2022年1月 3日 (月)

人間の存在が自然環境を豊かにする社会を願う森作業

今年もいつも通りに足尾・松木沢に入る還暦世代と古希世代。暫くは気温が零下、寒風吹く荒廃地の急斜面をよじ登り、獣害防止の柵やネットをチェックする。薪ストーブの暖を気遣う者、ホットコーヒーや茶菓子を気遣う者、打合せの心を落ち着かせる者、家庭菜園の冬野菜葱をお裾分けする者が集う作業小屋。2201013 何故、そんなに仲間たちを気遣い、集うのか、と聞こうとしてもその場にそんな雰囲気はない。そんなことよりも、打合せしたことをきちんと実行しようとする空気が漂う小屋の中。Photo

Photo_2 17年前に植えた60㌢程の幼木が荒廃地を森に甦らせた。春には親子の熊が柔らかい若葉を食べて、昼寝する。時にはカモシカも柵を越えてやってくる。猿の群れも草を引き抜いて、根を食べることを子猿に教えている。Photo_3

Photo_4 この森の木々も、100年後、200年後には、多くの生きものたちの棲み処となり、メニュー豊富な食堂になる。異常気象の大雨も木々が地中に溜め込み、時間をかけてミネラル豊富な水を松木川に、渡良瀬川に、そして利根川から太平洋に流れ、命の源につながっていく。2201014 地球から森作業を考えてみると、人間が負担をかけ過ぎている地球へ僅かな恵みを授けていると思いたい。多分、足尾の森づくりサポーターのシニアたちはそんな事を願って、ボランティアの恩送り作業を愉しんでいると思う。Mm  足尾・松木沢の片隅では、今年も、私たちは森づくりを継続する。こんな私たちと、ボランティアの恩送りをたのしみたい方は「森びとプロジェクト」までご連絡ください。お待ちしています。

                                      <新春・心のつぼみ>

  廃村に 厳寒告げる イヌワシの舞  (宗雄)

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  杭を打つ カケヤの音が 霜溶かす  (昭彦)

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    残していいのは足跡だけ 持ち帰っていいのは記憶だけ (勉)

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   逞しい ツララの力を 子の胸に(喜一)

Photo(足尾の雪景色写真:林子さん)

2022年1月 1日 (土)

脱炭素社会へ公平な移行を求める2022年

 森びと会員の皆様、森ともの皆様 明けましておめでとうございます。

Photo                 写真:林子さん
 人類には見えないウイルスの脅威と向き合う生活が3年目に入りました。また、想定外の異常気象による災害に怯える生活は年毎に不安を増しています。この現象は、限りない人間の豊かさを求めている人間社会の経済活動とその政治が、地球の大切な機能を衰弱していることに表れているのではないでしょうか。この認識が世界各国にあって、各国では「脱炭素社会」実現へ向けたスピードが加速しています。1

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Photo_4 私たちは、今年も“山と心に木を植える”を合言葉にして、荒廃地に木を植え、心の中には原発に頼らない、森に寄り添う人間の木(心得)を植えていきたいと思います。「脱炭素社会」の一員として、何かがおきざりにされているその社会像に、市民、労働者、農漁民、学生たちの声や要望を反映されていきたいと願っています。今年もよろしくお願いします。Photo_3 皆様のご多幸を祈念します。(副代表・清水 卓)

2021年12月29日 (水)

年の瀬の足尾・松木の里は白銀の世界でした

 12月28日、今年最後の足尾入りです。10時の天候は晴れでしたがジャンダルム方面の山は雪雲が煙のように漂っていました。気温は-3℃で、私にとっては一番の寒さでした。

 早速、山本さんがストーブに薪をいれて火を付けてくれました。外は一面の銀世界です。積雪は20cm弱あります。足跡が全くない所に初めて踏み込むのは何故か気持ちが高揚します。

Img_2911 Img_2912 Img_2915 Img_2924 Img_2922 今日やることは来年も自然と共に森作業ができるようにと祈る「しめ飾り」の取り付けです。作業小屋と遊動学舎「みちくさ」、「うんしゅう亭」に今年一年間の作業が無事終了したことへの感謝、来年の安全な作業と松木沢の里を訪れる皆さまの健康を願いを「しめ飾り」に託しました。階段が雪に埋もれているため、踏み外して転んでしまいました。気を抜かないようにとのシグナルかと思ってしまいました。

Img_2927 Img_2919 Img_2926 Img_2931 Img_2934 Img_2936 作業小屋に戻ると11時30分、陽は上がっているのですが、気温は0℃でした。雪も深いので作業は終了にしました。帰る途中、橋倉さん宅に寄り、けんちん汁とうどんを御馳走になりました。橋倉さん、ありがとうございました。昨日は、山本さんと筆者・加賀が松木沢入りをしました。足尾の森づくりを応援してくれました皆さん、一年間大変お世話になりました。有難うございました。来年も森びとプロジェクトをどうぞよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。(報告:スタッフ加賀春吾)

2021年12月27日 (月)

森林破壊をなくし、動植物の絶滅を防ぎ、次世代に多様な生態系を残そう!

