2025年7月23日 (水)

「暑いですね」が、森の中では「気持ち良い」に

 7月21日(祝)、 天候は晴れで気温9時時点ですでに32°Cもありました。「暑いですね」がこの足尾の地でも、日々の挨拶になるほどの天気が続いていますが、時々吹き抜ける風が暑さを和らげてくれます。

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Photo_2 今日も「みちくさ」をオープンさせて、舎人3名と作業担当者1名で作業の打ち合わせ。この所ときどき雨が降ったので、草の伸びも早く、草刈りを中心に作業を行うことになりました。午前中は広場の草刈りをメインに作業を行いました。

 お昼前に親子の2人が「みちくさ」の前を通ったので、声をかけて見ると宇都宮市から訪れたとのこと。2人が大きな網を持っていたので、何かの捕獲ですかと聞くと「ツマジロウラジャノメ」という蝶が、この足尾のような岩場の地形の場所に生息しており、これから探索しに行ってきますと道を登っていきました。しばらくして帰ってきたので、見つかりましたかと聞いてみたら、今回は見つかりませんでしたとのことでした。中々捕獲が難しい蝶がこの足尾の地で見つかればと願うだけです。帰り際に写真を撮影させていただき、2人は帰路につきました。

Photo_3 次にみちくさを訪れた方は、前日から松木郷に入ってずっと奥の方まで行って、沢登りや沢遊びをして夏の暑さを癒し、夜はタープを張って泊ったという栃木県内各地から集まった男女3人のグループでした。話しを聞くと、松木川の上流には沢山の沢があり、一つひとつの沢の名前をよく知っており、ここには何回も訪れて今回は三沢・小足沢へ入りましたと教えてもらい、沢を楽しまれているんだなと感じました。この中のお1人がこの足尾の地を庭のように知り尽くしているというお話しから、中倉山への新たなる登山ルートを教えて頂きました。足に自信がある方はぜひ「みちくさ」から見て中倉山の左の尾根を、直登で登っていくルートになります。登る際は充分注意して体力と相談しながら、登山をお楽しみ下さい。お話は尽きませんでしたが、帰路につかれるととのことで、最後に後姿を撮影させていただきました。2組の方々から頂いた「冷水をいただきありがとうございました、そして美味しかったです」のお礼のお言葉をいただき、舎人としてとても嬉しかったです。また松木郷にお越しください。

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Photo_5 午後は“森をとにかく知ろう”を合言葉に、先月「モミジ」の植樹をした「民集の森東」に入りました。、緑色が鮮やかな葉を保ち元気に根付いている様子が窺えて、きっと秋には素敵な紅葉が見られるのではないかと思いますので、ぜひ見に来てみてください。

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Photo_8 その民集の森での私の推しは、フカフカのまるで絨毯の上を歩いているような感覚の苔です。とても可愛いらしく優しく思えたので、この苔を体感しにぜひお越しください。私たちがご案内致します。

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Photo_11 その後。森を散策しながら「みちくさに」戻ると、にわかに天気が急変し雷と雨が強くなりました。夏といえば「雷」の足尾の地。天気が良くなるのを待ちながら、片づけをして戸締りをして本日も終了となりました。

本日の舎人は田城・山田(筆者)・小柴  作業者は済賀でした  

2025年7月21日 (月)

真夏日の足尾「松木郷」。沢から吹く風に癒される。

 7月20日(日)、「松木郷」の天気は晴れ。「遊働楽舎(愛称“みちくさ”)」に到着した9時の寒暖計は33℃でしたが、12時には36℃に上昇しました。

 深津さんが初の舎人入りです。“みちくさ”のオープン準備、取水口点検、放射線量の計測などを一緒に行いました。

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 日差しが強く少し歩いただけで汗が出ます。線量測定のついでに、「民集の杜東」のヤマユリの開花具合を確認に足を延ばしました。

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 杜に入ると足元の苔からキノコが生えていました。いたるところに生えており、高いところから流れた水で菌糸が広がっていったのかと思いました。

 食用ではないのが残念ですが、倒木や枯れ木のセルロースを分解してくれるのがキノコ・菌糸類ですので、森の木々に栄養を与えてくれる貴重な存在です。

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 ヤマユリは蕾をふくらませていましたが、開花はもう少し時間がかかるようです。 

