2024年5月29日 (水)

「天空の妻に話してあげたくて!」松木郷に来ました!

Dscn9889_2 あいにくの天気の中、森作業の集中日なのでスタッフが続々集まってきます。そんな中、大事なお客様が松木郷を訪ねてくれました。

 中田欣宏(よしひろ)さん、森びと第1期インストラクターであった故中田郁子さんの夫です。東京・調布市で「地球の緑を守る会」活動をしています。もうお一人は、藤生(ふじゅう)輝彦さん。今アマゾンの植樹活動を研究中で「宮脇方式」に関心を持っています。

Dscn9895_2 清水副代表が歓迎のあいさつを述べ、簡単に現状報告を行いました。その中で、森びとインストラクターであった育子さんの在りし日の写真をお見せしました。

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 雨が降る中ですが、お二人が植えた木々がどうなっているか?を一番気にしていたようです。

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Dscn9901_2 藤生さんも宮脇方式の「密植・混植」を注意深く見ているようでした。

Dscn9909 作業小屋に戻って、みんなと一緒に昼食を取った後、「自己紹介と森の観察の感想」を述べてもらいました。その中で中田さんは「私が今日ここに来たのは、妻が力を注いで植えた木がどうなっているのか、自分の目で確かめたかったからだ。78歳になって、いつお迎えが来るかわからない。天国で妻に会ってもその事を伝えることが出来なければ合わす顔がない!」と。この言葉で十分でした。私たちが育てた森を、この様にみてくれる人がいる!というだけで苦しかったことは、どこかに飛んでいきました。

Dscn9913感想を聞いた後、清水副代表から森びとからのプレゼントが紹介されました。それが何と育子さんがインストラクター研修中に提出したレポートでした。その中心部分を副代表が読んで聞かせてくれました。それは、現在を的確に予測したレポートであり驚きました。(育子さんは2009年に亡くなっています)

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Dscn9917 午後に民集の杜(北)を一回りご案内しました。

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Dscn9894 ブログの大半を中田さんの来訪に裂きましたが、森作業1班は、民集(北)の杜で散策通路の製作を行いました。”眼鏡橋”への通路は配置してあった材料は全て利用し、今後は、通路の草刈りを行ってからの製作になります。竹などの持ち込みも必要です 

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 森作業2班は、6月2日の野田さんグループの植樹準備で培養土の荷揚げ14袋を行いました。雨の中での作業で大変だったと思います。ご苦労様でした。残りは草刈りと穴掘りがあります。

 本日(5月28日)の森作業は、清水、山本、本間、松村(宗)、加賀、田村、矢口、山内、坂口、 
                林子の皆さん、報告は橋倉でした。

2024年5月27日 (月)

第7回エコ散歩で明治神宮100年の森を散歩しました。

 5月25日(土)は100年前に人の手によってつくられた明治神宮の森で散歩を行いました。JR原宿駅西口を出ると大きな鳥居がそびえたち、多くの人で賑わっていました。駅南側の広場では音楽イベントが開催され、にぎやかです。天気は快晴、汗ばむ陽気で地面のアスファルトの温度を測ると55.8℃、木陰で参加者を待ちました。

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 参加者が揃い、参道脇の森に入り自己紹介。森のなかはヒンヤリとし、23.4℃。自然のクーラーです。

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 森の案内は、森びと植生アドバイザーの中村幸人先生。散歩にあたり明治神宮の成り立ちが紹介されました。

「この森はつくられた森。全くの原野だったこの地に日本国中から在来の植物・樹木を植えたのがちょうど100年前。1926年ぐらいに植樹がスタートしました。日本国中から結構大きな木を持ってきて、365種類、12万本を植樹しました。先頭に立ったのが植物生態学者の本多静六先生。本来の自然の森は常緑広葉樹で、それまでの森はスギやヒノキなど針葉樹を植えることが多かったのです。喧々諤々議論し、最終的に本来の自然の森、神々が宿った常緑樹の森を目指しました。

 日本各地の木を植えて、その中で競争がおきて最終的にはその土地に合ったものが生き残る。針葉樹から広葉樹に入れかわることを予測して365種、12万本植えられました。100年たって、ちょうど今入れかわる時期。広葉樹の中に針葉樹が見られるが、勢いを無くし広葉樹に追い抜かれる。そういう場面が出てきます。どういったものが生き残るか、100年前に植えられた当時を思い返しながら森を見ていきたい。」

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  今回は、小学2年生の女の子がお母さんと一緒に参加してくれました。「森の宝物」を探す「ビンゴゲーム」を手に持ち、南参道の西側通路から森の観察をスタートしました。

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 川の流れる石橋の所で林内の様子を観察。常緑広葉樹のウバメガシが大きくそびえ立ち、中村先生から「海岸の風の強いところにある木。本来ここには無い木で、西日本から運ばれたもの。一代で終わり。100年で交代する。」

 参道の反対側には大きな落葉広葉樹のケヤキがあり、水辺を好むことから、「自分の都合のいい所に植えられたから生長する。更新し世代交代する。植物は動けないから競争し、我慢するしかない。」と、その土地の条件に適応する木は世代更新しますが、適応できない木は次世代に更新できないことが示されました。

 

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 林縁(マント群落)には胞子で増えるシダが生え、鳥散布によってアオキやサカキやヤマグワ、ネズミモチなどが生えています。植えた木の他に鳥散布で増えていますがまだ充分ではないようです。本物の森は形だけでなく、本来そこに生きる動物、植物が戻った姿で、生物の共同体です。周りに原生林の無い東京では、あと300年はかかるのではないかということです。

