2024年7月 6日 (土)

ちょっとにぎやかだったみちくさから

ぐっと緑が濃くなった足尾・松木は、今日も静かでした。気温は少し控えめで、湿度は高いものの比較的過ごしやすい一日でした。午前中はどなたも訪れる人はおらず、みちくさ担当のメンバーで、今年のみちくさでの作業の進め方について話し合いをしました。足尾の町に民泊施設ができたと聞き、さっそく私たちの仲間も泊まったようですが、みちくさも(もちろんこの旧松木村も)足尾のスポットの一つとして、足尾を盛り上げるお手伝いができたら嬉しいですね。

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この日も人が来る予兆がないことから、お昼を食べてからは、宇都宮から遊びにきてくれたKさんと一緒に道普請をしました。どういうわけか砂利道にシカが開けた大きな穴が所々にできていて、それを埋める作業です。「過ごしやすい」と言ったのは体を動かさないからで、ちょっとでも身体を動かすと湿気のせいで汗だくになります。埋める小石や砂利を集めては埋める作業を繰り返しました。

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作業の休憩中、ふとにぎやかな声にみちくさに戻ると若い人たちの声がします。東京農業大学・森林総合科学科の山崎先生と学生のグループでした。1泊でバスを使って日光・足尾と回っているそうで、山崎先生の人気ぶりを示すかのような大所帯でした。時間も短くあまり話ができなかったのが少し残念で、是非次はゆっくり森を見ていっていただきたいですね!学生さんは近くでクマに会ったそうで、このところ足尾では完全に動植物昆虫に嫌われている(全然会えない)私としてはうらやましい限りでした。先週はマダニにたかられていて、どうやら会いたくないものだけには会える相がでているようです。

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この日も、新松木の森でヤマユリが咲きそうだと行ってみましたが残念ながらまだつぼみ。オカトラノオが優しく揺れていました。(舎人 橋倉、山田、小黒)

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2024年7月 1日 (月)

森の恵みは、先人が命をかけた緑化の賜物

 6月30日(日)、遊働楽舎“みちくさ”の9時の気温は26℃です。天候は曇り、低気圧の影響で午後には雨の予報で肌寒さを感じます。訪問者に暖かいコーヒーやお茶を提供できるようにお湯を沸かし、オープン準備をしました。“仁平村長”が皆さんを出迎えます。

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 前日、シニアの先輩方が“みちくさ”室内の模様替えを行い、南側の窓にテーブルと椅子が据えられました。“みちくさ”の庭や中倉山が眺められ、ハイカーの皆さんが“ほっと一休み”できます。

 準備が整い、打ち合わせを行いました。昨年10月に加賀スタッフと“りんねの森”改良地調査エリアの苗木の樹高を測りましたが、「砂地」のヤマハンノキの生長が著しいので、午前中は“りんねの森”の調査を行うことにしました。午後は、昨日の引継ぎで“みちくさ”内にあるテレビとDVDプレーヤー、パソコンとの接続ができるように、電気配線を行うことにしました。

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 “りんねの森”に向かい、まずは一番生長の早い「砂地」の木々を計測しました。西側のヤマハンノキの生長が良く、2022年10月に植樹したときは60㎝程でしたが、一番高かった樹高は360cm、シラカバは175cmでした。空気中から窒素を吸収し根で栄養に変え、荒廃地を緑化するパイオニアと言われますが、その通りの生長が見られました。

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 改良地の樹木の調査では、2023年10月の調査で100㎝のヤマザクラが125㎝に、80㎝のヤマボウシは118㎝、45㎝のハウチワカエデは71㎝に生長していました。土壌が開墾されたおかげか、柵の南側に生えるヤシャブシの種が活着し、20~30㎝ほどに生長した数百の実生が幼木の競争相手になっています。

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 果樹園内ではブルーベリーが実をつけ、紫色に熟し始めました。森の恵みを一粒いただき、まわりの草刈りを行いました。降雪と寒さで枯れてしまったと思っていたお茶の木も、下から枝を伸ばし、葉を広げ始めました。厳しい足尾の気候に耐え、生き抜こうとする木々に感動を覚え、木を覆う草を刈りました。

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 昼近くになり“みちくさ”に戻り訪問者を待ちました。13時過ぎに、松木郷の散策に訪れたご夫婦の姿が見えたので声掛けをしましたが、雨が降り出したため「雨が強くなる前に戻ります」と引き返されました。

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 天気の影響もあり人影は無く、“みちくさ”内にあるテレビとDVDプレーヤー、パソコンとの接続ができるように、電気配線を行いました。室内とトイレ内の電灯も点灯するように接続しました。

 DVDプレーヤーとTVの接続を確認するため橋倉さんがDVDを選び、足尾の荒廃地への緑化工でヘリコプターにバケットを下げてアスファルト乳剤を散布し、草や木の種をまく映像を観ました。すると、昨日“みちくさ”の改装を行った済賀スタッフが顔を出し一緒に視聴しました。

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 人が入れない急峻な山の斜面の緑化のために1965年から開始された当時の最新方法でした。ヘリコプターを傾けて揺さぶり落とさなければならなかったり、散布装置が詰まるとヘリコプター内に種子を積み込み、命綱を着けた助手席の人が手でまくなど非常に難しい緑化だったそうです。映像には草木のない茶色い松木の山々が映り、緑の増えた現在の山々は先人の命をかけた緑化作業のおかげであり、その土壌の上に私たちは植樹を行えるということを実感しました。

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 「みちくさの庭」は、アジサイが咲きはじめ、カンゾウの紅い花にはアブラムシとアリが共生していました。果樹園ではブルーベリーなど森の恵みも熟してきます。

