2025年4月 4日 (金)

残雪を踏みしめてブナ保護下見

Dsc00521 本日(4月4日)は、4月29日に開催する「中倉山のブナ恩送り」の下見を行いました。登山口に集まった6名で9時30分に「孤高のブナ」と「希望のブナ」をめざしました。サポートで「みちくさ」に橋倉さんが待機してくれました。

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Dsc00503 風もなく暖かな日差しを受けて、つづら折りの道を上り始めると枯葉の上の雪を見つけました。

Dsc00506 フジの樹皮が大きくかじられていました。食べるものが少ない冬を乗り切るためにサル等が食べたのかと話がされました。

Dsc00505 稜線に近くなると道は雪に覆われていましたのでその上を慎重に歩みを進めました。

Dsc00510 その雪の中に生きる木々は青い空に向けて枝を伸ばしていました。

Dsc00511 途中の岩場で腰をおろして春の景色を楽しみながら休憩をとりました。

Dsc00512 山頂近くになると更に雪が深く足元が滑ります。

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Dsc00516 慎重に進みながらケガをすること無く「孤高のブナ」に会えました。

Dsc00518 強風を避けて昼食を済ませて作業に取り掛かりました。「希望のブナ」は、幹ガードに保護されて順調に生長し新芽を出していました。

Dsc00524 「希望のブナ」が元気に育つように新たに看板を固定する鉄筋を打ち込みましたが、ハンマーで叩くと十分に打ち込みが可能なのが分かりました。当日の作業がスムーズに進むことが確認されました。

Dsc00523 「孤高のブナ」の根の保護のための迂回用の麻ロープの切れている箇所が多くありましたので、新しい麻ロープと交換をしました。稜線での作業は、冷たい風で軍手の中に風が入り指が冷たくなります。我々は強風の中で立っているいるのがやっとでしたが、「孤高のブナ」を見るとびくともしませんでした。

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Dsc00528_2 予定された準備作業を無事終えることができました。

Dsc00527  当日は、「孤高のブナ」と「希望のブナ」の親子が元気に生長することを願う多くの皆さまの参加をお待ちしています。

 本日の作業者は、福原さん、山内さん、山田さん、大津さん、橋倉さん、坂口さんと筆者でした。(報告者:済賀正文)

2025年4月 1日 (火)

森は友だちである人間性を養う活動を支えてもらいます

 3月20日(祝)、名古屋市熱田区の三五本社(ECO35)にて三五ものづくり基金と三五自然共生基金が合同で第5回助成事業助成金贈呈式が開催されました。これは昨年夏、2025年度の事業で使用するために第5回助成事業への申請を三五自然共生財団へ行い、審査対象が全て承認され、採択をしていただきました。

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 三五は、2006年に三五発祥の地である旧名古屋工場が「ECO35(エコサンゴ)」として生まれ変わることから、"三五の森づくり"がはじまり、当時社長の恒川幸三が故・宮脇昭先生の番組を見たことがきっかけだという。厳しい条件を受け入れて環境保全に取り組むという企業としての決断が恒川社長に感銘を与え、宮脇先生の研究室を訪ねて森づくりの指導をお願いしたそうです。宮脇先生からは「木を植えることは人を育てることと同じであり、本物とは厳しい環境になっても、理念をもち、ぶれないことが大切だ」と提唱され、その言葉を受けて企業としても、財団を設立しても宮脇さんの哲学を貫かれていることに、刺激をいただきました。現在でも新入社員教育の場や地域の子供たちを招いての環境教育、世界・日本各地での植樹活動が行われているそうです。

Photo三五自然共生財団パンフより

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Photo_6の2枚は三五さんの広報誌より

 恒川幸三代表理事から、2020年の財団の基金設立の経緯から始まり、「ここ数年で世の中も変化している。ものづくりではモーターからモビリティに、自然では植えるだけではなく獣害対策や育苗が大切である」「気候変動に関心をもたなくてはならない時代になっている」等の挨拶がありました。

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20250320_135617363 贈呈式の後、本社内にある「マフラーミュージアム」や「ECO35の森」の見学会を行い、財団と自然共生活動で採択を受けた4団体との意見交換が行いました。私からは、助成のカテゴリーに育樹という項目を入れて欲しいことと、植樹をしたら終わることではなく、草刈りをはじめ手入れには時間が必要であり、助成が1回(1年)だけではなく継続して採択してもらえるようにしてもらいたい」等の趣旨を述べました。

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 公益財団法人三五自然共生財団様、1年間よろしくお願い致します。(運営委員・小林敬)

2025年3月26日 (水)

黄砂舞う松木川源流。芽吹きの春を喜ぶ生き物たち。

 3月25日(火)、足尾「松木郷」には青空が広がっていましたが、黄砂の影響か黄色くかすんでいました。花粉も飛んでいるようで、花粉症のスタッフにはつらい森作業の1日となったようです。

