2025年5月20日 (火)

日光市城山に育つ「ふるさとの森」

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 久しぶりに「城山・ふるさとの森」を見てきました。この森は5年前、17種の苗木を1千本植えたところです。山道の右側には桜を植えて、地域の方々や身心を鍛えている方々が楽しめるような景観をつくりたいと願っていました。その桜も含めた苗木は植林ボランティアの気持ちに応えて写真のような森へ育っていました。2年後には森の下を走るJR日光線の電車は見えなくなるようです。

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Photo(2025.4.13 ソメイヨシノ)

Photo_2(2025.4.13ジンダイアケボノ)

 ここの森づくりは、地元の(株)大和木材さんの協力を得て、針葉樹の樹々を伐採した跡地に落葉広葉樹を植えてきました。日光市、日光市教育委員会の後援も受けた森づくりですので、市民の皆さんと一緒になって“森と生きていく大切な友だち”が体感できる森に手入れしていきたいと思っています。

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 来月(6/2)は、山道の草刈りを行う予定です。時間のある方はご協力をください。

(報告・栃木県FC・大野昭彦)

2025年5月17日 (土)

辛かった20年前の思い出が、誇りと自信に変わった。

 5月16日(金)は、東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)トップリーダーたちが足尾の森を散策しました。天気は晴れ、気温は19℃で絶好の散策日和になりました。Img_0036 先ずは皆さんを案内するスタッフの打合せを行い、皆さんを迎える準備を済ませました。森の案内者は、橋倉、加賀、そして大野さんです。案内に当たっては、案内人の体験した気持ちを述べていくことの大切さを高橋アドバイザーから受けました。私は、「どこかの文章を抜き出したり、他人が言ったことをそのまま引用するのではなく、自分の言葉で案内する」ことの大切さを再認識しました。Img_0041 

Img_0053 森の案内本番まで時間がありましたので「みちくさ」のベンチ周りに高橋さんから頂いたパラソルを立ててみましたが、傘がちょっと低くなり、パラソルを使っていくには調整が必要のようでしたImg_0063 「うんしゅう亭」では以前このブログで紹介された「森ともの鈴」(愛称名)の設置の準備も進められていました。この地で「母なる森」の手入れをしている私たちやこの地を訪れる方々の心に遺る音色を出してほしいと私は願っています。

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Img_0060 11時過ぎ、JR東労組のトップリーダーたちが到着しましたので、歓迎の挨拶をした後、昼食。その後は、記念植樹をしました。記念樹はクリの木で、リーダーたち一人ひとりが穴に土を入れている顔を見ていると、何百年も生きてほしいと願っている様に私は感じました。橋倉スタッフからは、縄文人の生活とクリの木のつながり、鉄道輸送とクリの木のつながり等からクリの木を選んだ私たちの気持ちを伝え、改めて木に寄り添って生活し、生存している現実を感じてもらいました。Img_0071_2

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Img_0093_2 記念植樹の後は、「臼沢の森」と「民集の杜・北」の散策を行いました。「臼沢の森」では、荒廃地・草原の土壌づくり、その後の動物たちと人との知恵比べ等をしてきた育樹活動の苦労話しを報告しました。その苦労があって多くの生きもの達が生存できるような森に育ち、今では生きものにとって森は大切な友だちであることを体感できる森になっていることも報告しました。

 また、この森の中にある「M&mベンチ」では、森づくり運動の提唱者である初代JR東労組委員長・松崎さんと森づくりのスペシャリストであった宮脇さんが「山と心に木を植える」運動を決意した地であることを報告しました。さらに、散策しているこの森の樹木には、トップリーダーたちの先輩たちが体験した時に発した「二度と足尾には行きたくない。行かない!」という労苦の声が宿っていること、それは働く者たちの初挑戦の情熱と希望が結実していることでもあるとことを報告しました。

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Img_6071 「民集の杜・北」に移動した皆さんには、この杜は世界から日本の団体、そして日本の学生から幼児までが育てた森であり、森びとと人との協働がつくりだした森であることを報告しました。その方々の思いは、この杜の東側を見ると分かることを話しました。「過去(人間の都合だけを押し付けた銅精錬の滓堆積場)・現在(人が何にもせずに放置している栄養が少ない荒廃地で生き抜くパイオニアのヤシャブシの木)・未来(この荒廃地に人が少しばかり手入れをすると「いのちの森」が育つ杜がある)ということがイメージできる地でもがあることを紹介し、異常気象の猛威で生存が脅かされている私たちの生活スタイルを見直すためにもこのゾーンを多くの皆さんに紹介していきたいことを伝えました。Img_0107

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Img_0134 15時からは20年前から森づくりをすすめてきた高橋さんから森は人が育てる話がありました。話では、異常気象が生存を脅かし、少子高齢化社会等の課題が山積みされている混迷の現社会のなかで将来世代が生き抜く思考力を豊かにしてほしいとという襷がトップリーダーへ手渡されている様でした。

Img_0144 その後、意見交換を行い、皆さんは帰路につきました。労組のトップリーダーの皆さん、森の散策をしていただきありがとうございました。森と生きる働く者の生存のために、森の友だちと大きなスクラムをつくって森と生きる将来社会を目指してください!