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 その他に、自然薯やヘクソカズラなどつる植物も伸び、クソカズラの葉の匂いを嗅いだ小学生は「ダイコンおろしの匂い」と表現してくれました。名前から「くさい」というイメージでいましたが、「確かに」と皆さんうなずいていました。

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 いつの間にか、参道入り口の喧騒も消え、厳かな気持ちとなっていきます。大鳥居をくぐると参道両側にスダジイが大きく樹幹を広げています。明治神宮や外苑の優生種はスダジイとのこと。また倒木によって森が壊れた(明るくなる)場所には、70年~80年土の中で眠っていたアカメガシワが芽を出していました。

 林冠が空いた場所では世代交代が始まり、クスノキやスダジイが競争を始めています。

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 本殿に到着し、しばし休憩。苦戦したキノコとチョウチョ。「森の宝物」が全部見つかりビンゴ!小さな“森の友達”に手作りのプレゼントが手渡されました。

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 休憩後は中村先生のクイズで森の散歩を楽しみました。

「幹から樹液を出しているのはなんでだろう?」

 答え:カシノナガキクイムシが入ったアラカシが、虫が入らないように樹液を出している。

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「木が倒れた後に出てきた植物は?」

答え:土の中で眠っていたニワトコ、カラスザンショウ、アカメガシワ、ナンキンハゼ。

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 葉っぱの1割は鳥や虫に食べられ、9割は土壌動物が分解し、土壌中の水分も安定してくれます。そして、この明治神宮の森の“守りびと”が林床や参道の落ち葉を集め、森内に返して自然に戻します。自然の豊かさ、癒しを与えてくれてくれる100年の森。

Photo ・ワラジムシ(3mm)※マクロレンズで拡大

Photo_2 ・トビムシ(2mm~3mm)

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 四季折々、「明治神宮の森」を散歩しながら観察を行います。皆さまのご参加をお待ちしています。

(報告:清水 卓)

 

2024年5月26日 (日)

「みちくさ」での楽しい出会いを大切にして!

 今日の足尾は曇り空、少し涼しさを感じた一日でした。山々のニセアカシアが満開になり、甘い香りが町中に広がっています。

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Dscn9862  今日の相方舎人は東京事務所の坂口さん。2回目の舎人です。敢て手伝わないで、オープン準備を見守りました。順調に進みましたが流しやトイレの水が出ません。二人で水源まで行き原因を突き止めました。

Dscn9866  大切な水を確保するための学習をすることが出来ました。やはり、本番では知識だけでは役に立たず、体験することの大切さを知ったようです。「みちくさ」に戻ると、3人の男性が森びと広場から階段を登ってきました。声をかけると「足尾町出身の石原です」との返事。ひょっとしたらと思っていたら”松木郷の花見”に来ていた石原さんの義理の弟さんでした。そしてもう一人の方は「私の先祖は、松木村に住んでいました。星野と言います。」とのこと。ビックリして部屋の中に案内をして話に花が咲きました。偶然の出会いに、お互いが感謝しながら、せっかくの機会なので星野さんに先祖の墓参りを勧め、案内をしました。

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Dscn9873 3人は、日帰り入浴で知り合ったご近所仲間で、石原さんが足尾出身ということを知り、行ってみようとなったそうです。

Dscn9867 3人とも初めての松木だそうですが、星野さんには「先祖の霊に参ることが出来た」と感謝され、宮城出身の最上さんからは足尾銅山の「歴史を感じ感激した!」とお礼を頂きました。そして皆さんからカンパも頂きました。この秋には、紅葉を訪ね「また来ます!」と元気に戻って行きました。Dscn9874

 こんな出会いを楽しみにしながら「松木郷」を訪ねてこられる皆様を「みちくさ」でお待ちしている私たちです。今日は心が和む一日を過ごすことができました。今日の舎人は坂口真理、と筆者・橋倉喜一でした。

仲間と汗をかき、森に寄り添う生活を語り合う

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新しいことへの挑戦に胸が膨らむ

    今朝9時過ぎの足尾の天気は晴れ、気温は23℃でした。

20240525_093857_2ダムゲート手前の路肩には何10台もの車が溢れており、恐らく中倉山を訪れる方だと推測できる賑わいでした。

20240525_091336 自治会の掃除のため遅れる橋倉さんが来るまでの間、ビニールハウスにある在庫確認や植樹地を見て回りました。

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  お昼頃、小山からの男性が来舎されました。車中泊し、朝6時にジャンダルムヘ向かい、戻ってきたところを声をかけました。何度か通ってようですが、初めて開舎していたとのこと。中倉山や皇海山にも登ったようで、クマやシカと遭遇した際の話で盛り上がりました。帰り際には、みちくさの壁や看板にあるクマによる引っ掻き傷を熱心に写真におさめていました。ノートに「開いていてびっくり 色んな話を聞けてびっくり ごちそうさまでした ありがとうございました アク」と書いてくれました。是非、またお越し下さい。

20240525_130955453 20240525_095906  中倉山を訪問する人は多いけれど、松木沢にどう来てもらえるか?人間は森に生かされていることが実体験できたり、足尾松木沢の魅力の発信方法をどうしたら良いか橋倉さんと意見交換しました。橋倉さんは新たな試みにチャレンジしているので、事務・広報チームとしても一緒につくっていきたいと思います。(本日の舎人は橋倉と小林、放射線量は0.107μSv/h)