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 9時50分に参加者が揃い作業打ち合わせを行いました。責任者の大野さんより、午前中は「みちくさの庭」から「こころの園」にアジサイの移植と、森作業で使用した防草シートやポット苗のトレーなど不要となったものが入ったフレコンの搬出を行い、午後は民集の杜(東・西)のエコ散歩コースの整備を行うことが報告され、アジサイを掘出す班、植える穴を掘る班、フレコンを搬出する班に分かれ作業開始しました。

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 フレコンが9袋あり、柳澤スタッフのトラック1台では1回で運ぶことが出来ないため、2回で運べるよう隙間なく積み込みストックヤードへ搬出しました。

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 アジサイ移植班では、当初「みちくさの庭」東側のアジサイを20本、「こころの園」北側に移植する予定でしたが本数が多く、西側にも移植することにしました。

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 スコップを入れると石に当たり、ツルハシで下穴をあけて穴を掘りやすくし、北側に15本、西側に19本移植しました。合計34本のアジサイを移植しました。

 

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 昼食後は、「民集の杜東・西」の散歩コース整備を行いました。

「民集の杜東」は、私たちが植えた以外の木が杜の仲間になっており、コウゾやバッコヤナギ、ネムノキ、ヤマナラシなどに目印をつけていきました。

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 林床にはスミレが咲きだし、フユノハナワラビが葉を広げていました。5月にはシロガネスミレ、フデリンドウが咲き、8月にはヤマユリが咲きます。秋には見事な紅葉を見せるモミジ平など、各ポイントを確認しながら杜内を歩きました。

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 「民集の杜西」に入ると、サクラの道の両側に広がる苔に落ち葉がかぶさっており、森の案内の前に、熊手で落ち葉さらいを行います。壬生北小学校の植樹地も獣害柵を付けたおかげでシカの食害にあわず生長しています。

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 自然に活着し生長したカラマツが樹皮をシカに食べられ枯れてしまいました。厳しい冬を生き延びようとする生き物たちの様子も想像することができます。

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 東出入り口付近の水仙の葉が顔を出しました。

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 雪の多かった今冬は「りんねの森」の桜の幼木がサルの食害にあいました。暖かくなり木々も芽を膨らませ始めました今日は、木に登り新芽を食べるサルの群れの様子が見受けられました。食べ終わると子ザルを背負った母猿が松木川をぴょんぴょんと跳ねるようにわたっていく姿が見られました。

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 のんびりと祠の前を歩くシカ、人間の気配を感じて杜から飛び立つキジなど、春の到来を喜ぶ生き物たちの姿を見ることができた森作業日となりました。

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 本日の森作業は、大野さん、加賀さん、松村宗さん、橋倉さん、山内さん、本間さん、山本さん、栁澤さん、坂口さん、田城さん、林子さん、深津さん、田口さん、筆者清水でした。

(報告:清水 卓)

2025年3月21日 (金)

気候危機に向き合う生活を考える

 2024年末から日本海側や山沿いを中心に最強の寒波が襲い大雪を降らせました。北海道帯広市では半日で120㎝の降雪があり、青森、山形、新潟、長野、福島、福井、富山、石川各県で、屋根や家の周りの雪かきを行う住民が転落や落雪に埋もれ死亡する痛ましい事故が発生しました。能登半島地震と豪雨被害を受けた被災地では豪雪による家屋の倒壊、福島県では雪崩による孤立など、命と暮らしが脅かされている状況です。

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 一方の太平洋側では、2月26日に岩手県大船渡市で山林火災が発生。油分の多いスギ・マツ林が燃え広がり、県外からの消防署の応援や自衛隊の消火活動によって発生から12日目の3月9日鎮圧状態が発表。それまでの焼失面積は市の面積の約9%にあたる約2900ヘクタールと広範囲に及び、死者1人、210棟が焼失、約4500人に避難指示が出されました。

 1日も早い暮らしの復興と「いのちの森」の再生を願うばかりです。

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(2025.3.17岩手日報より)

 地球温暖化によって海面水温が上昇し増加した水蒸気が、夏は豪雨被害をもたらし、冬は偏西風の蛇行による寒気の影響で豪雪をもたらしています。また、太平洋では降雨が極端に減り水蒸気の増加が表土の乾燥をもたらしました。大船渡市の2月の降雨量は2.5ミリと平年の41ミリを大幅に下回り、燃えだした火が強風によって延焼し大規模山林火災につながったと伝えられています。

 消火に当たった消防署員は、「消しても消してもまだ山奥に火が見える」「根っこまで炎が入り込むと根を伝ってまた別なところから炎が出る。根を切ってその木を倒して消火する必要がある」と、専用のチェーンソーで根を切って延焼を抑えていると、消火の困難さを伝えています。(3/18岩手放送)