 英国グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)で、2030年までに森林破壊をなくすとする共同声明が発表されました。「30年までに森林破壊を止める」という声明には、条約に参加する197カ国・地域のうち130カ国・地域以上が参加しました。

 議長国である英国のボリス・ジョンソン首相は「偉大で豊かな生態系は、自然という大聖堂を支える柱であり、地球の肺です。森林を守るだけでなく、その森を確実に取り戻せるように、一緒に取り組んでいきましょう」と呼びかけました。

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 「地球の肺」と言われる世界の森林は、1年間で世界の排出量のおよそ20%にあたる約76億トンの炭素を大気から吸収しています。森林破壊の原因は、牧畜やパーム油生産による熱帯雨林の伐採や農作物生産への転化、紙・パルプの生産、石炭や金属の採掘など、日本をはじめとする世界中の国々で利用されており、私たちの生活と無関係ではありません。

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 温室効果ガス吸収源としての森林であるとともに、地球上に暮らす76億人の25%にあたる16億人以上の人々が多かれ少なかれ生計を森林に頼っています。森林は気候の変動の影響を緩和し、生物の多様性を保護しています。そうした豊かな生態系を守る森林が、毎年約1,300万ヘクタール(東京都約59個分)も失われ、今も森林破壊が続いています。(参考:国連広報センターHP)

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 そして、森林の消失は、多くの生物を絶滅の危機に追いやっていることにも目を向けなければなりません。地球上には、現在確認されているだけでも約175万種の生物が生息しており、まだ知られていない種類も合わせると3,000万種もの生物がいるそうです。しかし、驚くことに年間4万種の生物が絶滅しているといいます。

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 銅山開発、銅の生産のために山の木々が利用され、生産過程で発生した煙害や山火事によって木々を失った足尾の山々は、大雨によって表土が流され“はげ山”となり、鉱毒が下流域の農作物や漁業に大きな被害を与えました。私たち森びとプロジェクトは「人間の壊した自然は、人間の手によって取り戻さなければならない」と、2005年から荒廃した足尾銅山跡地での植樹活動を行ってきました。

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 今年も、コロナ禍での森作業、植樹・育樹活動に、森びとスタッフ・サポーターの皆さんが献身的に参加し、森を育ててくれました。

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 人間はコロナウイルス感染に怯え、人との接触を避けてきましたが、足尾の森で生きる草花や動物たちは、種を残していくために花を咲かせ、アリやハチは花の蜜をいただく代わりに授粉を手伝い、互いの命を繋いで行きます。アナグマは土を掘りアリやミミズを探しています。秋になると雄鹿の鳴き声が谷間に響き雌鹿に求愛をしています。

 木々が生長した植樹地には鳥や風が運んだ種が発芽し、新しい森の住人となり、生態系を豊かにしてくれました。

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 「30年までに森林破壊を止める」共同宣言には日本政府も参加をしています。各国のリーダー達は、人間だけで社会を構成しているわけではなく、森に生きる多くの生物たちと同じ様に生物社会の一員として森に生かされている事を、森づくりの現場に入り、汗を流し、森・生物の声に耳を傾け、気づいてほしいものです。

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 森びとスタッフ・サポーターの皆さん、各県ファンクラブの皆さん、森ともの皆さん。子や孫、次世代に健全な生存基盤と生存可能な地球環境を残していくために、2022年も、山と心に木を植えていきましょう。

(運営委員・清水 卓)

 

 

2021年12月25日 (土)

2021年最後の足尾森作業が無事に終了しました。

 本日12月25日(土)の足尾は、青空が広がり晴天。10時の気温は5℃でしたが陽ざしもあり、寒さを感じることなく森作業日和となりました。

 

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 朝の作業打ち合わせを行い、午前中は臼沢の森の階段修繕作業、午後は各森の獣害柵点検を行うことにしました。

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  早速、スコップ、かけや、唐鍬などの道具を軽トラに積み、現地に向かいました。臼沢の森の階段を登り現地に到着すると、2人一組になり作業を開始しました。

 古い横杭の長さが120cmあり、90cmの横杭を設置するために縦杭を打ち込むと、長年踏み固められたためか、杭が沈んでいきません。岩に当たると手がしびれます。岩を掘り起こし、登りやすい高さと幅を見極めながら階段をつくりました。

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  今日は30段修繕することが出来ました。縦杭が岩や石で打ち込み切れず、横杭より少し出てしまったところは、登るときに足をつまづきやすく危ないため、チェーンソーでカットしました。今年度予定の200段の階段を修繕することができました。

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  昼食後に、12月12日の運営委員会で決定した感謝状の贈呈式を行いました。当プロジェクトの“山と心に木を植える”活動と円滑な運営に多大な貢献をいただきました福原サポーターに、清水副代表より感謝状が贈られました。福原さんから「ありがとうございました。来年も今年以上に頑張ります。」とお礼が述べられ、参加者の皆さんから拍手が贈られました。

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 その後、民集の杜、みちくさ庭の獣害柵点検、作業小屋の大掃除、チェーンソー整備などを行いました。

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 差し入れのお菓子を食べながらミーティングを行い、今年最後の森作業が終了しました。本日、お菓子類を差し入れてくれた方は福原さん、橋倉さん、清水さん、そして大野でした。ありがとうございました。

 

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 明日から強い寒気が流れ込み厳しい寒さとなるようです。感染経路不明の新型コロナウイルス「オミクロン」株の市中感染も増えてきました。感染予防につとめ、安全・健康に新年を迎えたいと思います。

 最後に、森びとスタッフ・サポーターの皆さん、この一年間、献身的に森作業に携わっていただき本当にありがとうございました。

本日の森作業は、清水、加賀、済賀、鎌田、福原、松村健、小柴、筆者・大野でした。

(報告 大野昭彦)