2025年4月24日 (木)

気候危機に向き合う生活を考えるシンポジウム開催①

 4/20、一般財団法人日本鉄道福祉事業協会と森びとプロジェクトは共催で「気候危機に向き合う生活を考えるシンポジウム」を開催し、東京都品川区の目黒さつきビルとZoomによるオンライン形式で開催しました。

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 司会はJR東労組本部で書記をしている飯田麻美子さんが務めてくれました。

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 主催者あいさつに立った森びとプロジェクト桜井勝延代表は「原発を止めるということから全く外れてしまい、原発を再稼働したり、新たな原発を作るという方向に日本政府は舵を切ってしまいました。これは被災者はもちろんですけれども、暮らしや命がぞんざいに扱われてはならないことを、このシンポジウムを通じて共有していただければと思います。同時に、本当に原発を再稼働することが地球温暖化や気候危機に対する方針として正しいのかということについても共有していただきたいと思います」「私たちが今生きている地球を壊しているのは人間の生活です。アメリカのトランプ大統領のように気候変動とか二酸化炭素の問題は問題がないという極端な見解を持った国家指導者が出てくると、世界中の人たちまた生物が、命あるものが危機に陥るわけです。私たちは今ある現実、今進んでいる気候危機を共有することで、自分事として捉え、この気候変動に対して取り組みをしていかなければならないと思います」等が語りました。1745490756139 その後、4名からそれぞれの立場・現場から問題提起をしてもらいました。

 1人目は東京都でマンションにお住いの奥村隆夫さんより、「気候変動に対する体験と対処・対応の限界」について報告をもらいました。2019年10月に発生した台風19号により川崎市武蔵小杉のタワーマンションのライフラインが水没し、電力・水道の機能が停止し、完全復旧と対策には1年間要しました。この出来事を自分事として捉えて、自宅のあるマンションが浸水した時の危機感から出発し、調査を開始するとともに自治体への要望やマンション居住住民へ呼びかけて対応策の検討をしてきたそうです。そして、異常な気候変動に危機感を感じている人々や組織体はたくさん存在するので、互いから学び、協力・連帯することが大切であることが語られました。Dsc09017

 2人目は、秋田県のJRで働く高橋淳さんから、今年の秋田県の県北地域と青森県の津軽地区は過去最大の大雪時の現場の様子が報告されました。「2月22日22時から明朝5時までの間で、秋田県県北地区の普段雪があまり降らない所で大雪となりました。私も当時当直で、二ツ井という駅では 1時から5時20分の間で88cmの積雪を記録していました。当時の新聞でも大雪の記事が大きく掲載され、中には線状降雪帯が発生したとも書かれていました」「これは倒木の写真ですが、陣場~津軽湯ノ沢間という秋田県と青森県の県境のところになります。倒木あるいは線路支障しているのが2日間で166本確認されました。また、切断作業中に腹部に倒れてきて肋骨を骨折する二次災害も発生させてしまいました」「今回の雪害は、死者が出なくて良かったと感じます。ライフラインが断たれてしまうことは想定しましたが、運良く短時間で復旧となったことや、高齢者住宅での屋根の雪下ろし作業が行われず倒壊してしまうこともなく、結果から運が良かっただけとしか思えません。また、鉄道の運転再開が一番遅かったのですが、鉄道以外の交通インフラも運転再開までかなりの時間を要しておりました。道路ももちろん通行止めとなり、そういう環境で生きるためにどうするべきか改めて考えさせられました。こうするべきという明確な答えが出なく、もどかしいとも感じます。これからもこのような災害級の大雪は発生するものと想定し、構える・備えることをしていきたいと思います」等が語られました。

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 3人目は、茨城県利根町で農家をしている齊藤博道さんから「実際大規模化している農家にとっては補助金を使って、その飼料米を作ればある一定の金額が保証されるという制度があります。しかし我々小規模農家っていうのはほとんどが飼料米を作らず、食用米を作っているのが現状なんです。実際、食用米が今まであまりにもコストに対して、見合わない金額で秋口収穫を経た時点で、農協さんや集荷業者にとって買い取られるという金額が、マイナスになっていたのです」「我々小規模農家がこの国は今までも支えてきてるのが現状だと思うんです。本当に小規模農家が本当に今後減少していけば、必ず日本はもう食糧危機目前に来てるなと実感しているんです」「私の場合、単なる米の生産だけじゃなく自分で営業努力しながら、個人のお客さんとの繋がりを作りながら、直販っていうスタイルを確立してるがゆえに、何とか継続しているのです。野菜農家とか米農家と直接繋がって信頼できる人間関係を作りながら食料を調達するっていう時代になるのが理想的なのかと思います」等が語られました。

