2025年9月 8日 (月)

森づくりは人づくりを実践

    9月6日、宮城県ファンクラブは、今年2回目の育樹作業を行いました。2ヶ月ぶりの名取「いのちの森」は、連日猛暑・酷暑・炎暑と危険な暑さが続いていましたが、雨が少なかったためか、草の生長の勢いがあまり感じられません。

Dsc01380_2    周りを刈払機による草刈りと、森の中は近年増えてきたイネ科の草を、生長点の下から取り除く作業、さらに56本の補植を行いました。Dsc01377

Dsc01378    苗分け・ポット苗づくりに参加している仲間に、作ったポット苗を直接植えてもらい、興味を持っている仲間を、引きつけていけるように取り組んでいます。森作業を通じて、木を植えることの大切さや、人と自然の関わりと森に寄り添って生きる人間だということを学びながら、人間の活動によって慢性化した異常事態の中、命が脅かされる危機的な状況から、命を守る心構えと備えの大切さを仲間達と共有しています。(報告:宮城県ファンクラブ・林雄一)

樹々たちの恵みで「秋祭り」を願う

 9月7日(日)、足尾・松木郷の朝8時30分の気温は21度で、秋の気配を感じる過ごしやすい気温でした。9時前に参加者全員が集合し、「森の手入れ」の打ち合わせを行いました。

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 清水スタッフから、本日の森の手入れ作業は「みちくさ庭の草刈りと民集の杜北を散策し、森の案内のポイントをどうするか考えたい」と提案がありました。参加した森びとスタッフで意見を出し合い、森の手入れについて少し話し合いました。

 秋の彼岸の頃に綺麗な花を咲かせる“ヒガンバナ”が草に覆われており、年々花数が少なくなっているので、「花芽が出やすいように草刈りを行う」と、草刈りの目的をはっきりさせ参加スタッフと心を一つにしました。あらためて、話し合うことの大切を実感しました。

 森びとスタッフは、森づくりについて自分なりの考えを持って参加しているので、草刈りや森の案内を何故行うのかを話し合い、人間関係を深めていくことが「母なる森」への手入れでは大事だということが心に残りました。

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 直ちに、みちくさ庭の草刈りに行きました。ヒガンバナの花芽はまだ出ていませんでしたが、手で引っ張っても抜けない草で一面覆われていました。特に、竹柵で印を付けてあるヒガンバナやイヌサフラン、バイカイカリソウ、リンドウなどの周りを手鎌で丁寧に刈りました。

 作業を分担して、鎌田さんや清水さん、済賀さんには、庭の周りや通路、畑などを刈り払い機で草刈りをしていただきました。また、髙橋さん、柳澤さんの二人には社務室の整理を行っていただきました。

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 午後は、「エコ散歩in足尾」の森の案内を構想するために、参加者全員が「民集の杜北」を散策しました。私も初めて聞きましたが、「民集の杜北」の東の入り口から100mぐらいの所に、仁平範義さんが植えたサクラの木が7mほどに生長していました。(写真:石を止めている木)

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(オニグルミの実)

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(鳥散布で杜の仲間になったコウゾの木)

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 その近くには、鎌田さんが種から育てたオニグルミの木も幹の直径が15cm以上にも大きくなり見上げると立派な実をつけていました。皆から「凄い」と褒められた鎌田さんも笑みを浮かべていました。

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(カシワの実)

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(コブシの実)

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(ヤマボウシの実)

Cimg0014(コナラの実)

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 作業小屋に戻る途中の道端から森を観ていると、今年の「松木郷の森」は秋の味覚、ヤマボウシ、クリ、クヌギ、コブシ、カシワなどの木に実がいっぱい付いていました。それを見て、20年の森づくりの苦労が報われ、木々の姿に心も和みました。この秋に人間も含めて、「森の恵み」に感謝する、生き物たちの「秋祭り」を願いました。森内の散策を終了して、「母なる森」への手入れが少し見えてきた一日でした。

 本日の「母なる森」の手入れ参加スタッフは、清水、永島、済賀、柳澤、鎌田、髙橋、松村宗、橋倉、加賀、そして筆者大野でした。

<報告:大野昭彦>

2025年9月 4日 (木)

