2023年5月15日 (月)

雨の谷間の足尾の森作業

 本日(5/14)の足尾の天気は雨、8時40分の気温は10度で肌寒く感じました。

 済賀スタッフが早めに作業小屋に入り、お湯を沸かし、ストーブに火を入れてくれました。厚い雲に覆われ雨も降っていたので”みちくさ”はオープンせず森作業を行うことにしました。

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 9時前にメンバー5名全員が揃いました。お湯も沸き、暖めたカップに入れたコーヒーを飲みながらミーティングを行いました

 森作業の打ち合わせの前に、先日の中倉山に凛として生きる「孤高のブナ」保護と、その子孫の「希望のブナ」植樹に参加した山田さんが知人と一緒に参加してくれましたので感想を聞きました。中倉山には何回か登っているとのこと。今回「命のつながる新たな瞬間に立ち会えて感動した、見守りたい」と。そして一緒に来た柏木さんは「若い人を連れてきたい、希望のブナを見せてやりたい、また登りたい」と感激していたことの報告がありました。それを聞いて全員が、改めて歴史に残る1ページを開いたことに胸を熱くし、大きく育って欲しいと願いました。

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 今日の森作業は、18日に広場の回りに植えるミツマタ、アセビが食害に合わないように、獣害柵づくりを行いました。石が多いところでしたがスムーズに作業が進み、35mの柵を午前中に作ることができました。それから、18日にイノシッシ(獣害柵の金網)が搬入されるので、置く場所の確定と整備を行いました。

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 昼食後は、りんねの杜の砂地、土壌改良地、赤土、湿地を観察し、それぞれの苗木が元気よく幹から葉が伸びていました。苗木の若葉を観察していると、大粒の雨が落ちてきたので作業小屋に戻りました。

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 土砂降りとなり、大粒の雨が屋根に当たる音で話し声がかき消される中で、18日のアセビやミツマタ、みかん、ブルーベリーなどを植樹するスケジュールや「エコ散歩in足尾」の案内チラシ、そして27日に開催する「地球環境危機下でいかに生きるかを考えるシンポジウム」について話し合い、心合わせしました。雨もやみそうになく15時を過ぎたので終了しました。お疲れ様でした。

 本日の森作業は、橋倉、加賀、済賀、山田、そして筆者の大野でした。

(報告 大野昭彦)

2023年5月14日 (日)

“森びと”の心に木を植えてくれた青木淳一先生

 Photo  今日は青木淳一先生の「お別れ会」に出席してきました。お別れ会の世話人代表は森びとプロジェクトアドバイザーの島野智之さん(法政大教授)が努め、会には北海道から沖縄の皆さんが集っていました。同席した中村幸人さん(森びとアドバイザー)と私は青木先生が歩んでこられたダニの研究とその情熱を心に刻むことができました。最後に、生前の青木先生から仲間たちに伝えて欲しいことを奥様から紹介されました。

Photo_2  以下、『青木淳一先生追悼文集』に投稿した私の感謝の気持ちを紹介させていただきます。

Photo_4 青木淳一先生! 森の下に「もうひとつ」の森があることを教えてくださってありがとうございました。その「もうひとつ」の森には肉眼では見えづらい生きものたちが、上の森の生物に欠かせない生存土台をつくっていました。この様な現実に支えられて生きている己ということを考えたことがなかった私からすれば、先生にお会いした時は目から鱗であり、リタイヤ後の限られた人生を歩む世界を拡げてくれました。とても嬉しく思っています。

 それまでの私は労働組合運動を通して様々な社会悪と対峙していた時期がありました。その当時は、己が生存している冷厳な現実を深掘りするということは頭の片隅にもありませんでした。振り返ってみれば、社会運動を推進していく場合においても、生活現場や労働現場に起きている事象に向き合うにしても、私たちが生存していることと社会システムの関連に向き合っていかなければならないと思っています。当時の右肩上がりの経済成長期では、木を伐り、山を削り、コンクリートで工場や高速道路、そして鉄筋住宅を造り、そのための燃料は化石燃料を燃やして大量生産・大量消費・大量廃棄の社会をつくりだしました。それは、自然環境への多大な負荷のかけ過ぎを招き、新型コロナ感染と気候変動による「複合災害」の社会を迎えてしまうのではないかという不安は微塵もありませんでした。

