2024年4月28日 (日)

夏の陽気の中、松木沢の涼風を楽しむ!

 今日の足尾・松木沢は、最高気温29℃にもなって、まさに夏そのものです。臼沢の広葉樹たちは、薄緑の若葉を慌てて広げています。

Dscn9714 私たちが命名した桜の「標準木」は既に葉桜になっていましたが、広場の八重桜をはじめ沢山の種類
の桜が競うように花を咲かせています

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 明日は、年2回の「ブナ保護活動の日」です。中倉山の稜線に煙害にも負けず生き延び、人間の所業を見つめてきた「孤高のブナ(無言の語り木)」。その根が、土砂流出によって剥き出しになってしまっているため、守ってあげようという取り組みです。

Dscn9719 その準備の為、森びとのメンバーが暑い中で、草の種が入った袋に黒土を入れた袋詰め作りました。

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Dscn9732 汗をかく作業ですが、松木沢を渡る涼風が皆を助けます。午前中には、活動に参加する皆さんの安全を守るため登山道までの道路の点検を行っていました。

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 今日は「みちくさ」へ4人の皆さんが訪ねてくれました。千葉県柏市から「足尾ジャンダルムを間近かで見たくて!」と言う「柏かがりび山岳会」の皆さんです。カンパなども頂きありがとうございました。

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美しい新緑に覆われていく松木沢に来てみませんか?土、日、祝に「みちくさ」でお待ちしています。

本日の舎人・済賀正文、橋倉喜一。作業者は、大津茂美、坂口真理でした。   

 



  

2024年4月23日 (火)

桜に包まれて森作業

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Dscn9697 本日(4月23日)の足尾・松木は曇り空で小雨降る肌寒い朝です。作業小屋の温度計は、11℃(8時10分)でした。

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 雨に打たれて色とりどりの緑色が輝いています。

Dscn9710 9時前に本日の参加者が揃いましたので作業責任者の加賀さんから作業計画の説明をうけました。

Dscn9702 一つは、柳澤さんが伐採して運んで頂いた竹で民集の杜の中にエコ散歩の道の設置です。加賀さんが21日に今日の準備のために松木に入り、作業案を作り上げていました。ホワイトボードに竹の工作の寸法が記載されていましたので皆さんも分かり易くうなずいていました。二つ目は、臼沢西の植樹地の獣害ネットが落石により破損している箇所の修理です。2班に分かれて作業資材を積込み各現場に向かいました。Dscn9703 Dscn9704

Dscn9690 臼沢西の植樹地は、左上部と左側面と右側面が落石によりポールが折れていました。

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Dscn9705 早速折れているポールを抜き取り新しいポールに交換して獣害ネットに固定しました。無事に三カ所の補修が昼前に終了することが出来ました。午後は、落石により土留めの板が破損している箇所を新しい板に交換です。

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下段の植樹地から上段に向けて修理を進め怪我もなく無事に作業を終了することが出来ました。

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 本日の作業者は、加賀さん、清水さん、大野さん、橋倉さん、坂口さん、本間さん、田村さん、柳澤さん、武田さん、山田さんと筆者でした。

(報告:済賀正文)

2024年4月22日 (月)

林床を彩る可憐な草花たち。松木郷は芽吹きの春です。

 4月21日(日)、足尾の松木郷は曇り空です。9時の“みちくさ”の寒暖計は17℃。本日は23日の森作業の下準備で加賀スタッフが足尾入りしてくれました。“みちくさ”のオープン準備をして、コーヒーを飲みながら打ち合わせを行いました。

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 23日に行う森作業では、竹で民集の杜を観察するルートを作ることと、落石で壊れた臼沢西の森の獣害柵と植樹棚の土留め修繕を2班に分けて行う計画です。23日責任者の加賀スタッフは事前に竹の柵づくりの試行を行いました。

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 松木郷の森、杜を眺めると木々が薄緑色に染まり始め、臼沢の森にはヤマザクラの白い花が目につきます。林床を彩る花たちも顔を出し始めているのではなかと、放射線量の測定の際に「民集の杜東」に足を運びました。

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 杜内に入るとブナが産毛を生やした薄緑の葉を広げ、モミジは紅く幼い葉を広げ始めました。そして、コナラやトチノキ、シラカバなど春の息吹を感じさせます。

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 5月の連休頃に咲き始めるシロガネスミレやフデリンドウ。目を凝らして林床を探すと、シロガネスミレが2輪、フデリンドウを1輪見つけることが出来ました。昨年はフデリンドウの確認が出来なかったので、種が活着して増えることを期待します。シロガネスミレは種が弾けて飛び散り、アリが運んでくれます。林内にはスミレの株が広がっていました。シダやスカンポも登場しています。

