2023年3月27日 (月)

無言の語り木「孤高のブナ」のDNAを後世に残したい

 本日3月26日(日)の足尾の天気は、昨日から降り続く生憎の雨でした。森びと広場の9時30分の気温は8℃と肌寒い1日となりました。10時前には中倉山調査とベースキャンプ担当のスタッフ・サポーターの皆さんが、遊働楽舎“みちくさ”に集合しました。高橋顧問が一足早く“みちくさ”入りし、薪ストーブに火を入れ、やかんにお湯を沸かしてくれました。ドリップコーヒーを淹れ、コーヒーを飲みながら本日の作業打ち合わせを行いました。

Dsc00181

Dsc00211

 当初の予定は中倉山の無言の語り木「孤高のブナ」保護と子孫を残すための植栽地の確認登山でした。足尾銅山の煙害に耐え、松木村廃村の歴史を見続けたブナの実を松村宗雄さんが拾い、幼木に育ててくれました。

Dsc00160

 ブナは300年ほど生きるといわれていますので、この先も100年、200年と生き続けてほしいと願っていますが、気候変動による自然の猛威は年々激しくなり豪雨になると北斜面の土砂流出が続きます。   ブナがいつまで生きられるかわからない中、ブナのDNAを持つ子孫を後世に残したいと願い林野庁日光森林管理署に相談をさせていただきました。本日は日光森林管理署・徳川署長に同行いただく予定でしたが登山道での滑落なども想定し、来週に変更しました。木々を失った松木川源流の山に雨が降ると岩を崩しながら斜面を流れてきます。今日も松木川は茶色い水が流れ、足尾ダムの落水も茶色になっていました。Dsc00216

Dsc00227

 打ち合わせ後、まず最初に中倉山に移植するブナの幼木の根回しを行いました。「みちくさの畑」に植えられたブナの幼木の根を痛めないよう慎重に根の周りを掘り上げました。根回し用の“わらこも”(藁を縦横に編みこんだ敷物)の上にブナの幼木を置き樹高と幹回りを調べると、樹高130cm、根元の幹回り直径が2cm、根の長さは60㎝でした。根を痛めないように“わらこも”を巻き、前日に掘り上げるよう埋め戻しました。

Dsc00166

Dsc00172

Dsc00174

Dsc00179

 南側の「みちくさの庭」のミツマタは間もなく開花です。黄色い小さな蕾をつけた花が数珠なりです。

Dsc00188

 その後“みちくさ”に戻り、4月29日の「中倉山のブナを元気にする恩送り」に向けて、北斜面の崩壊地に張り付ける植生袋と黒土の他、ブナ幼木植樹に必要な保護資材、荷揚げに協力してくれるボランティアへの呼びかけなど準備の打ち合わせを行いました。

Dsc00204

 打ち合わせに熱が入り、12時30分に昼食をとりました。昼食後は、4月から始まる“みちくさ”のオープン日、舎人(みちくさ担当)体制について打ち合わせを行いました。

 2020年12月以降、新型コロナウイルスの感染拡大から、松木渓谷を訪れるハイカーの減少と、感染予防のため、栃木県・群馬県のスタッフ・サポーターで舎人を担当してきました。政府から「緊急事態宣言」が出されている期間は“閉舎”としてきました。今後、マスク着用の緩和(個人の判断)や2類から5類への移行など、大きく人の流れが変化していくことが予想されます。コロナ前は、多くのハイカーやクライミング、釣り人が松木渓谷を訪れてくれました。訪問者がコロナ前に戻るかはわかりませんが、気候危機に対する関心は高まっていると感じます。

Dsc00202

 これまで土、日、祝祭日に遊働楽舎“みちくさ”をオープンしてきましたが、桜の開花時期、シロガネスミレやヤマユリなど花咲く時期、新緑や紅葉、オオルリやキビタキ、ホオジロの鳴き声が響く時期、エゾハルゼミ、ヒグラシ、アブラゼミの鳴く時期など、松木の里に生きる動植物の息吹を感じる時を発信し、その時期に合わせたオープンができないか、舎人(スタッフ・サポーター)の意見を聞きながら検討していこうなど、熱い話し合いが出来ました。

