2025年8月25日 (月)

高校生の「森は友だち探し」、 “友だち”が見つかりました。(その1)

 8月23日(土)、松木郷は雲間に青空が広がり、9時の気温は24度。日中は30度を超える夏日になりました。今日は栃木県・那須拓陽高校から9名、群馬県・樹徳高校から15名の生徒、先生、保護者の皆さんが足尾・松木郷に来てくれました。

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 10時過ぎ、森びと広場の「うんしゅう亭」に全員が集合し、大野スタッフの司会でオリエンテーションを行い清水副代表から、両校の皆さんの環境学習を通じた森づくりや中倉山のブナ保護活動への協力に感謝が述べられました。

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 その後、両校の先輩が植樹・育樹を行っている「民集の杜北」に向かいました。「民集の杜北」植樹地の東側には、足尾銅山が銅を製錬した際に出た鉱滓(カラミ)の堆積場があり、現在も一部が残っています。

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 100年前の面影を残す堆積場跡には、緑化事業によって荒廃地に種の撒かれたヤシャブシ(空気中の窒素を吸収し肥料に変えられる)が2本草地に生えていますが、煙害(亜硫酸ガスの放出)によって木々を失った荒廃地に緑を回復することの難しさを見ていただきました。

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そして、その西側に2014年から植樹を行っている森びとの植樹地「民集の杜北」があります。

鎌田スタッフより、「ここの土地は豊かな表土を失い、草の下には岩と砂で覆われているのが特徴で、木を植えるにあたっては開墾して岩をどかし、黒土や腐葉土、堆肥、炭を入れて土壌を作り直して植樹を行ってきた」と、木々が生長できる土壌をつくることから森づくりがスタートしていることが話されました。人間が土地に働きかけると杜を甦らせることができる。「負の遺産」から「未来の宝・遺産」へ。この場所から、現在・過去・未来、「母なる森」を想像し、東の入り口から杜に入りました。

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201446(2014年 開墾の様子)

 杜内の案内は大野スタッフ「ふるさとの森づくり」や「桐生ローターアクト」の皆さんが植樹した木々が生長し森のトンネルを形成。この場所では2018年に那須拓陽高校の生徒の皆さんが植樹を行っています。膝くらいの苗木が4mほどに成長しています。

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2018(2018年 那須拓陽高校生が植樹)

 先に進むと樹徳高校の植樹地があります。日の当たる通路から木々の生長によって光が遮られた杜内に入ると一瞬暗く感じますが、みなさん「涼しい!」と木々の葉の蒸散作用を体感しました。

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 2016年、2017年に植樹が行われ、2018年から草刈りなどの育樹が行われました。木々の競争によって樹高が伸び、幹は細いですが、現在は互いに競争しあっている段階です。後輩の皆さんは先輩が植樹した森を確認し、先生方は、膝ほどの苗木が見上げるほどに成長していることに、驚きと喜びの声を上げていました。林床にはクリのイガが落ちており、サルや熊、昆虫たちの食料も供給する森に育っていることを実感されていました。

20177_23(2017年 樹徳高校生が植樹)

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 「糺の森」(ただすのもり)で小休憩。熱中症にならないよう水分補給しました。橋倉さんから「糺の森」と名付けた由来が話され、西の松木川源流にそびえる岩山“ジャンダルム”(通称・足尾のグランドキャニオン)を背に集合写真を撮りました。

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 杜の出口には「ヤマナシ」の木あります。松村宗雄スタッフからこの地に植えられた由来が紹介されました。「栃木県鹿沼市に南摩ダム建設が計画され、この地に生える“ヤマナシ”(果樹のナシはこのヤマナシから改良されてできたもの)が水没してしまうため環境保全に取り組む方が種を採取しました。その種を譲り受け幼木に育てこの地に移植したものです。」と話されました。

「異常渇水時の緊急補給用水の確保」という理由によって人々の暮らす土地や木々が水没してしまいます。古代から食用や器具、彫刻など人間の暮らしに生かされてきた“南摩のヤマナシ”のDNAを持つ幼木を“旧松木村”で育てています。春に白い花を咲かせ、秋に3㎝ほどの実をつけます。