 3年前から世界の人々が初体験している新型コロナ感染と気候変動による「複合災害」禍に生きている私にとって、青木先生との出会いは、私の将来世代の人間社会を描き実現していく“希望の灯”の基礎になり、この灯は消さないようにしていきます。

 青木先生は、「人類にとって大切なことは、生態系の中で生産者の主役を務めている樹木にまず敬意を表し、普段は地面の下にいて目に触れない分解者の働きに思いを馳せ、自分たちはこの両者に生かされている消費者であることを自覚することである。消費者の中では例外的に強い力を持ってしまった人類は、生産者である森を破壊することもできるようになってしまったが、同時にまた、森を守り、創造する力をも与えられているのである。」と述べていました。このことは、人間社会の礎に据えなければならないと思っています。

 これからの社会を生きるために、私の心の中には「自然の恵みはほどほどに消費する」、「天然資源は独占・支配してはならない」、「人は森の手入れをする責務がある」というスローガンを掲げることができました。衷心から感謝申し上げます。 

 先生は、デパート屋上のコンクリートの割れ目、赤坂の森、明治神宮の森、石垣島の森、会津の森、そして栃木県日光市の足尾銅山跡の荒廃地と岩手県八幡平市の松尾鉱山跡地の荒廃地に立ち、枯葉や土を新聞紙に包み、段ボール箱に入れ、それを自宅に運び、時間をかけて生きものたちを観察してくれました。その過程では、先生は私たちを自宅に招いてくださり、観察とその整理の様子を私たちに見せてくれました。ときには、何十年間もの観察資料の原本を見せていただきましたが、そのひとつひとつ、一枚一枚が先生の人生そのものではないかと感じました。

 森の下の森の友だちはダニ、ミミズ、ワラジムシ等の地中の生きものでした。しかし、多くの方々はその生きものを敬遠し、肉眼では見えづらいこともあって、先生の言う「普段は地面の下にいて目に触れない分解者の働きに思いを馳せ、自分たちはこの両者に生かされている消費者であることを自覚する」ことはとても難しいことであると思います。

 そんなこともあって先生は、顕微鏡や虫メガネで観たササラダニを精密に拡大描写するという根気のいる観察調査を生涯の仕事にしていたのではないかと思っています。大きく描写されたササラダニたちのスケッチを見せていただくと、なんとなくスケッチにホッとしますので不思議なものです。森の下の森の友だちを大切にしてほしいと願っていた先生の繊細な一本一本の線には、そのような思いが通っているようでした。また、先生は、森の妖精が大好きでした。足尾では、子供たちと森を歩きながら森には妖精がいることを話してくれました。奥日光の森で会った妖精の話をした後、子供たちが妖精を描いている様子を見ている先生の笑顔が忘れられません。

旅立たれた今、私は、天空の森で妖精にお会いしてる青木先生を思い浮かべています。先生!天空の森で私たちの森づくり活動を見守っていてください。

 今年、足尾銅山が閉山して50年目を迎えました。2年後の2025年は、足尾銅山の操業150年迎えます。煙害や山火事でハゲ山になった荒廃地は国や県が本格的に始めた治山・緑化事業から半世紀が経ちました。しかし、足尾ダムから松木川上流に向かって3時間ほど歩いていくと、岩肌がむき出しになっている山が連なっています。この地に雷雨が襲うと、1時間も経たないうちに松木川の水は赤茶色に変わり、その勢いはしり込みするほどの恐ろしさを感じます。

 この地は、強い力を持ってしまった消費者である人間の公害の原点(「足尾銅山の負の遺産」)と言われていますが、後世に遺すことは「負の遺産」だけではなく、「生産者である森を破壊することもできるようになってしまったが、同時にまた、森を守り、創造する力をも与えられているのである」という意味と実践を、将来世代に遺していくことだと思っています。 

青木淳一先生!“森びと”の心に木を植えていただきありがとうございました。天空の森では、先立たれた岸井成格さんをはじめとした森びとの皆さんとゆっくりとお休みください。合掌Photo_5

2023年5月13日 (土)

