2020年11月14日 (土)

雲一つない晩秋の青空の下で爽やかな汗をかいて森作業

11月14日、足尾・松木の里は雲ひとつない青空で、もの静かな佇まいの松木村跡でした。朝の気温は7℃。今日の作業は、JR貨物労組が植樹した場所の獣害対策の金柵の出入り口を設置することと野ウサギ等の侵入防止の金網を張ることにしました。

Img_0741_2 道具と材料を軽トラに積み込み、いざ臼沢へ出発、足元は落ち葉がいっぱい。階段が隠れるほどの階段を登りました。さすがの鎌田さんも久しぶりのせいか息がきれ、途中で荷揚げを交代。パイプを杖代わりにして少しは楽になりつつ登りました。

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Img_0746 コニタンも頑張れ!

Img_0748 出入り口に階段を作ろうとなり、使っていない階段を荷揚げしましたが、担いでみましたが重いのなんの。力を振り絞って運び揚げました。その後、金柵の周りに金網を張っていきました。この作業は急斜面で膝が震え、ふくらはぎがパンパンになりながらの金網を持ち上げ、針金で網を止めて、地表部分をペグピンで留めました。ネットが途中で無くなり、今日の作業はこれで終了。

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Img_0762 下山すると、猿たちが出迎え。中でもボスらしき雄猿が悠々と歩いていましたので、一枚パチリ。

Img_0758 今日のスタッフは、鎌田さん、小西さん、加賀(筆者)でした。

2020年11月12日 (木)

心に植えた森づくり15年の宝物・・・その③

 間もなく足尾・松木村跡地の森(杜)は眠りに入るが、その森の紅葉は9日のブログで紹介した。奥日光や中禅寺湖周辺の紅葉狩りは交通混雑しているので足尾・松木沢に来ました、という方々が松木沢に訪れる方を毎年、増えている気がする。以前、植樹祭に参加して、木々の生長を見に来ましたという方もいる。

Pb094525  また、中倉山の「無言の語り木」(「孤高のブナ」)に会いたいと登山する方が多く、中倉山は栃木県の百名山に紹介された。

20201028 写真:宙林子さん

 足尾スタッフがチャレンジ精神を15年間も貫き通したのは色々な理由があると思うが、筆者は、旧足尾銅山の歴史探訪以外の足尾の魅力、つまり、森の素晴らしさ、生きものたちの息づかいに遭いに来る方々の声が、チャレンジ精神を支えている。松木村跡地に立って、「緑が増えましたね」、「カモシカに遭いに来ました」、時には、海外の方々の訪問など声を聴く度に、森づくり作業が愉しくなっている。

Pb093801  もちろん、森作業中にはそんな気持ちになっているわけではない。それぞれが真剣に、かつ丁寧な作業をしている。その結果が松木沢の森(杜)になり、その杜(森)は人々の心を豊かにしているのではないかと思っている。足尾・松木村跡地は“負の遺産から未来の財産”を創っているのではないかと思うと、70歳を過ぎても森作業が愉しくなる。

Pb093764  多くの皆さんに支えられている足尾ふるさとの森づくりに感謝である。(理事・高橋佳夫)

2020年11月10日 (火)

「無言の語り木」(孤高のブナ)と1年ぶりに再会しました。

 11月3日(火)、1年ぶりに中倉山に登り、“孤高のブナ”に会ってきました。冬に備え葉を落としていましたが、凛として立つブナを見ることができて、うれしさがこみ上げてきました。

Pb030118 【2020年11月 凛と立つブナの木】
 

ブナの生きる尾根の北斜面は土砂流出が激しく、ブナの根が露出していました。

木は根、根は土と言われ、根が弱ると徐々に幹も弱ってしまいます。煙害に耐え120年以上生きる「無言の語り木」(孤高のブナ)は今、気候変動・地球温暖化によって巨大化する台風や豪雨に耐え生き抜いていました。

P6041883 【2017年6月 根が露出した様子】

P6041879 【2017年6月 土壌が流出する北斜面】


 当委員会は、3年前に土砂流出を防止する活動をはじめ、枯木を集めて土留めをつくり、根の周りに黒土を入れました。しかし、その黒土は豪雨によって流されてしまいました。

 枯木を積み重ねただけですから隙間があり、よく考えれば流れ出してしまうことは分かることかもしれませんが、山頂に生きる環境の厳しさを知ることができました。

P4290698 【2018年4月 枯木で土留めづくり】

P4290712 【2018年4月 枯木で土留めづくり】

P4290709【2018年4月 土留めに黒土を入れ、根を保護】

P42905521【2019年4月 雨で黒土が流失】

 どうすればいいか?足尾の緑化に取り組んだ先達に学び、草の種の入った袋に黒土を入れ根のむき出しとなった斜面に張り付けていきました。ブナを元気にする活動には、森づくりのプロ・林野庁日光森林管理署の指導をいただき、徐々に“森とも”の皆さんが参加してくれるようになりました。

Pb038662【2019年11月 植生袋を張り付け根を保護】

Pb038619【2019年11月 ブナの様子を観察】

Pb038674【2019年11月 植生袋を張り付ける森ともの皆さん】

 今年の春に計画した「ブナを元気にする恩送り」は、新型コロナウイルス感染が拡大の一途をたどる状況から中止としたので、今回の活動も感染防止に努め、森びと関係者10名での「恩送り」となりました。

Pb030060 【2020年11月 植生袋づくり】

 

