肉、野菜たっぷりのお味噌汁を味わいました。

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 昼食後は、1年を振り返り皆さんから、嬉しかった・楽しかった思い出や来年の抱負などをいただき、2025年の森づくり20年記念事業について報告し意見交換を行いました。

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 雪の中での森作業でスタートした2024年でしたが、春には新緑とサクラやスミレ、リンドウ、夏にはヤマユリやアジサイ、秋にはコスモス・ヒガンバナと紅葉など、1年を通した森作業に楽しみを与えてくれた松木郷の木や植物たち。森びと広場で戯れるアナグマの親子、サクラの花や実、栗・柿の実が熟すと一斉に木に群がるサルや鳥など、木々の生長に伴って豊かになる生態系。夏の台風10号による豪雨では自然界の猛威を体感。そして、育樹活動に参加していただいた皆さんとの交流を通じて「人間は森に生かされている」ことを共感する1年となりました。

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 2025年は森づくりから20年になります。「気候崩壊」とまで言われる地球環境下で、小さいながらも、いのちを守り育む「希望の森」を、森づくりにご協力をいただいた皆さまに観察していただければと願っています。

 本日の森作業は、大野さん、加賀さん、済賀さん、鎌田さん、山本さん、橋倉さん、栁澤さん、坂口さん、山内さん、田村さん、矢口さん、田城さん、林子さん、ボランティアの田口順一さん、筆者清水でした。

 森びとスタッフ、サポーターの皆さん、本年1年間大変お疲れ様でした。

202449【2024年4月9日 シニア1期記念植樹(カツラ)】 ~ 来年も頑張るぞー! ~

 「3R 身近で出来る環境保全(リデュース、リユース、リサイクル)」(作:柳澤)

(報告:清水 卓)

2024年12月18日 (水)

初めての経験を、習う楽しさ・教える楽しさ!

 今日(12月18日)の足尾、早朝は氷点下の寒さです。朝焼けとまだ沈まぬ月がとても綺麗です。

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Dscn3435  本日の森作業は、済賀スタッフの呼びかけに山田さんと筆者が参加をし行なわれました。9時30分の気温は3℃、コーヒータイムは薪ストーブを囲み身体を温めながら話がはずみます。

Dscn3423   責任者の済賀さんから、①熊によると思われる獣害防止柵の破損個所の修理、②広場横「記念樹コーナー」の木々達へ籾殻を撒く、③「心の園」に4~5段の階段の設置を行いたいとの提起がありました。①の被害程度はそんなに大きくは無く、あっという間に補強をしました。ところが「心の園」を横断した熊の形跡があり、今後も注意が必要です。

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   ②は、足尾の厳しい寒さを乗り越えてほしい願いながら籾殻を撒きました。籾殻は草が生えるのを抑えてくれますので、フレコン1袋では足りないくらいでした。籾殻を提供してくれた柳澤さんに感謝です。

Dscn3432   ③は、手作りのベンチ近くに4段の階段を作りました。階段作りの経験がない山田さんに対し、丁寧に済賀さんが教えてあげていました。

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Dscn3446   昼休みには、昨日に引き続き「薪割り体験会」が行われ、山田さんが初体験しました。最初はへっぴり腰でしたが、要領を即座につかみ、快調に気持ちの良い薪割りを行っていました。

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Dscn3437   冬の松木沢は午後2時を過ぎる頃になると、中倉山の陰に太陽が隠れ急に寒くなります。寒さと闘っている「みちくさ」のシンボルツリーのクスノキに別れを告げ帰途につきました。Dscn3441   今日の作業者は、山田、済賀、筆者の橋倉でした。(報告者:橋倉 喜一)