2022年1月11日 (火)

自然と人の豊かさを象徴する伊勢神宮の森

 昨年の話になりますが、伊勢神宮の神宮道場でお話をさせていただく機会があり、久し振りに内宮と外宮に参拝してまいりました。どちらも鬱蒼とした照葉樹の森に覆われていて、神が宿る神聖な場所であることを確信させてくれます。内宮の五十鈴川も祀られていて森と川の一体感は、美しい日本の原風景でもあります。

Photo伊勢神宮内宮の社殿と鎮守の杜

 私は植生学者なので、自ずと森に目がいきますが、森の主役はイチイガシです。日本の照葉樹林は沿海部のシイ・タブ林と内陸のカシ・モミ林に分けられますが、内陸のもっとも肥沃な土地に成立するのがイチイガシ林です。そのような豊穣の土地に伊勢神宮が祀られているのは偶然ではなく、自然と人の豊かさの象徴であるということです。参道から森を覗くとヤブツバキ、サカキ、ヒサカキ、カクレミノ、トキワガキ、バクチノキ、ヤマビワ、コバンモチ、カンザブロウノキ、ミミズバイ、バリバリノキ、イズセンリョウ、ハナミョウガ、ホソバカナワラビなど植物相もなかなか豊かで、長い年月を経た自然林でないとこのような種の多様性は保てないのですね。

Photo_3伊勢神宮内宮のイチイガシ

 

 私の知る限り、福岡の太宰府天満宮と大分の宇佐神宮にもイチイガシ林があり、豊かさの象徴になっています。伊勢神宮を始め、これらの境内にはクスノキの大径木もあって、ご神木になることも多いのですが、クスノキは中国か台湾から持ち込まれた樹種で、成長が速く立派になるのですね。

(運営委員会代表 中村幸人)

2022年1月10日 (月)

南相馬市応援隊は新たな気持ちで森作業スタート

 南相馬市鎮魂復興市民植樹祭の市民応援隊は、本日(1月10日)初顔合わせを兼ねた今年初の森作業を行いました。育場近くの海岸は、うねりが強く、「ドドド~ン」という音と波しぶきを上げていました。気持ち的には、いかなる荒波にも負けずに頑張れよ!と聴こえてきました。

2022110 集った仲間たちは、「今年もよろしく」と笑顔であいさつ、コーヒーを飲みながらの打ち合わせを行いました。今日の作業は、ポット苗木を寒さから守るために追肥と肥料の補充でした。

2022110_2

2022110_3

 培養土の補充・方法については、岩橋インストラクターから、「単にポット内に上乗せすることなく、苗木の根の近くにも丁寧に補充するように心がけてください」との説明を受けました。

2022110_4

2022110_5

2022110_6

 休憩タイムでは、各スタッフから今年の抱負、13日から始まる南相馬市長選挙に立候補表明している応援隊顧問の前市長・桜井勝延さんを支援する取り組みを話し合いました。小川事務局からは、市民が安心して暮らしていくために脱原発を推進し「命を守り、未来を築く」ことの大切さを訴える桜井勝延さんを支えていく決意が述べられました。

2022110_7 休憩後、松林家庭園長?は春野菜づくり用の土を耕し、鍬をふるっていました。水撒き作業の準備には松本スタッフが岩橋スタッフから機器操作を教えてもらい、今後の森作業に自信をつけていました。

2022110_8

2022110_9

 今日の作業スタッフは、渡部代表、松林副代表、岩橋事務局、小川事務局、松本スタッフ、道中内スタッフ、、原田スタッフ、東城スタッフでした。お疲れ様でした。

 作業終了後、松林副代表、岩橋事務局、原田スタッフ、東城スタッフで桜井事務所に激励・訪問しました。桜井さんは私たちの訪問に笑顔で応え、この10日間の選挙戦を草の根活動で市民一人ひとりに寄り添い、意見を聞きながらがんばっていくという決意と熱意があふれる闘志が見られました。

2022110_10

                                 (報告 東城敏男)

2022年1月 8日 (土)

日光・「城山の森」で100年後の森の夢見る

Photo_7 明けましたおめでとうございます。私たちが育てている日光市「城山の森」の新年を迎えた様子をお届けします。昨日、私と大野さんで「城山の森」に行ってきました。