 植生袋が尾根の環境に耐え、根を生やし、草を伸ばしているかを確認すると、土壌流出の境目となった草地と融合し、草地が広がっていました。感動です。シカのフンが落ちているのでシカのエサにもなっているようですが、負けてない様子です。昨年、植生袋を張り付けた土留めの段の下から根が伸びていました。土の層が出来たことでその先に根を伸ばした結果むき出しとなってしまったのか、今回はその根を守るために植生袋を張り付けました。

Pb030070 【2020年11月 植生袋からのびた草】

Pb030052 【2020年11月 草地から根が伸びている】


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 【2020年11月 伸びた根に植生袋を張り付ける】

 ブナが、“生きるんだ”と訴えているようでした。荒廃地の広さからするとほんの少しかもしれません。しかし、やらなければ荒廃地はさらに広がってしまいます。

Pb030109【2020年11月 人間に語りかけるブナ】

Pb030130 【2020年11月 ブナの生きる尾根の北斜面】

 

 『植物は〈知性〉を持っている』(NHK出版)という本の中に、根の持つ驚異の能力が紹介されています。根の先端部は「根端」(こんたん)といい、優れた感覚能力を持っているそうです。非常に小さな植物一個体でも、その根系には1500万以上の根端があることもあり、各根端は絶えず、重力、温度、湿度、地場、光、圧力、化学物質、有害物質(重金属など)、音の振動、酸素や二酸化炭素の有無などを計測しています。(これで全部ではない)

これだけでも驚きですが、根端はこうした情報をたえず記録し、植物の各部の要求と個体全体の要求を考慮に入れて計算を行い、その結果に応じて根を伸ばしているといいます。土の下では、ブナの根と草の根が、お互いに情報交換を行い生長しているのでしょうか。

 わずかな人間の努力に植物が加勢してくれていることを実感します。

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Pb038696 【2019年11月 ブナを元気にする恩送り】

Pb030094 【2020年11月 ブナを元気にする恩送り】

P4290650_2 【2019年4月 森びと広場に無事到着】
 

 

 暦の上では「立冬」、これから本格的な冬が到来します。尾根に吹き付ける風雪に耐え抜き、春を迎えた「無言の語り木」(孤高のブナ)に、多くの“森とも”の皆さんと一緒に会いに行きましょう。

(筆者 清水 卓)

2020年11月 9日 (月)

足尾・松木沢の紅葉狩りを愉しみながらの森作業

Photo 足尾・松木沢の朝8時半の気温は6度。天高い青空が透き通っている中を西北の風が吹いていました。モーニングコーヒーを飲みながら、本日の森作業打合せ。Photo_2 Photo_3 Photo_4 Photo_5 Photo_6 3 午前中は予定通りのクヌギとエノキの移植。ビニールハウスをオオムラサキ園に作り変える作業。ハウスの屋根のビニールをカットして、ハウス内にクヌギとエノキを植えました。Pb093721 時折、風花が舞っていましたが、作業は、予定通り、12時10分前に移植は終わりました。Photo_8 午後は、先月JR貨物労組関東の組合員に運び上げていただいた獣害防止用のスチール製の柵で苗木の周囲を囲いました。Photo_9 Photo_10 Photo_11 Photo_12 3_2 Photo_13 急斜面の階段を登っての作業でしたが、今日は写真のように「臼沢の森」は紅葉真っ盛りでした。とても贅沢な気持ちで作業ができ、終わらないと思っていた柵設置は95%が終わりました。残り5%は柵の出入口を作るだけです。Photo_14

Photo_15 Photo_16 本日の作業は、鎌田、小川、福原そして筆者でした。(報告・高橋佳夫)

2020年11月 8日 (日)

応援隊結成5年の経験を磨き上げて次のステップへ

 昨日(7日)13時、南相馬市応援隊は市内で応援隊結成5周年記念慰労懇談会を開催しました。市役所からは、南相馬市役所・経済部中目理事、農林整備課武内係長、諸井副主査が来賓として出席していただきました。

Photo  外部からの出席者は、NPO法人森びとプロジェクト委員会・髙橋副理事長、足尾スタッフ松村宗雄さん、加賀さん、柳澤さん、森びと福島県ファンクラブ・斎藤さんが参加してくれました。慰労懇談会では、会員と来賓の方々含めて25名で意見交換が行われました。

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Photo_4  結成から5年の活動報告は佐藤スタッフがパワーポイントを使って、その歩みと意義について報告しました。その後、森びと・髙橋副理事長からは、15年間の森づくり活動で学んだ事、世界中の人々が初めて体験している「複合災害」下での暮らし方等についての話を聞きました。第2部は、進行役・東城スタッフのリードで、森の防潮堤づくりの市民と行政間の意見交換を行いました。前市長の桜井さんからは、震災当時の状況や脱原発宣言都市の策定時の熱い思いと経緯などが紹介されました。

Photo_5  本日(8日)は、東日本大震災の津波に耐え抜いた南相馬育ちのシロダモの子(苗木)約960本を苗場に搬入、苗木の里帰り整備を行いました。

Photo_6  まずは、モーニングコーヒーを飲みながら、苗床の様子を紹介し、網の中のシロダモをトレイに移しました。

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Photo_9  その後、60㌢ほどに育ったシロダモ30本を持って、場所を移動。先月25日の植樹祭会場の南側に、そのシロダモを祈念樹として植えました。故・竹内アドバイザーの魂が宿っているシロダモですので、30本に目印を付け、丁寧に育てていきます。

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Photo_12  これからの応援隊は、鎮魂復興の心をしっかり持って、ふるさとの木による命の森の防潮堤づくりを継続していきます。会員の皆さん、市役所の皆さん、足尾スタッフの皆さん、2日間お疲れ様でした。(報告・岩橋)