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 1時間半ほどの「森は友だち探し」でしたが、森の「友だち」は見つけられたでしょうか。

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 森の案内を終了し、森びと広場に移動。記念樹コーナーには、2023年に樹徳高校生が植えた「ホオノキ」と2018年に那須拓陽高校生が植えた「エノキ」があります。この「エノキ」の葉はオオムラサキの幼虫の餌となります。成虫はクヌギやコナラの樹液を吸います。「民衆の杜」のクヌギやコナラは樹液を出すようになりました。7月10日、松木の森にオオムラサキが飛んできました。後輩の皆さんに、先輩が植えた「記念樹」の生長を確認していただきました。

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 「うんしゅう亭」に戻り昼食を取りました。昼食は足尾町内の「子ども食堂」のお弁当です。町内のお母さんたちの愛情こもった手作りお弁当をいただきました。

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(報告:清水 卓)

2025年8月23日 (土)

今年も子どもたちと育苗活動

 8月22日、朝晩は若干涼しさが感じられるようになったものの、日中は気温32度を超える暑さとなりました。

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Dsc01370_2    シートで日陰を作り、打ち水をしながら、こまめな水分補給と休憩を心掛け、ポット苗への水やりと、タブノキ・スダジイ・アカガシ等、291本の苗分け・ポット苗づくりを行いました。

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Dsc01374    人間の活動によって引き起こされている、気候変動(=地球温暖化)が益々進行し、地球の回復力が失われようとしている今。小さなことですが、ポット苗を作り、山に木を植えていくことを、子供たちと一緒に実践していきます。

(報告:宮城県ファンクラブ・林雄一)

「森は友だち探し」の準備が整いました。

 8月22日(金)、足尾・松木郷は曇り空。9時の気温は24度です。久しぶりに30度以下の「森びと広場」です。

 明日は栃木県・那須拓陽高校と群馬県・樹徳高校の生徒、先生、保護者の皆さんが「森は友だち探し」に来てくれます。

 両校の生徒の皆さんが植樹や中倉山のブナ保護に参加してくれています。コロナ禍で足尾入り出来ない時期もありましたが、生長した森に入り「森の友だち」を探すサポートをします。何が見つかるか楽しみです。

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 午前中は、杜の中で意見交換をする舞台づくりです。苔の広がる「民集の杜西」の杜内に丸太と甲羅板を使ったベンチづくりを行いました。

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 桜の道にロの字のベンチをつくりますが、開墾したときに岩を積み上げた場所で石が多く松木川に向かって下り坂になっているため、丸太を安定させることと、甲羅板を座りやすい高さにするのに苦労しました。済賀さんがチェーンソーで丸太を切り、その場所に合わせ、身長差のある加賀さんと坂口さんが交互に座り、膝の曲がり具合や座り心地など「こんなもんだな」と確認しながら繋いでいきました。

 

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 唐鍬やカケヤを使って丸太を安定させ、丸太と甲羅板を釘やカスガイで固定するため汗が出ますが、森の中は枝葉が日差しを和らげ風が吹きぬけるので「気持ちよく」作業が出来ました。

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 最後のベンチをつくり終えたのがちょうど12時でした。「やったぜい!」と記念撮影。道具を片付け昼食にしました。

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 午後は、森びと広場と樹徳高校の「ホオノキ」、那須拓陽高校の「エノキ」を植樹した「記念樹」エリアの草刈りを行いました。

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 その後、「こころの園」の草刈りと雲集亭のミーティング・昼食会場づくりに分かれ作業を行いました。草刈り班が会場づくりに合流しセッティング終了。

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 全員で「民集の杜北」の案内コースを確認し、帰路につきました。

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 本日の森作業参加者は、大野さん、橋倉さん、加賀さん、済賀さん、坂口さん、筆者・清水でした。

(報告:清水卓)

2025年8月17日 (日)

緊張感のある駆除作業を終え、一安心

 本日9時過ぎの足尾の天気は晴れ時々曇り、気温は30℃でした。長いお盆休みの最終日のためか、みちくさを訪れる方はいらっしゃらないので、舎人の2人(永島・小林)も森作業をすることになりました。