足尾の森と樹徳生の心をつなぐ『アカシアの樹』

 8月23日に開催した『高校生の「森は友だち探し」』に参加した樹徳高校FM桐生放送委員会の生徒の皆さんが、9月3日(水)「防災の日」(9月1日)にちなみ、台風や地震などの災害について認識を深め、災害に対処する心構えを準備しようとFМ桐生でリスナーの皆さんに呼びかけました。

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(2025年8月29日 FM桐生を訪問しました。FM桐生のリーフレットより掲載)

 9月1日は1923年のこの日「関東大震災」が発生した日です。放送の中では「南海トラフ地震」や「首都直下地震」への警戒と備えも呼びかけられていました。

 現在、地球温暖化によって世界各地で豪雨や干ばつ、山火事などの被害が発生し、住む家や多くの命が奪われています。桐生市では気温41度超える猛暑を記録し、ゲリラ豪雨は河川の氾濫、家屋の浸水などの被害を発生させています。

  放送部の皆さんから1947年9月に発生した「カスリーン台風」の被害が大きかった地域の一つが桐生市であることが報告されました。堤防が決壊し渡良瀬川と桐生川を結ぶ新川(しんかわ)が氾濫。家屋が流され、多くの方が犠牲となりました。この時、樹徳高校も校舎が流出し廃校寸前という厳し状況に追い込まれたそうです。

 その時、アカシアの木が学校の敷地に流れ着き、その流木から芽が出て根付き、生長して学校のシンボルツリーとなりました。(8月29日に学校訪問させていただきました)

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 この「カスリーン台風」は煙害によって木々を失った渡良瀬川上流を襲い、土石流によって川は増水、堤防が決壊し桐生市を含む下流域に大きな被害をもたらしました。あいつぐ台風被害によって治山・治水の重要性が国民全体に広く認識されるようになり、1950年に仁田元川、松木川、久蔵川の三川合流地点に「足尾ダム」建設が着工されました。

29(1954年 足尾ダム 森よよみがえれ! 秋山智英著より)

2025830(2025年8月 現在の足尾ダム)

 足尾の荒廃地の緑化で植えられた樹種は、ヤシャブシ、アカシア(ニセアカシア)、アキグミ、クロマツなどでした。春になると「臼沢の森」東側の斜面一面に植栽されたアカシア(ニセアカシア)が房状の白い花を咲かせます。

 「カスリーン台風」から68年後、厳しい自然環境に耐え生き抜くアカシアの木を見守る生徒の皆さんが、松木川源流の森再生に取り組みます。「人間は森に寄り添って生きているんだよ」ということを伝えてくれていたのかと大きな縁を感じました。

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 松木の緩斜面の草地を耕すと砂と岩の多い土壌が表れます。黒土、腐葉土、バーク堆肥、炭を攪拌して植樹する土台を整えた「民集の杜北」に2016年から樹徳高校の先生、理科部・放送委員会の生徒の皆さんが体験植樹に参加してくれました。

201446(2014年4月 開墾作業)

2025823_2(2025年8月23日 銅製錬の際に出た鉱滓カラミ。人間が草地に手を入れると森が蘇る。)

20167162(2016年7月6日 民集の杜北 体験植樹)

2017723(2017年7月23日 体験植樹 大きく育つことを願い植えました。)

20177_23(2017年7月23日 民集の杜北 体験植樹 植樹地が広がりました)

 森に入り、土に触れると、みんな笑顔になります。

2016716(2016年7月6日 体験植樹)

2023821(2023年8月21日 樹徳の杜 森の仲間(土壌動物)探し)
 

 60cm程の苗木を植え、根本の乾燥防止に草をマルチング。一度植えると木々は動けないので草との競争になります。先輩が植えた苗木の生長を助ける後輩の皆さん。

20177232(2017年7月23日 苗木の根元の乾燥防止と栄養になるマルチング)

2018852(2018年8月5日 幼木が草に負けないように草刈り。草は根元にマルチング。)