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 戻りは「民集の杜西」を抜けて行き、ここでも苔の絨毯にキノコが傘を広げていました。「民集の杜東」とは違って大きなキノコも見られました。

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 普段は草刈り作業でしか森に入らない深津さんは、森の中をゆっくり見たのは初めてで、秋でもないのにたくさんのキノコが生えていることに驚いていました。栃木県の夏のキノコと言えば“チタケ”が有名で、ナスと炒めて出汁を取ったチタケ汁で食べるウドンやソバは絶品です。食べられるキノコではなくて残念がっていましたが、“キノコ狩り”が出来るような森に生長するのが楽しみにもなりました。

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 落ち葉を分解する土壌動物の他に枯れ木を分解するキノコ・菌糸類が増え、光合成を通じて無機物を有機物に変え私たち生き物に森の恵みを与えてくれる樹々、森の機能が豊かになってきていることを感じました。

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 “みちくさの庭”に入ると、オレンジ色の花を咲かせるニッコウキスゲの茎にはアブラムシとアリが共生していました。アジサイの花にはマメコガネやハナムグリが蜜を吸っていました。ジャノメチョウやアキアカネ、シオカラトンボが飛び回っています。

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 “みちくさ”に戻り訪問者を待っていると、沢のせせらぎの音、森からはウグイスとヒグラシの鳴き声が聞こえてきます。窓から吹き抜ける心地よい風に、心と体が癒されます。

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 15時過ぎ、松木渓谷から降りてきた登山者2名に「休んでいきませんか」と声をかけましたが、「先を急ぎますので」と足早にダムゲートに向かっていきました。

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 その後、昨日立ち寄ってくれた3名の登山者が下山してきました。「休んでいきますか」と声かけしましたが、「昨日は冷たい水をいただき有難うございました。水がなかったらヤバかったです」とお礼の言葉を伝えてくれました。

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 3連休の中日、心地よい風と昆虫たちに癒された“みちくさ”でした。皆さんのお越しをお待ちしています。

 本日の舎人は清水、深津でした。(報告 清水卓)

2025年7月19日 (土)

3連休は「みちくさ」へ

7月19日(土)、三連休の初日は好天に恵まれました。「みちくさ」も陽ざしはあるものの、爽やかな風が吹き抜け、まるで避暑地にいるような心地よい一日となりました。

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この日は、足尾在住の森びと・橋倉さんが顔を出してくださり、先日見かけたというオオムラサキが寄ってきそうな木を探しに森を散策へ。残念ながら「樹液が出ている木はなかったなぁ」と、少し残念そうな様子でした。

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一方、相方の小柴さんは、隙あらば作業に没頭。しかも、何をやらせても丁寧で早い。まるで職人顔負けの手際の良さで、とても頼もしい存在です。

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その頃、下の川から釣り人が上がってきて、「今日は比較的よく釣れましたよ」とのこと。これから上流へ向かうと、自転車で。さっそうと去っていきました。

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お昼前には、女性2名・男性3名のグループが同じタイミングで立ち寄ってくださいました。男性3名はこれから松木川の奥でテント泊をし、その後は皇海山(すかいさん)を目指すとのこと。ひと息ついた後、元気に山へと向かわれました。

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女性2名は、群馬からいらしたKさんとYさん。ハイキングに出かけるような軽やかな足取りで入ってこられましたが、なんと7時からジャンダルムの崖に取り付き、中倉山まで登った後、再び下って戻ってこられたとのこと。驚きの健脚ぶりです。お一方は以前にも立ち寄ってくださったことがあるそうで、「もう少し“みちくさ界隈”が賑わっても良いのでは?」という感想を頂きました。訪れてくださる皆さんから、こうしたアイデアを頂けるのは本当にありがたいことです。ぜひまたお越しください!

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午後には、山や沢、岩登りをされているというKさんとHさんがいらっしゃいました。1980年代にも足尾を訪れたことがあるというKさんは、当時と比べて緑が格段に増えたことにとても驚かれていました。「ジャンダルムに憧れている」と語るHさんとともに、ジャンダルムの登坂ルートを拓いた群馬の大木さんからお預かりしたアルバム資料を楽しそうに眺めていらっしゃいました。次回はぜひ、ジャンダルムにチャレンジしてみてくださいね!