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 先人の森づくりを視聴することもできますので、“みちくさで一休み”はいかがでしょうか。皆さまの訪問をお待ちしています。

本日の舎人は、橋倉さん、筆者清水でした。(報告:清水卓)

最近の若い人は環境活動に敏感

 25年春に卒業を迎える大学生の多くは既に就職先を決めているらしい。最近の就職活動は私が学生だった45年前とは、当然大きく変わっている。

Photo そうした中、先日テレビを見ていたら、日本のZ世代の就職活動をサポートするエシカル就活サイトというのが話題になっていた。「エシカル就活」とは「企業の規模や知名度、給与ではなく、環境問題や社会問題への取り組み、自分と企業の価値観がどれだけ合致するかなどを重視した企業選びのスタイルを指す造語」だという。

 同じころ日経新聞のFINACIL TIMES翻訳記事に「気候退職」という言葉を見つけた。大企業に勤める若手会社員が勤務先の環境、特に地球温暖化対策への取組活動に不満を持ち退職することをいうらしい。また、コンサル会社の調査によれば北米や西欧では就職先を選ぶ際に、70%以上の若者が企業による環境問題への取組を重視しているとのこと。さらにこうした動きは北米や西欧よりもタイやシンガポール、マレーシア、インドネシアなど東南アジアの方が強いらしい。記事によれば企業は気候変動対策に真剣に取り組まないと若い人を採用し、つなぎ留めておくことが今後は困難になるという。

 こうした動きをみると、今は混乱し将来を悲観してしまう世界の状況だが、若い世代によって少しずつ良い方向に進むのかもしれないと、小さい希望を持つことができる。

 季節外れですが、冒頭の写真は、長野に住んでいたとき、近所の宅地造成地で見つけたチューリップ。題して「荒地に咲く希望の花」(ベタだね)。

(運営委員・井上康)

2024年6月30日 (日)

「人生のみちくさ」を松木郷の「みちくさ」で!

 昨日(6/29)の足尾・松木郷は晴れ、朝8時30分の気温は27℃でした。今日は「みちくさ」の模様替えをしようと思い、先輩方に呼びかけて4人が手伝いに来てくれました。コーヒーを飲みながらのよもやま話の中では、20年間も森づくりをやってきたシニアは森の生長をみたくなる。そんな時には、気軽に奥さんと一緒に「みちくさ」にやってきたい。出会った人とは”人生のみちくさ”をゆったり話すことができるといいね!、と高橋アドバイザーから投げられました。5

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7 そんな気持ちを持ったシニアたちは「人生のみちくさ」を楽しもうと、そのベースハウスの整理整頓の話し合いを行い、そして、2025年本実施の「エコ散歩in足尾」では緑と紅葉が輝き、空気がおいしい森を歩いてもらい、歩いた方々の「人生のみちくさ」のひとつになってほしいと願いました。1_2  そんな思いを皆で持ちながら、部屋の整理を汗だくになって進めました。森づくり作業詰め所、舎人の別室、コンテナからはスチールロッカーを運び入れ、書籍や物品の整理を行いました。さらには「みちくさ」内外では、自然観察やお茶、食事そして軽音楽を聴きながらひと休みなどが可能なスペースを設けました。3   室内の整理が少し落ち着いた頃、2人の青年が「みちくさ」に立ち寄ってくれました。丹平治沢をアタックしてきた帰りでの立ち話しになってしまいましたが、元気な二人は植樹活動にも興味がありましたので、「みちくさ」の室内外が整った頃にはゆっくりと話をしたい若者でした。

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 「みちくさ」の整理整頓は、若者からお年寄りが気軽に立ち寄って頂ける場所になるように行いました。ドコモ専用の増幅器で携帯利用可能ですし、洋式の水洗トイレもご利用できます。木陰のベンチの利用、ハンモックでひと眠りすることも可能です。読書やラジオ等を聴きながらひと眠りなど、自然界の恵みをいただきながらリラックスできるようにしました。「みちくさ」の舎人一同、皆様のお出でをお待ちしています。

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10   今日の舎人は坂口、橋倉。手伝いのメンバーは高橋、鎌田、山本、済賀のみなさん。報告は橋倉喜一でした。 

2024年6月28日 (金)

足尾から世界へ「森は友だち」を発信!

 今日は、足尾から世界へ「森は友だちだ!」を叫びました。叫んだのは、13か国の14名のJICAの観光研修生でした。天気は小雨でしたが、植えられた苗木にとっては最高の植樹日でした。

P6281886 ご存じのように観光事業の源は自然界と人との繋がりによる結晶の賜物です。その体験をしてもらおうと、私たちはJICAの皆様をお待ちしていました。用意された苗木は、煙害の前にこの地に生えていたふるさとの落葉広葉樹です。P6281899

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F 研修生の母国では、異常気象で生活が脅かされていますので、皆様は、真剣に丁寧に木を植えました。植樹後に、研修生から一本の木を植えた感想を全員で共有しました。P6281896  エジプトから来た研修生は、熱波によって多くの巡礼者が亡くなっていることを振り返りながら、森を育てることの大切さを感じたようです。最後に、JICA一行と私たちは、「森は友だち」だということを合言葉にすることができました。P6281907 研修生と別れた後、私たちは、苗木が動物に食べられないように幹の周りにネットを巻きました。研修生の皆様、未来を生きる合言葉・「森はともだち!」をお忘れなく。またお会いしましょう。“山と心に木を植える”楽しいひとときを過ごせることができ、ありがとうございました。(報告 坂口真理)