 案内したスタッフは、高橋さん、山本さん、橋倉さん、林子さん、田城さん、大野さん、大山さん、清水さん、筆者・加賀でした。

異常気象に向き合う草木の心構え?

20250517 梅雨を感じさせる足尾・「松木郷」の出会いの場・「みちくさ」。雨降る中での朝の気温は15℃。昼過ぎても気温は17℃で、いつもならオオルリやエゾハルゼミの鳴き声が聴こえるのに静かな一日中でした。この雨でヤマツツジの花びらは落ちそうです。この時季、緑一色の「松木郷」で目立つのは甘い香りを放っている白い花のミツバウツギ。何故かこの香りがすると私の頭には初夏の雰囲気が感じられる。20250517_2 昼過ぎ、雨が小降りになった瞬間に、頂いたパラソルを立ててみました。九州地方では観測史上初の早い梅雨入り。例年よりも早い時期に熱中症対策をしなくてはならないような気象予報。少しでも役に立ってほしいと願い、パラソルをたたみました。20250517_3 一日中雨の日でしたので訪問者はいませんでした。2人の舎人は、足尾町民から寄せられている草木の移植について話し合いました。町民からの高齢化が進んでいる中で、町民が大切に育ててきたシャクヤク、シャクナゲ、ゴヨウツツジ、サンショウを「みちくさ庭」に移植するスケジュール案を固めました。今月中に、町民が大切に育ててきた木々に樹種と氏名を記したプレートを付けて植えることにしました。20250517_420250517_6 昨日次世代を生きるJR東労組のトップリーダー達が植えたクリの木は今日の雨に元気を貰っている様でした。クリの木の背後に映る20年前に植えた樹々の森もエネルギーを蓄えて猛暑に向き合う準備をしているようでした。「こころの園」ではアヤメが蕾を膨らませていました。20250517_5

 千葉の森とも・相川さん、ソラマメありがとうございました。

20250516 本日の舎人は、橋倉、髙橋でした。(報告・髙橋)

2025年5月15日 (木)

2025年春の山火事

    前回はこの欄で雪害の話を書いたのですが、今回は一転して山火事についてです。

    国内では岩手県大船渡市で2月末に発生した山火事が記憶に新しいところです。これは平成以降日本で発生した最大規模のものともいわれ、焼失面積は2,900ヘクタール。数多くの現住家屋が焼失し、一人の方がなくなりました。大船渡市では、この前後にもいくつかの火災があり、他にも日本各地で発生しました。

    さらに激しいのが、1月に米国ロサンゼルス地域で発生した山火事で、その焼失面積は約16,200ヘクタール。15万人以上が避難し、この中にはドジャースの大谷選手もいたことから、日本でも大きく報道されました。この災害では24人の方がなくなっています。被害にあわれた皆様には心よりお見舞い申し上げます。Screenshot_20250515_184204_word

今年の山火事予防のポスター

 

    山火事の原因はいろいろ言われますが、その多くは人為によるものです。最近ではごみの焼却、野焼き、キャンプの焚火などが主な原因になっています。乾燥し風の強い時期、例えば北国の春の雪解け時期などには細心の注意を払う必要があります。

    国有林の職員として働いていたとき、特に北海道などでは5月の連休がこの山火事危険期にあたるため、休みの日も職員が分担して署に待機していました。もちろん対策は国有林だけではできません。危険期の前には自治体、消防、住民組織と連携して、地域住民へ注意喚起し、何かあれば消防、森林管理署へ連絡してくれるようお願いする会議などがありました。

    足尾の山林荒廃も、銅精錬の煙害だけでなく、繰り返し起きた山火事も原因の一つと言われ、日本一の造林地である北海道のパイロットフォレストも山火事の跡地です。

    山火事による被害は経済的、人的なものだけでなく、地域生態系も甚大な影響を被ります。そうした中、最近は地域の結びつきの希薄になっていることが気がかりです。

(運営委員・井上康)

2025年5月14日 (水)