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 4人目は、若者気候訴訟原告団の時任晴央さんから、相次ぐ森林火災・森林伐採の報道を見て、将来への不安を感じて気候変動に関する活動を始めた経緯が語られました。そして、昨年8月に14歳から29歳の若者たちが日本の主要火力発電事業者10社(CO2排出の30%を占める)を相手取り、1.5℃目標と整合する科学と国際合意の水準での排出量の削減を求めて、名古屋地裁に訴えました。シンポジウム参加者に最後に訴えたのは「私よりも後に生まれた世代がかつての地球の現状を知り、私になぜ何もしなかったんだと問われる時が来ると考えると絶望します。気候危機が二度と止まらない日がやってくることを想像すると、生きていく自信がなくなります」と、原告からの意見陳述での言葉が紹介され、参加者の心を熱くしました。

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 ②に続く…

(運営委員・小林敬)

2025年4月23日 (水)

「母なる森」への生長を願い「臼沢西の森」に苗木を補植

 4月22日(火)、足尾・松木郷の天気は晴れ。9時の気温は17℃、昼過ぎには21℃に気温も上昇し、桜も一気に開花しました。今日は花見を楽しみながらの森作業となりました。

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 朝のミーティングで大野さんより、午前中は「臼沢西の森」に「里親植樹」で植えた幼木が落石やシカ、ウサギの食害にあい枯れてしまった115本の補植と食害防止ネットを張る作業を行い、午後は、道具や資材を保管するビニールハウスの、劣化して破れたシートの交換を行うことが提案されました。

 任務分担では、補植箇所をチェックし苗木を置く作業を加賀さん、橋倉さん。補植を大野さん、栁澤さん、本間さん、田城さん、田口さん、筆者の6人、記録の撮影は林子さんです。

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 さっそく、補植用の苗木と食害防止ネット、ハンマーや針金などの道具と資材を軽トラに積み込み「臼沢西の森」に向かいました。

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 背負子で苗木や食害防止ネットを荷揚げし、作業に取り掛かりました。臼沢西の斜面に登ると松木の森が一望でき、民集の杜や広場の桜が良く見えます。

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まず、加賀さんと橋倉さんが補植場所に苗木を置いていきます。

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 植樹メンバーは、表土が薄く砕石の多い植樹地にスコップで穴を掘り、黒土を入れて元の土と攪拌し「しっかりと根を張れよ」と願いながら苗木を植え、松木川からの強風に負けないように幹を篠竹に縛りました。

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 食害にあった幼木の根元にはコロコロとしたウサギのフンがたくさん落ちています。時間が経過して薄茶色になったものや、濃い緑の新しいものと、今も森の中に隠れているウサギの存在が確認できました。

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 猛禽類に襲われたのかヤマドリの羽毛が残されていました。

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 苗木を置き終わった加賀さんと橋倉さんは「今度は食べさせないぞ」と、食害防止ネットを植え終わった場所に置いていきました。

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 気温が上昇して汗も吹き出し、休憩と水分補給を取りながら植樹を行ないましたが、少人数での苗を植える作業は思ったより時間がかかり、13時に下山し遅い昼食をとりました。

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 午後の作業は2班に分け、臼沢西に補植した苗木の食害防止ネット張りを大野さん、加賀さん、橋倉さん、本間さん、田城さんで行い、ビニールハウスのブルーシート交換を柳澤さん、本間さん、筆者で行いました。

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 食害防止ネットは、苗木の大きさに合わせ、長いもの、短いものを50枚用意しました。

 特に桜は樹皮まで食べられてしまうため、ネットが倒されないように鉄筋をしっかりと打ち込み張っていきました。

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 ビニールハウスは、透明のビニールがないため、約8m×6mのブルーシートをかけて、風であおられないようにビニールハウスバンド(紐)で止めていきました。

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 作業は16時頃までかかり、ネット張りを終えた臼沢西の森から「やったぞー!」の歓声が聞こえてきました。

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 道具を片付け、ミーティングを行って本日の作業を終了しました。皆さん、お疲れさまでした。

 帰りは、サルが見送ってくれました。

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 本日の参加者は、大野さん、橋倉さん、加賀さん、本間さん、栁澤さん、田城さん、林子さん、田口さん、筆者・清水でした。

(報告:清水卓)

2025年4月21日 (月)