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 林床の落ち葉が燃え広がっている印象が強かった筆者は、木々は根に水を溜めており火災の後でも新たな枝を伸ばすと思っていただけに、根を伝って火が広がるという現実にショックを受けました。

 日本各地で発生する山火事は、戦後復興の計画造林で植えられた杉、松の森が多く、土壌の乾燥ばかりでなく木の幹自体も乾燥、油分を含む落ち葉は着火材に使われるほど燃えやすい場所で発生しているようです。

 私たちが「地球温暖化にブレーキをかけよう!」と足尾の荒廃地での森づくりを開始して20年になります。銅の精錬過程で排出された亜硫酸ガスによる煙害と山火事によって木々を失った足尾銅山跡地には小さな森が育ち、シカやサル、アナグマやツキノワグマなどの動物、鳥や昆虫、ヤマユリやスミレなど森の仲間が増え、「いのちを育む森」へと生長しています。

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 生物社会の一員でしかない私たち人間は森に寄生してしか生きられない存在だという冷厳な事実を認識しなければなりません。

 森林の再生に向けて政府や林野庁、地主の皆さん、行政で話し合いが持たれると思いますが、市民の声にも耳を傾けていただき、かつて森の主役であった深根性・直根性の常緑・落葉広葉樹を植えて、その土地本来のふるさとの木による「いのちの森」を再生して欲しいと願います。

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 気候変動による異常気象が世界中に被害をもたらす中で、暮らしと命を守るために、私たちは何をなすべきか。4月20日、生活現場と労働現場からの報告をいただき、若者、農家、労働者、市民の皆さんと意見交換を行う「気候危機に向き合う生活を考えるシンポジウム」を開催し、自然界からの警告に耳を傾け考えていきます。

◇開催日:2025年4月20日(日)13:30~16:00

◇会 場:目黒さつきビル2階会議室、及び、Zoomによるオンライン形式

◇申し込み:氏名、電話番号、会場、E-mail(Zoomでの参加の場合)を記入し、FAX:03-3491-7194、または、メール:moridukuri@jigyou-kyoukai.orgまでお申し込みください。

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(運営委員:清水 卓)

 

2025年3月14日 (金)

青空と「ピィー、ピィー」に心が和む春の森作業

本日(3/13)の9時30分の気温は7度で晴天なり、風もなく森作業日和の足尾でした。

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 9時20分、全員が作業小屋に到着し、本日の打合せ。責任者・清水さんからは、来月から始める「松木郷の森」を案内する散策路(民集の杜)の整備と枝払いが提案されました。

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Cimg0092 早速、必要な道具を持って「民集の杜(北)」に向かいました。夏は散策路を葉が覆って涼しく感じる「緑のトンネル」が、この時季は杜の奥の奥まではっきり見えている樹々の様子に驚きました。

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Cimg0097_2 通路までのびている枝払いやクマが地中のアリを探した後と思われる岩を戻し、散策で歩き易いように路を整備しました。

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 途中、パイオニアとしての役割をもち、新たな木に欠かせない土にかえるヤシャブシの姿や樹皮が動物に食べられた所を自ら修復しようとしている植物の自立力の素晴らしさを見ることが出来ました。こうして立ち止まって、時間をかけて人と植物のつながりを考えてみると、森はすべての生物の生存に欠かせない母体であるように感じました。改めて、人間は森に生かされていることを感じました。

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森の奥へ進むと、植林していない場所に樹高1㍍から3㍍程のサクラの木が何本も生えていました。元気になることを愉しみにして、路を整備しました。途中、厳しい冬の寒さに耐えひっそりと黄色い花を咲かせるマンサクを見て気持ちが癒され、春を感じました。

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その後は、2016年に関東鉄道学園第2回運転二科の有志がモミジやカツラ、ナナカマドなどを植樹してくれた「糺の森」に行き、育樹チェックと石のテーブル等を整備しました。

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Cimg0118_2 昼食後は取水口のチェックを行い、4月のスケジュ―ルなどを確認しました。次回3月25日の森作業(アジサイの移植、ごみ処理など)の算段をつけて、本日の森作業を15時30分に終了しました。

Cimg0132_2 Cimg0124 間もなく足尾・松木渓谷入口付近は新緑を迎え、シカ、サル、クマやアナグマなどの動物たち、サクラの花、鳥のさえずりなど豊かな生態系が織りなし、森に寄り添って生活していける雰囲気の「松木郷の森」が感じられると思います。私たちは、そんな思いを込めて森の手入れをすすめています。

本日の森作業は、清水、橋倉、柳澤、坂口、そして筆者大野でした。<報告者 大野昭彦>