 生長するにつれ、森に住む生き物が増えていく様子を肌で、目で、耳で、五感で感じとる生徒の皆さん。

20171015_2(2017年10月15日 環境学習 2005年~の「臼沢の森」を歩き”宝物”を探しました。)

20171015(2017年10月15日 ”みちくさ”で、森の話を聞きました。)

2023821_2(2023年8月21日 環境学習 森の友だちを探しました。)

2023821_4(2023年8月21日 「樹徳の杜」でも木々の競争が始まり、樹高がのびてますよ。)

2025823(2025年8月23日 樹徳の杜 見上げるほどの杜に生長 10mだ)

2023821_5(2023年8月21日 川の生き物も増えたかな 松木川でひと休み。)

 8月23日は、「森は友だち」であることを探し当てた皆さんと森の中で意見交換を行いました。

 「自分が知らないところで、先輩たちが素晴らしいこと(森づくり)をやってきたのを知った。その森に触れることができて、いい経験になった」「生き物が好きだ。セミが鳴いたり、トンボを見たり、数十年前まで生き物がいなかった。自然と森びとの力強さだと思う」

2025823_3(2025年8月23日 民集の杜西 苔むす森の中は涼しい。)

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「10年で森になる。再生することに驚いている。教室では学べない。森を見て過去・現在・未来が学べる」

2025823_4(2025年8月23日 民集の杜西 森の大切さを実感。)

20177234(2017年7月23日 森びと広場 森は友だち!)

20231112(2023年11月12日 森びと広場にホオノキを記念植樹しました。 冬、雪が多く降り、木の頭頂をサルに食べられてしまいました。)

2025823_6(2025年8月23日 樹高は低くなったけど、枝を伸ばし大きな葉を広げています。)

2025823_5(2025年8月23日 民集の杜西 多くの”宝物”を見つけました。 森は友だち!)

2025831(2025年8月31日掲載 栃木県 下野新聞社提供)

 森に入ると、生物社会の一員だということを身体が、DNAが思い出させるのかもしれません。

 FM放送の中では樹徳高校吹奏楽部の演奏による『アカシアの樹』(広瀬隼人 作曲)という曲が紹介されました。「人々が、傷つきながらも前を向いて一歩ずつ歩いている様子」を描いている荘厳な曲でした。

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 放送の最後に、「2016年から樹徳生が植えた苗木は、高さ10m以上に生長し、立派な森に育っていて感動しました。今後も植樹ボランティアを続け、地球温暖化防止に協力したいと思いました。」と足尾での環境学習の感想と未来に生きる子供たちのために地球環境を守る思いを伝えてくれました。

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「森は友だち!」を合言葉に、多くの生き物の命を育む「母なる森」へと育てていきましょう。

 J-Winds!

(報告 清水 卓)

2025年8月31日 (日)

“猛暑”の「松木郷」も、木々は秋の準備を始めています。

 8月30日(土)、日本各地で猛暑日の予報が出されています。9時の“みちくさ”の温度計は30度。広場を風が吹きぬける作業小屋は28度でした。足尾「松木郷」は青空が広がっていました。

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 今日は舎人担当2回目の永島さん。午前中の応援に橋倉さんが来てくれました。オープン準備を済ませ、放射線量測定を兼ねて「りんねの森」を歩きました。

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 「赤土の植樹地」に入るとヤマボウシの生長が目につき樹高を測ると2.8mでした。

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 私たち人間は「暑い暑い、早く秋が来ないかなー」と言っていますが、モミジやサクラは葉が紅くなりはじめ、トンボの“アキアカネ”や“ミヤマアカネ”も体が徐々に赤くなり、秋の備えをしています。

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 「湿地の植樹地」を眺めると水が流れ落ちるエリアの生長が良く、カツラが生長頭です。永島さんに立っていただき比べてみました。3.6mありました。

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 樹高を測っているとカツラの葉に蝶が飛んできたので、「オオムラサキか!」とカメラを向けると、なんと白に黒い縁取り、裾が赤い“アサギマダラ”でした。松木郷を飛ぶ“アサギマダラ”の話は聞いていましたが見るのは初めてでした。