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この日の足尾は、久しぶりの晴天に恵まれました。三連休は明日・明後日も「みちくさ」は開いておりますので、皆さまのお越しを心よりお待ちしております!(舎人 小柴・小黒)

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2025年7月15日 (火)

現場で日々勉強し、やりがいを感じる

 今日(13日)は2日続いての舎人になりました。朝方は、昨日と同じ濃霧注意報が発令されていましたが、天気の回復が昨日より早く、日差しもさし暑い1日となりました。作業集中日と重なり、大勢の先輩がいらしたので、森の手入れ方法等を詳しく教えていただくことになりました。001

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004 村の入り口にあるお墓に花を手向け、民集の杜(西)に入り、幹ガードの付け替えや下草の刈り取り等に汗を流しました。午前中の終了を予定していましたが、終わらすことができず、庭の手入れ組と合流し、やっと終らすことができました。人数が多いとあっという間に終わるので、ある程度の人数を揃えての作業が効率もよく楽しく作業できました。006

 杜の中には案内は無いものの、それぞれいわれのある樹木もたくさんあり、一朝一夕には覚えられないと思いました。

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 本日の舎人は、田城郁と坂口真理(筆者)でした。

2025年7月14日 (月)

いのちを大切に、無駄なものはない。

 7月13日(日)の足尾は、昨日とは打って変って、暑い一日となりました。

 今日は足尾のお盆の入りです。朝一番に旧松木村にある三か所のお墓と祠に参加者全員でお花を供えました。

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 120年以上前に廃村に追い込まれた松木村で、20年間森づくり活動を行ってきた私たち。村人が森と生きてきた想いを忘れないことと、「森びとプロジェクト」をリードし、道半ばで亡くなられた方々の勇気と情熱に感謝し、「母なる森」の手入れ作業への安全を祈念しました。

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 今日の森作業の責任者は田城さん。ミーティングを行い、今日の作業は「みちくさの庭」に植えた花が草と間違えて抜いたり刈ったりされているので、草花がどこに植えてあり、何の花があるのかわかるようにすること。「みちくさの庭」にある草花に名札を付ける作業を行うことにしました。

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 すると、「みちくさの庭」担当の松村宗さんから、「庭にあったセンダイハギが伐られてしまったので、自宅に持って行って芽を出させた」と、青々とした葉っぱを付けた「センダイハギ」を見せてくれました。それを見て、森びとの心は、すべての命を大切にする・無駄にしない心を育むことだと思いました。

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 それから先日、作業小屋にオオムラサキが舞い降りました。それは松木郷の森に「棲めるかどうか見にきたのではないか」という話もありました。「民集の杜西」のエノキに、数年前に取り付けた幹ガードが窮屈になってきたので取替えることにし、午前中はこの二か所に分かれて作業を行いました。

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 昼食後は、エノキの幹ガード取替えが終らなかったので、”みちくさ”の舎人に田城さん一人を残して、二人一組で幹ガード取替え作業を行いました。

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 暑さを気にし、休憩を取りながら幹ガードの取替えをしていると、橋倉さんが突然「あ、オオムラサキが飛んでいる!」と大声で叫びました。全員が中倉山方面を見ました。約10メートルにも生長しているコナラやクヌギなどの緑豊かな「民集の杜」にオオムラサキの姿が消えていきました。

 間違いなく、森(杜)とオオムラサキが森ともの心を育み、“森は友だち!”と絆を深めていく架け橋になると確信しました。

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 参加者したスタッフも、この森を「オオムラサキが舞う松木」に蘇らせようと、29本のエノキの幹ガード取替え作業に汗を流しました。そして、命日(7月16日)も近いので、オオムラサキが天空からメッセージを運んできているのかもしれないと想い、宮脇昭先生の記念樹に寄って「20年の森づくりの感謝と母なる森への手入れを地道に進めて行くこと」を改めて報告しました。

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  本日の森作業は、田城さん、松村宗さん、橋倉さん、武田さん、田口さん、済賀さん、加賀さん、坂口さん、大野でした。

<報告は大野昭彦>