20250817_101446_3 今日のメインは、森びと広場にあるうんしゅう亭の屋根部分にあるスズメバチの巣2つの駆除をすることでした。この時期はスズメハチの営業活動真っ只中で巣も大きくなると言われていますので、23日に足尾を訪れる高校生のため、森の手入れをするスタッフの安全のためにも最優先してやることになりました。

20250817_094154256_3 作業の着手前に入念に打ち合わせ。

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 安全にスズメバチの巣の駆除するために説明書の内容を確認。①巣にゆっくり近づき、風上側の約3m離れた場所から駆除エアゾールを噴射する②噴射しながら、さらに近づき、約1m離れた場所から、巣穴の中に10秒以上噴射する③処理後の巣は、袋に入れたり、土に埋めるなど、すみやかに処分すると記載されていましたので、シミュレーションをしました。故・小井土さんの網を使用し、網で巣を塞ぐもの、駆除エアゾールを噴射するものに役割を分担。1枚目の写真のように、皮膚を露出させないように清水さんの手作りの防護服、振動防止手袋、長靴を着用し、いざ作業に着手です。

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 20~30㎝ある巣に近づくと、見張りのハチが待ち構えていました。

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20250817_102348_2 約5分後…

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20250817_103035 無事に2つの巣を駆除。

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 5名全員、一仕事を終えて満足感に浸っていますが、後処理があり刺される危険があるため防護服を取ることはできませんので、顔は見えませんね。

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 午後は、みちくさの周りと広場から民集の杜・西の草刈りをしました。

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 初めて舎人の永島さんは、「日陰に入って作業ができて良かった」と仰っていました。

 本日の作業者は清水・永島・橋倉・坂口・小林でした。(報告者:小林)

2025年8月11日 (月)

 森の中で若者たちと意見交換・交流の準備

 8月10日(日)の足尾は、朝9時の気温が20℃。松木渓谷のジャンダルム方面は深い雨雲に覆われていました。朝からザーザーと音をたてて雨が降り、いままでの猛暑、酷暑が嘘のような一日となりました。

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 森びと広場に行くと、先日「本坪の鈴」を取り付ける支柱を設置した所にキジが散歩に来ていました。

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 参加者全員が揃ったので、責任者の清水スタッフから、「今月23日、松木郷の森に樹徳高校や那須拓陽高校の先生、生徒、保護者24名の皆さんが「森は友だち探し」に来ていただけるということになりました。」その準備を行いますと話がありました。

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 午前中は、全員で「民集の杜北」の散策通路の整備を行ないました。刈払い機、鎌などを持って、森内を安全に散策が出来るように点検、草刈り、枝払いなどを行いました。森内での作業では、蒸し暑く汗をびっしょりかきました。朝のミーティングで「民集の杜北」に「白い花が咲いている」と話題になったので、草刈り終了後に見に行きました。それは「ボタンヅル」であることが分かりました。

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 昼食後は、うんしゅう亭内の整理整頓を行う組と意見交換の場所とベンチの設置組に分かれて行動しました。

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 ところが、「うんしゅう亭」内の垂木や甲羅板などを整理していると、黒い帽子を被って作業をしていたスタッフにスズメバチが体当たりで攻撃してきました。天井を見上げると約30cmのボール状の巣があり、スズメバチがブンブンと巣に行き来していましたので直ちに「うんしゅう亭」内の作業を止めました。その場から離れたのでハチに刺されないで済みました。

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 一方のベンチ設置組は、甲羅板と丸太杭をあっちこっちに置いては座り、苔が茂る森内で心地良く意見交換ができるようにイメージを作りました。若者たちが、安全で希望が持てる森の観察と意見交換・交流にしていくために準備を行うことにしました。

 その後、2組が合流して、森びと広場の桜の幼木に取り付けてあるビニールの幹ガードが窮屈になってきたので金網の柵に取替えを行いました。 

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 本日は雨のため「みちくさ」は閉舎にしました。雨が強くなってきたので、作業小屋でミーティングを行い、本日の「森の手入れ」を終了しました。雨の中スタッフの皆様お疲れ様でした。 

 本日の森の手入れは、松村宗、福原、加賀、田口、坂口、田城、永島、清水、そして筆者大野でした。

<報告者:大野昭彦>