 海を越え1000km以上の長距離を旅する蝶が「松木郷」に立ち寄ってくれる。「道の駅」ならぬ「蝶の駅」になったのかと感慨にふけりました。

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 「土壌改良地」と「砂地」の南側にヤシャブシの木が2本生えており、そのタネが両植樹地に活着しました。「土壌改良地」は植樹したサクラやモミジ、ヤマボウシなど落葉広葉樹を覆いつくしたため、植樹木の生長を促すために取り除きましたが、「砂地」にはヤシャブシを植栽しているので、他のヤマハンノキやシラカバとの競争を見守っています。上から眺める両植樹地の生長過程の差が一目瞭然です。「砂地」のヤマハンノキで大きいものは7mを越えました。

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 大型化する台風やゲリラ豪雨によって松木川の河川敷きが大きく削られるようになりました。源流には砂防ダムもつくられていますが、木の根で河川敷が崩されるのを押さえられないかとその土地にあった樹種を植えています。かつて松木村に生息していた昆虫や生き物たちが命をつなぎ、立ち寄ってくれる「母なる森」に生長するよう手入れを行っていきます。

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 “みちくさ”に戻り、橋倉さんと交代。12時20分頃、登山者のグループ10名が小休憩で立ち寄ってくれました。東京から登山ツアーで足尾入りし、テント泊して松木川源流の山を楽しむそうです。気を付けていってください。

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 続いて12時40分頃、山登り4人組が“みちくさ”の前を通過、後ろ姿を見送りました。気温は34度に上昇していました。熱中症に気を付けてください。

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 9月20日~26日は「秋の彼岸」です。15日にお墓と祠周りの草刈りを行います。永島さんが「上の墓」に行ったことがないと言う事で、場所の確認に向かいました。

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 お墓のある高台から整備が進む松木川上流の砂防ダムを眺めました。双眼鏡で見た岩山のジャンダルムが目の前に迫り「おー!」と声が出ました。

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 河川敷に降りるとバッタが飛びますが姿を見つけられません。着地場所を確認して近づき目を凝らします。河原の石と同系色の“カワラバッタ”です。これも初めて見ました。下の写真の中から見つけてみてください。舎人2人による、ミニ「森は友だち」探しになりました。

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 9月も暑い日が続くようです、“みちくさ”ではコーヒー、お茶の他、「冷たい水」も準備しています。皆様のお越しをお待ちしています。

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 今日の舎人は、永島さん、橋倉さん、筆者清水でした。

(報告 清水 卓)

8月最後のみちくさ。

8月最後の日。足尾・松木は少し強い風が吹いたものの、気持ちの良い一日でした。気温はお昼前で32度。以前(んー十年も前)なら「30度を超えたかぁ、暑いなぁ」なんて会話をしていた覚えがありますが、連日40度近くが当たり前になっている昨今では、この気温でも部屋にいると涼しくさえ感じられ、なんだか感覚がだいぶ狂ってしまったような気がします。

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今日は日光から車で足尾に入りましたが、皆さんに少し悲しいお知らせをしなければなりません。なんと足尾のローソンが昨日をもって閉店してしまったのだとか。足尾の町の人たちだけでなく、行き来する人たちの休憩どころとしても、そこそこ利用されていたお店だったのですが……。これからは必要なものを日光で計画的に買ってから来なければならず、足尾も少し不便になりそうです。

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午前中は、釣り人が数人、笑顔で通り過ぎていきました。きっとたくさん釣れたのでしょう。

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宇都宮から来たという2名のハイカーの方も「少し奥まで行く」と言って通り過ぎ、午後に立ち寄ってくださいました。少し先のガレ場あたりまで行ってきたそうで、歩くにはやっぱり暑かったようでした。栃木の山を普段から歩いている方々で、中倉山から見たこの場所に興味を持たれたそうです。もう少し涼しくなれば歩きやすくなると思いますので、ぜひまた違う季節にも遊びにいらしてください。

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この日はほかに、動画の撮影や草刈りをして過ごしました。少しずつ、生き物たちの季節も秋へと向かっているようです。(舎人 武田、小柴、小黒(記))

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