満開の桜の下で苗木の準備

足尾・松木郷は、8時20分 気温12度快晴。昼頃になると作業小屋の温度計の針は25度を示していました。

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今日の責任者は加賀スタッフ。昨日開催された「気候危機に向き合う生活を考えるシンポジウム」について感想を出し合いました。特に、若者気候訴訟原告団をして闘っている時任晴央さんや若い人たちの発言に勇気づけられたことが話されました。また、雪害や豪雨災害、米農家の厳しい現実と温暖化による異常気象によって深刻さが増していることがリアルな報告で見えてきた。大事なことは森は友だち“山と心に木を植える”ことなどが話されました。

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4年前に行った「里親植樹」地に植えた幼木がシカやウサギなどの食害に遭いました。調査した所、枯れたり、抜かれたりした幼木は、115本ありました。明日、同じ場所に同種の苗木を植えるので、本日その準備をしました。加賀さんが運んでくれた苗木を車から降ろし、樹種毎にチェックしトレーにまとめました。

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それから、臼沢西の森の「里親植樹」地は急斜面なので階段状になっています。その段毎(Q、R、S、T、U、V、W、X、け)に樹種名と番号を書いた札を苗木に付けてまとめました。そして、運びやすいようにネットに入れ水をたっぷりジョウロで上げて、動物に悪戯されないように作業小屋に保管しました。

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 午後は、少しでも食害から幼木を守るために苗木の樹高に合わせた幹ガードを50枚(大、中、小)を作りました。今回植える幼木が「母なる森」に生長してくれることを願い準備作業を終了しました。「みちくさ」や森びと広場付近の桜の花が満開で、気持ちがいい一日でした。

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本日の森作業は、加賀、橋倉、筆者大野でした。

<報告者 大野昭彦>

2025年4月15日 (火)

森づくり20年の教訓はできることをコツコツと

Photo_7 今年2025年は第2次世界大戦が終戦して80年目の年である。1945年8月6日に広島市に、9日には長崎市にアメリカ軍によって原爆が投下され、尊い多くの命が一瞬で失われた。そして、今なお原爆症で苦しんでいる人たちがいる。世界では今もなおロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるパレスチナ攻撃など平和を脅かす事態が続いている。そのような中で、長年にわたって核兵器廃絶運動を続けてきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がその功績を認められ、昨年ノーベル平和賞を受賞した。この受賞は、世界平和に対する警鐘であると思う。戦争は地球環境に最も深刻な環境汚染をもたらすものであるから、平和のための努力を続けなければならない。

Photo_6 アメリカのトランプ大統領の再登場で世界経済は不安定な状況になり、地球温暖化防止にブレーキがかかっている。人間はかけがえのない地球で命を育まれ発展してきたにも拘らず、驕りとともにかけがえのない地球環境に取り戻しができないような悪影響をもたらしている。

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 我々はいま何をなすべきかを問うたとき、驕りを捨て原点に立ち返り地球環境を守るために全力で取り組むべきだと思う。森びとプロジェクトの取り組みは地道なものであるが貴重なものである。その信念で前進していきましょう。(運営委員会代表・櫻井勝延)

2025年4月13日 (日)

雨けむる足尾

今日の足尾は雨でした。草木にとっては恵みの雨です。足尾の町ではサルが出迎えてくれました。雨など関係なく新芽をひたすら食べています。足尾ゲートに入ると、カラミの麓の柵の向こうに雄鹿が逃げずにじっとこちらを凝視していていました。みちくさの手前では、キジの家族がやはり恐れることなく何かをついばんでいます。今日は人もあまり来ないせいか、カラ類をはじめとする鳥の声も賑やかで、野の動物たちが何時もより多く見られました。

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Dsc08823 「キジの家族」

昨日は入口にある足尾ダムの駐車場が満車になるほどだったようですが、この日は閑散としていて、さすがに訪問者は居ないだろうなと思われました。気温は7度、サクラのつぼみもまた少し、殻にこもってしまったようです。

R0003657「寒いので薪ストーブは必須です」

Dsc08845 「広場のサクラの芽」

Dsc08862 「コブシの花芽」

R0003662 「鮮やかなヤシャブシの花序」

ひと通りみちくさの準備をし終えたあとは、近々のイベントについて簡単な打ち合わせをしたのち、民集の杜の林縁を整備しました。

R0003666 「松木から足尾の街方面」

R0003679 「作業後の1シーン、ここに入口があるといいね!」

R0003672 「整備後に散策、河原へ降りる新しい道を発見!」

所々木々の芽吹きがみられ、あと1週間もしたら春を味わうにはいい季節となりそうです。晴れたら最高。そろそろ訪問にはいいタイミングですよ!みなさん。

雨は午後からも途切れることなく降り続け、結局この日の訪問者は予想通りゼロでした。(舍人 橋倉、清水、小黒)

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