新緑に包まれての森作業

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Dsc08840Dsc08827Dsc08828本日(5月13日)の足尾・松木は、曇り空で風もなく12℃(8時30分)と少し寒く感じます。ゴールデンウイークも終わりましたが、旧松木村に訪れる人はいません。森作業の打合せをホットコーヒーを飲みながら3人でしました。Dsc08829 森びと広場の苗木が成長して獣害ネットが窮屈なっていますのでこのネットを苗木が成長しやすい大きさに交換する作業です。Dsc08830

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作業に必要な資材を持ち込み窮屈なネットを外して上げると苗木は、元気に枝を広げています。終日雨が降らずに作業を進めることが出来ました。全部で34本の苗木の獣害ネットを交換することが出来ました。これで広場にある苗木のネット交換は、全て終了しました。作業ご苦労様でした。

 みちくさの庭には、ヤマユリや野イチゴが元気に成長しているのが見えました。

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Dsc08841 本日の作業者は、松村健さんと福原さんと筆者でした。

 本日の舎人は福原さんと済賀でした。(報告:済賀正文)

 

 追伸、本日は橋倉さん宅にお邪魔させて頂いていますが、千葉県の相川さんから採りたてのソラマメが送られていて美味しく頂きました。また、橋倉さんは5月13日の足尾・松木での花見に参加された皆さまにもおすそ分けをして「大変高価なものと」驚かれたとの事です。相川さんいつも採りたての食材をありがとうございます。

 

2023年5月 7日 (日)

雨の中でも果樹園とひろばの植樹準備

 5月7日、GW最終日。あいにくの雨です。8:30、気温は17℃。足尾に向かう途中も足尾に着いても行きかう車はわずか、ゲート下の駐車場には車が1台もありませんでした。Img_0142_2Img_0182 今日は「みちくさ」担当でしたが、打ち合わせで、訪問者は来ないだろうということで、作業をすることにしました。しかし、この雨の中何を行うか悩みましたが、果樹園の防草シートがめくれて足に引っ掛かり危なく、18日に植樹もするので果樹園の整備することにしました。要らない防草シートを剝がすのですが、草がしっかりと根を張り、また、多くの留め具で留めてあり苦労しながら剥がしました。要らないパレットやトレイなども片づけました

Img_0154 Img_0164 Img_0166 Img_0167 Img_0168 午後には、「みちくさ」から「森びとひろば」に降りる階段脇に、ジャンダルム方面の景観を遮らない低木を植えることになり、その苗木を獣害から守るための金網(イノシッシ)を運びました。かなり雨の降りが強くなって、ジャンダルムも雨に煙っています。今日の作業は、少し早いですが土砂降りの雨のためこれで終了しました。

Img_0177 Img_0175 Img_0180 Img_0172 Img_0157_3 本日の作業者は、松村宗さん、福原さん、濟賀さん、筆者加賀でした。(報告:スタッフ加賀春吾)

2023年5月 6日 (土)

新緑に包まれての森作業

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Dsc08821   足尾・松木沢、朝8時40分の気温は18℃。旧松木村を散歩するには風もなく熱くもなく時折、松木川からの風が気持ち良く吹き抜けます。

  本日の作業者は、鎌田さんと筆者です。松木の杜と新松木の杜の入り口に置かれた石に「民集の杜」とチョークで下書きをしてグラインダーで削る作業です。

Dsc08817 二つの石に刻みましたが、グラインダーの歯が無くなりましたので昼前に終了しました。グラインダーの歯一枚で石に2文字を削れることが分かりました。

Dsc08820Dsc08818   昼食後に、今月18日に果樹の苗木を植える計画ですのでその準備を行ないました。果樹の苗木用の穴を掘り終えた所には、腐葉土を入れてかき混ぜました。Dsc08824 Dsc08825   ハウス内に植えるゆずの穴を2個掘り腐葉土を入れました。果樹用の穴に腐葉土を全て入れ終わり後片付けをして準備が完了しました。

Dsc08826Dsc08823果樹が松木の土でその恵みが出来るのが楽しみです。

 みちくさの前を年配のご夫婦が通過しました。また、岩登りの3名さんもダムゲートに向かいました。是非ともみちくさに寄って頂いて、足尾・松木の新緑を楽しみにお越しください。

 お持ちしております。本日の舎人は鎌田さんと筆者でした。(報告:済賀 正文)