Dsc00196

Dsc04553(2022年4月16日 みちくさ東側のしだれ桜)

Dsc00156

 本日の参加者は、高橋さん、松村宗雄さん、橋倉さん、済賀さん、林子さん、筆者清水でした。

(報告 清水 卓)

2023年3月26日 (日)

跡地を森に・・・

2月の中旬に都内にある浜離宮恩賜公園を訪れました。その日は快晴でつい一週間前の寒さが嘘のような暖かさでした。例年より早く(もう当然のような枕詞になっていますね)ウメやナノハナが咲き誇り、クスノキやトウカエデ、タブノキといった大木に癒された一日となりました。意外にも若い人が多かったのがちょっと嬉しかったです。Img_0433

P2181552

それにしても周りの高層ビル群の圧力の強さを見るにつけ、これだけの森が都内で本当によく残ったものだと思います。古くから知っている人は「こんなに背景が変わってしまったなんて」と嘆きに似た驚きの声をあげていました。

P2181565

この日は築地方面から歩いて行ったのですが、たまたま旧市場の駐車場跡地を囲うフェンスからその中を覗くことができ、その広さに驚きました。さっそく再開発で事業者募集中らしいですが、まだ作りますかね。。。似たようなものを。P2181533
ここで一つ提案。ここを森にする、というのはどうでしょう。都内にこの規模の森ができたらずいぶん素敵なことだと思うのです。隣の浜離宮とあわせてずいぶん大きな緑地になりますよね。浜離宮は庭園だからできるだけ自然に近い森がいいなぁ。できるだけたくさんの子供たちを集めて大々的な植樹祭をやりましょう。似たような「完全に不自然な荒廃」のもとを作るより、よっぽどいいと思うのですけど。気候変動の影響が急速に進む中、今やるべきは無駄な開発ではなくて、自然の多様性を保持すること、それを理解する人を増やすこと。そのためにも森はもっと身近にあってしかるべきだと思うのですが・・・。(運営委員 小黒伸也)

P2181587

2023年3月25日 (土)

アカゲラの声を聴き、春を感じながら雨の中の森作業。

3月25日、雨の足尾、足尾ダムに流れる水の量も多く、堰堤から落ちる滝は雄大でした。8:30、気温は6℃、少し肌寒く感じます。今日の責任者、大野さんから作業の提起があり、①森びと広場の周り西側斜面にミツマタとアセビを植えるための穴を掘る。②広場下のハウスとハウス周りに果樹とお茶の苗木を植えるための穴を掘る。ことにしました。

 ミツマタとアセビの穴は、一人2~3個掘り、1穴に黒土を2袋入れていきました。30分ほどで34個の穴を掘り終えました。以前に10個を掘ってあり、全部で44個、ミツマタ15本、アセビ29本を植える予定です。

Img_5057
Img_5035

Img_5036
Img_5037_2 次に広場下のビニールハウスに移動し、ブドウ5本、ブルーベリー6本、ラズベリー6本、みかん3本、ゆず2本、お茶20本分の穴を掘ります。みかんとユズはハウス内に植えます。敷いてある防草シートを穴を掘る分だけの大きさに切り穴を掘ります。石が多く、土も固く苦労をしながら、久しぶりの大汗をかきながらの作業でした。

Img_5039 Img_5038 Img_5042 Img_5040 Img_5044 Img_5043 穴は全部掘れませんでしたが、雨が強くなり、昼の時刻になったので作業は終了しました。

午後は、今後の森づくりや今後行う「エコ散歩in足尾」、4月29日に実施予定の「中倉山のブナを元気にする恩送り」について話し合い、心を一つにしてきました。また、過日設置した大水を流すためのホースがずれて、水が脇に漏れているためヒューム管に水が落ちるように直しました。最後に中倉山に「孤高のブナ」の子孫を植えた後、獣害や強風から守るための幹ガード、鉄筋などの資材を準備しました。