「松木郷の森」は花盛り、蜜を吸い命をつなぐ森の友達たち

 5月13日(火)、足尾・松木郷の森は青空が広がり、9時30分の気温は17℃。昼過ぎになると日陰のない森びと広場の気温は26℃に気温も上昇、夏日となりました。

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 今日の森作業は、午前中は16日に「エコ散歩in足尾・20年の森の生長観察と記念植樹」に来られるJR東労組本部の皆さんの受け入れ準備。午後は「民集の杜北」の林縁に生えるムラサキシキブ(南東側)とアセビ(東側)の移植に向けた現場調査を行うことにしました。

 JR東労組は、森びとプロジェクトの活動をスタートから支援してくださる皆さんで、記念植樹には、鉄道のレールを支え、縄文時代から人間が食料として・家材として利用してきたヤマグリの幼木を植えます。ヤマグリの幼木は、高橋アドバイザーから提供いただき、栁澤スタッフが運び入れてくれました。

 植える場所は森びと広場の「記念植樹エリア」です。クヌギやホウノキ、エノキ、モミジなど大きくなる木が植えてあり、生長を見越して植える場所を決めました。

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 道具を準備し、植える穴を掘り始めました。表層は草が生え黒土もあり柔らかかったのですが、堀進につれ、砂土と小石の層になりスコップが刺さりません。ツルハシで固まった砂土に穴をあけ、崩しながらかきだしました。「カーン!」と岩にスコップが当たる音がし、手がしびれます。岩の周りの砂を崩し、ツルハシを差し込んで隙間を開けながら掘り出しました。木々を失った山から転がり落ちてきた岩の多さに悲鳴を上げながら、腰を落とし両手で持ち上げて穴の外に出します。一気に疲れがでます。交代しながら幅120cm、深さ70㎝の穴を掘りました。

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 根が下に伸びる様に黒土を10袋入れ、その土地になじむように砂土を戻して混ぜます。

 土が乾かないようにブルーシートをかけ、ヤマグリの幼木も根周りの土が乾燥しないように土を盛りました。幹が風で倒れないように竹の支柱を縛りました。

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 記念植樹エリアは獣害柵で囲んでありますが、サルの食害を警戒し、幹をガードする柵を組み立て、16日の植樹準備を終えました。

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 昼まで1時間ほどあり、広場に植えたハルニレに「次世代の木」の看板を立てました。

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 続いて、東側に植えたカツラの幹ガードが伸びた枝と葉で窮屈となって、生長を妨げており、鉄製の獣害柵に取り替えました。

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 ちょうど12時になり食事休憩としました。昼食後に16日の案内スケジュールと担当、案内ポイントの打合せを行い、午後の作業に入りました。

  「民集の杜北」の西側入口にはツツジが真っ赤な花を咲かせ、ドウダンツツジが可愛らしい花を咲かせています。

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 ムラサキシキブは密状態で柵から枝を伸ばしているため、次回根の張り具合の確認や、移植する木を選定していくことにしました。東側獣害柵沿いのアセビをどこに移植するか杜内を歩くと、東西に延びるヤシャブシ北側の堀の斜面に黄色い花が咲き、モミジやサクラの幼木が生えていました。斜面の土がふかふかし、林縁で適度な光が入り込んでいることから、アセビの移植地に良いのではないかと話になりました。

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 「民集の杜北」には、岸井成格さんと宮脇昭さんの記念樹があります。5月15日が岸井さんの命日(2018年没)となり、ホウノキの食害ネットを外して生長を観察しました。これから葉を広げる様子です。そして、2015年に岸井さんがボランティアの皆さんと一緒に植樹した苗木たちは立派な杜に生長しています。

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2015521≪2015年5月21日 足尾・ふるさとの森づくり≫

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 煙害で山の木々が枯れ、廃村となった松木村跡地は草むらが広がっています。精錬ガスから硫酸を取りだすようになり69年、閉山から52年経った今もその様子は変わらないようです。人間が草地を開墾し、わずかな黒土や腐葉土を入れ苗木を植えると、木々の競争と風や鳥、動物たちが加勢して森の仲間が増えてきました。「まだまだ20年。温暖化の影響は世界中に被害をもたらせているぞ!」と岸井さんの激が飛んできそうです。

 松木郷に蘇りつつある小さな森・杜を「母なる森」へ、多くのボランティアの皆さんと力を合わせ育てていきたいと思います。

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 作業小屋に戻りがてら「民集の杜東」のフデリンドウが花開いているか見に行きました。2㎝程の小さなフデリンドウが咲いていました。また、シロガネスミレやギンランも花開いていました。大きな桜を見上げた後は、足元の小さな花々が楽しめる松木郷の杜に生長しています。16日に来られるJR東労組の皆さんと、森に住む「友だち」探しをしたいと思います。

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 本日の森作業参加者は、大野さん、橋倉さん、加賀さん、栁澤さん、矢口さん、筆者・清水でした。

(報告:清水卓)