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 “みちくさ”に戻り訪問者を待ちますが、曇り空のためかハイカーや登山者の姿も見えないため、冬の降雪時に食害もあった“りんねの森”の点検に向かいました。土壌改良地では桜の幼木が葉を広げています。

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 砂地では2022年10月植樹した際に60㎝程だったヤマハンノキが2m程に生長していました。樹皮の一部が食害にあったヤマハンノキも元気に葉を広げていました。

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 西北のエリアは、ヤマハンノキ、シラカバ、ヤシャブシが密生しています。他のエリアは枯れが目立ちますが、広場の南斜面と西側の土盛りで松木川上流からの風が遮られていることが影響しているのかもしれません。

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 苗木が草に覆われていた赤土、湿地のエリアを観察すると、枯草は地面を覆い、幼木となった木々がしっかりと育っていました。特に湿地エリアの生存率は高いようです。

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 春本番になると草も伸び、花も咲き始めます。厳しい足尾の冬に負けてしまった幼木もありますが、木々の生長と共に下草など植物の「遷移」を観察していきたいと思います。

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 本日は、ジャンダルムでのクライミング帰りの2人が通過しただけで、鳥のさえずりが響き渡るのどかな舎人日となりました。

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 本日の舎人は橋倉さん、清水、森作業準備で加賀さんでした。

(報告:清水 卓)

2024年4月20日 (土)

日差しの中で、村人の声がこだまする

今朝9時の足尾・松木郷の気温は20度、14時頃は22度、晴れて穏やかな一日になりました。みちくさのサクラは満開です。

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「みちくさ」に着いて、やかんでお湯を沸かし、テーブルなどを綺麗に拭きました。コーヒーを飲んでいると、橋倉さんが「ロータリーの所にいた3人の村人と話をしていたら、松木に入りたい」と。その中田さんに電話すると応え、快く来てくれる事になりました。

 私が自宅で育てたイチョウ(4本)、ユキヤナギ(15本)を持ってきたので植えることにしました。「こころの園」の斜面が崩れないようにユキヤナギを植えていたところ、10時30分ごろに中田さんが自家用車で来てくれました。

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 3人で、小さなユキヤナギを30cmの穴を掘り、腐葉土を入れて“まぜるまぜる”して、休憩しながら丁寧に植えました。その後も、中田さんに手伝っていただき60cm程のイチョウの木を4本植え、サルやシカに食べられないように幹ガードを取り付けました。近くにある、昨年植えたサクラの木を点検していると皮をサルに食べられていました。

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 それから作業小屋で少し休憩し、中田さんと交流しました。すでに12時30分時を過ぎていたので、ゲートまで送ることにしました。帰り際に「いつでも呼んでくれれば来ますから」と中田さんが笑顔で言ってくれました。

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 みちくさの前で話しかけた、栃木市から来た75歳ぐらいの男性は「ウメコバ沢まで行ってきた。登山道はあれていた」と言っていました。その他は、二人連れの方が通過しただけで、寄ってくれた方はいませんでした。

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 13時過ぎに2人で昼食をとり、森の案内や通路整備、中倉山ブナ保護のスケジュールのつき合わせ、無線機の通話確認などを行いました。

 今日は、土曜日という事もあり、松木郷は心休まる一日でした。でも一度だけ重たい石や岩などがゴロゴロガラガラと崩れる音にビックリしました。二人で、中倉山・松木川斜面の方向を見たが音が聞こえど、落石などは確認できませんでした。

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穏やかな日差しを浴びて、小鳥の囀りとサクラの花、そして若葉に、心地よい一日になりました。

                             <舎人、橋倉、大野>

2024年4月18日 (木)

厳しい自然と向き合い森をつくり、育てる

 4月12日、環境省は2022年度の国内の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO²)換算で11億3500万トン、前年度から2.5%(2900万トン)減ったと発表しました。同省によると、温室効果ガスのうちCO²の部門別排出量は、産業(工場など)3億5200万トン、(前年度比5.3%減)家庭1億5800万トン(同1.4%減)など。一方で、運輸(自動車など)は1億9200万トン(同3.9%増)で唯一増加しました。コロナ禍出控えていた旅行を再開する動きが影響したと考えられています。

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 排出量から森林などによるCO²吸収量を差し引いた正味の排出量は10億8500万トン(同2.3%減)。吸収量は前年比6.4%減の5020万トンでした。かつて整備した森林の木が老木となって吸収が鈍化しているといい、今後も減少傾向が続くとみています。(4/13毎日新聞より)