Img_5045
Img_5049
Img_5055雨も強くなってきたため、少し早めですが今日の作業はこれで終了しました。本日のメンバーは、鎌田さん、松村健さん、松村宗さん、山本さん、高橋さん、大野さん、福原さん、済賀さん、弘永さん、筆者加賀でした。お疲れ様でした。(報告:スタッフ加賀春吾)


2023年3月24日 (金)

今年初の森の手入れで深呼吸

1_3 約半年ぶりの足尾入り。自宅から軽自動車を4時間運転して、里の道を走り続けた。3時間半ほど走ると渡良瀬渓谷鉄道の沢入駅付近を走る。山にはヤマザクラが早い春を告げていた。その息吹を感じようと少し窓を開け、今頃に感じるなま温かい空気を吸ってみた。2 足尾町内の足尾駅近くに来ると、新聞で知った2025年オープン予定の「足尾銅山記念館」工事が行われていた。3月31日のオープンらしいので楽しみである。施工者が古河林業㈱というから、森づくりの専門家たちによる将来を生きる世代への知恵が発信されるのだろうと期待している。私の願いは、「負の遺産」を「未来への財産」へつなげてほしい。オープンまではなんとしても元気で森づくりをしていきたい。3 4 足尾ダムまでの道沿いの桜は蕾も小さい。ニセアカシヤの幹や枝が白くなっている。春の陽気が早く訪れていることもあって猿も生きるために必死だが、樹皮を食べられたアカシヤが可哀そうに思えた。 

 5 6松木沢では、「みちくさ庭」のミツマタが花の蕾を膨らませていた。間もなく黄金色に化粧してくれるだろう。7 久しぶりに鹿が歓迎してくれているようだった。車から5㍍程の近くで顔を合わせることができた。明日は久しぶりの森の手入れをする。(顧問・高橋佳夫)

2023年3月22日 (水)

春の陽気に包まれた今日の森作業!!

 本日(3月22日)、南相馬は晴天でした。気温18℃と暖かい日でした。春彼岸の中日を過ぎ、春を感じる一日でした。3月に入り2回目の森作業でした。

 応援隊7名と森びと宮城県ファンクラブ・林雄一代表の計8名は10時に雫育苗場に集合し、事務局・山田悦子さんの作った温かいコーヒーを飲みながら作業打ち合わせを行ないました。本日の作業は育苗場内の風囲いなどの越冬対策の片付けと通路確保の除草剤散布、苗木の管理を行ないました。

 

P1020743

P1020747

P1020745

P1020748

 参加者はWBCの試合が気になっていましたので作業途中に試合速報を聞きながら作業を行ないました。そして試合は3対2で日本チームがアメリカチームに勝利し、3大会ぶりに世界一を奪還しました。野球を愛する選手たちが互いの国の枠を超えて励まし合い、鼓舞し合いスポーツの楽しさを全身で伝え、子供たちばかりでなく、私たち大人も夢中にしてくれました。戦火を逃げ惑う子供たちに向ける「銃」をバットとボール、グローブに持ち替え、平和のスポーツでの競い合いが出来ないものかと願いながら、みんなで選手の奮闘を称えました。

 作業終了後、26日に開催される第9回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭応援隊総会に向けた、スケジュールの最終打ち合わせを行ないました。

P1020756

P1020754

 3月26日13時から南相馬市情報交流センター中会議室において第9回総会を開催し、この一年間の活動経過と今後一年間の活動計画を議論します。

 第11回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭は2023年6月11日(火)12時~15時(※雨天決行) 南相馬市原町区北泉地内で植樹面積0.4ha、参加人数約1,500名、植樹本数約20,000本で開催することになりました。出来るだけ多くの市民ボランティアや森びとプロジェクト会員の参加をお願いいたします。今年もみんなの力で第11回鎮魂復興市民植樹祭を成功させましょう!!

 本日の参加者は、渡部代表、松林副代表、菅野副代表、山田事務局、東城スタッフ、道中内スタッフ 、宮城県ファンクラブ・林雄一代表、筆者・岩橋でした。      

  (報告 岩橋孝事務局)