Photo_9 登山入り口からの階段を登ると、途中、散歩している初老と思われる二人とすれ違いました。午後3時過ぎに、弱い寒風吹く中を、杖をついて散歩している二人を見てびっくりしましたが、「こんちは」とあいさつをして別れました。

Photo_11 そこから少し先を登ったところがその森です。私は、足元の霜柱の土壌で育つ苗木を見て、スクスクと大きくなっていることに確信をもちました。今年も、苗木はウサギやシカなどの獣害に遭っていませんでした。稜線から見る雪化粧の女峰山、男体山などの景色が最高の癒しになりました。この苗木たちも春になると若葉が輝き、散歩する方々の元気の素になることでしょう。Photo_12 やがては全ての生物の命の営みに欠かせない小さな森になってくれるでしょう。そんなことを二人で話合い、春からの育樹作業の計画を話し合うことにしました。

頂上付近で、新春の句を詠みました。

★寒中に きりっと春待つ 城山桜(春吾)  ★ 凍空に 城山の樹々 待つ頂芽 (昭彦)Photo_13  お粗末様です。(報告 加賀春吾)

今年も足尾の荒廃地に森を育てることを誓う

Photo 2022年を迎えた昨日、古河機械金属(株)、林野庁日光森林管理署をはじめ足尾の森づくりでお世話になっている方々に新年のあいさつをしてきました。Photo_2

Photo_3 足尾の気温はマイナス1℃。同行した加賀スタッフと私は、寒い中での太陽の日差しの有難さを肌で感じながら、足尾の自然界に、「昨年同様、本年も宜しくお願い致します。」、と祈りました。Photo_4

Photo_5 その後、「みちくさ」、「作業小屋」に取り付けた「しめ飾り」を外し、二人は森づくりの新たな気持ちに切り替えました。広場周辺には、昨年降った雪が10cm以上も積もっていました。昼食も取らずにいた事も忘れ、時間は午後2時半を過ぎていました。Photo_6 足尾の帰りには、栃木県ファンクラブが育てている帰路途中の「城山の森」に寄りました。森ともの皆さん、私たちは、今年も足尾の荒廃地に小さな森をつくります。健全な地球が持続するために、皆様のご協力をお待ちしています。Cimg0028
(報告 大野、加賀)

2022年1月 6日 (木)

原発増設前提で走るEV車は本当に人に優しい?

 吹雪の日は本や新聞を乱読して時間をつぶしている。新年早々気になることがある。世界各国で「脱炭素社会」へ向けた様々な技術競争が行われているが、その社会には人の生命が第一ということが置き去りにされている気がしてならない。Photo ウォークマンでビートルズ曲を愉しんだ私だが、その商品製造会社グループが電気自動車(EV車)を設立するという。その他にもアップル、グーグルも参入するのではないかと新聞報道されている。EV車は「脱炭素社会」のシンボルとして注目され、世界市場では「戦国時代」を迎えているという。Dscn9088  EV車はガソリン車よりも部品が少なく、製造技術的にも障壁が少ないという。モーターは電気で稼働し、二酸化炭素を排出しないので地球には優しい。しかし、例えば、日本の全乗車すべてをEV車に置き換えられると、モーターを動かす電気を賄うには100万㌔㍗原発が10基、50万㌔㍗火力発電が20基の増設が必要になるという。(経済産業省の試算)Photo_2  こうした中で、EU欧州委員会は、「原発には脱炭素社会へ移行する促進の役割がある」という考え方を加盟国へ提案した。各国の「脱炭素社会」は潮流には危険な考え方が潜んでいるようだ。P1030925  誰もが格差の無い、安心して生活できる平和な社会という理念は「脱炭素社会」像には見えない気がする。ビニールハウスで野菜・果物を生産している農家、軽油や重油を燃料とする漁船の行方を心配する漁漁師、エンジンよりも部品が少ないEV車であれば部品製造を担ってきた労働者の雇用が不安、AIが労働現場に浸透・拡大する中で雇用不安が止まらない学生などの気持ちを考えると、気が収まらない。202112  新年早々の私の気持ちは、ビートルズ曲やボブディラン曲をウォークマンで聴いていた当時の社会変革エネルギーを再び燃やすことはできないものか、だつた。レコードを聴いて、その作戦を練ってみる。(顧問 高橋佳夫)