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 世界に目を向けると、世界の森林面積は1990~2020年の30年間で1億7800万ha(日本の面積の約5倍)が減少しています。(林野庁HPより)

 森林減少の原因は、農地への転用、過剰な伐採、違法伐採、森林火災など、南米、アジア、アフリカなどの熱帯林の減少が目立っています。地球上には4000万種~1億種の生物が推定され、熱帯林には地球上ではごくわずかですが、生物の5割から9割が生息していると考えられています。生命を育んでいる「生物種の宝庫」である貴重な森林が熱帯林を中心に地球上から急速に失われつつあります。(森林・林業学習館HPより)

 温室効果ガスの吸収源である森林が30年で日本の面積の約5倍も減少している。欧州や中国など植林を進めている国もありますが、苗木を植えCO²を吸収できる大きさに育つまでは数十年かかり、気候変動はさらに森林の減少を加速させます。目先の経済的利益より人類を含む生物社会の命を守ることを優先させなければなりません。私たちは、(株)古河機械金属様に植栽地をお借りして植樹をおこなっていますが、足尾の荒廃地で「木々を、森を育てる」ことの困難さを、身をもって知りました。

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 コロナ禍で足尾に来て植樹が出来ない皆さんに代わり苗木を植える「里親植樹」を行った「臼沢西の森」は、植樹地の上部はむき出しの岩が風化して亀裂が入り、落石の多い場所です。今冬は足尾も降雪日が多く、岩の隙間に入り込む水分が凍り、気温の上昇に伴って融けると岩と岩、土壌がゆるみ落石も発生します。

 4月13日に加賀スタッフと「臼沢西の森」を見に行くと、土留めの甲羅板が崩れ落ちているのが目に入りました。何が起きたのか。木々は大丈夫か!と鼓動が早くなりました。

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 現地に立つと大きな岩が支柱を倒し、獣害柵を破り、甲羅板で段々に作った植樹地を壊しながら下の獣害柵で止まっていました。幼木を見ると、刃物でスパッと切ったように食べられていました。切り口から見ると落石で壊れた獣害柵の隙間から入り込んだウサギが幼木を食べたようです。周りにはウサギのフンが落ちていました。西側、東側の獣害柵を補強した目の細かい亀甲金網には岩が包まっていました。

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  20㎝程の積雪に食べる草が覆い隠され、温暖化にブレーキをかけようと植えた苗木がウサギのエサになる。人間、ウサギ、双方の命を守るための植樹ですが、ウサギは春には芽を出すように根まで完食せず、来年の食糧を確保するために「手加減」をしてくれる。

 私たち人間は、「次はウサギに食べられないようにしよう」と獣害柵を補強しますが、自然を制御することはできません。自然と向き合いながら手入れをしてきた森には、シカやサル、イノシシ、アナグマ、時々ツキノワグマ、鳥、爬虫類、昆虫など生き物が暮らし始めました。熱帯雨林には程遠いと思いますが森の中で生き物や葉の食跡を見つけると生態系が蘇りつつあると感じます。

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 4月16日、生物の生存基盤である地球の悲鳴がまた聞こえてきました。昨年COP28が開催された中東アラブ首長国連邦の最大都市ドバイを記録的な大雨が発生し各地で浸水被害が発生しました。テレビの映像では、空港や道路、家屋が冠水している様子が映され、24時間以内に250ミリを超す大雨が観測したところもあり、年間平均雨量の2倍以上に相当する大雨となったようです。この数十年で急激な拡大を遂げたドバイは、街の大部分がコンクリートとガラスで覆われており、雨水を吸収するための緑地はほとんどないとも伝えられています。私たちは気候変動の影響が世界各地に影響を及ぼしていることを直視しなければなりません。そして、嘆いている暇はありません。

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 故・宮脇昭先生いわく「希望の明日を拓くのは他人まかせではいけない。一人一人が自分の命、愛する人の命、かけがえのない遺伝子の細い絆を守るために、木を植え本物の森をつくる。これは、いつの時代でもどこでも、人類が生き延びるための正攻法であると確信している。まず植える。植えながら議論しよう。机上の議論をいくら繰り返しても、それだけでは不十分である。実際に木を植え、いのちを育てていこう。」(いのちを守るドングリの森 集英社新書より)です。

2023629 2023年6月の臼沢西の森

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 「里親植樹」に参加された森ともの皆さん。厳しい自然の中で生きぬく木々を見に来ませんか。一緒に森を育てましょう。

(運営委員会 清水 卓)