2021年12月 6日 (月)

臼沢の森をさらに生態系豊かな森に育てたい

 臼沢の森を眺めていると、クマが岩の上で休み、イノシシの親子が土の中のミミズを探し、落ち葉の下ではササラダニなど土壌動物たちが落ち葉を食べ土づくりに精を出している様子が目に浮かんできます。

Dsc000381

 生態系が豊かになってきたと感じる足尾の臼沢の森で、気になるところがあります。最初(2005年)に植樹した臼沢斜面の森内には、現在、草や芝類を殆んど見る事が出来ませんが、木々はしっかり根を張り土砂流失や落石を防ぎ生長しています。

P92513861

  この場所も植樹(補植)をする前は、芝草(ケンタッキーブルーグラスやウィーピングラブグラス)は生えていました。しかし現在は生えていません。他の斜面や緩斜面には、ヘリコプターによる航空実播工などで散布された芝草が所狭しと生えています。

Img_4130

Pa182389

 足尾から群馬県方面に向かい、幾つかの山を越えた所にある山が吾妻山で、私が子供頃に住んでいた地域の裏山になります。その里山は、コナラ、クヌギ、ヤマザクラ、エノキ、クリなどで形成されており、薪や炭、茸菌を植え付ける原木として重宝されていました。林床は山芝や腐葉土が豊富で、毎年落ち葉刈りがされても、土壌がむき出しになることはありませんでした。

Photo_3

Photo_2

 この山では、春は山菜、秋は茸、冬は自然薯と美味しい清水を享受することが出来ました。その里山を振り返ってみると、根の部分は豊かな落ち葉と柔らかい草で覆われており、足尾の臼沢の森の林床とは大きく異なっています。

Photo_4

P82910481

P92514921

 森びとプロジェクトの「生態系調査チーム」に提案し、山芝を植えて林床の変化を観察していきたいと考えています。主木を中心とした三役五役の木々、それらを支える林床の「森」を元気にして、臼沢の森を更に生態系豊かな森へと育てていきたいと思います。(東京FC:松井富夫)

2021年12月 5日 (日)

凍える寒さが到来。臼沢の森の獣害柵点検に汗を流しました。

 今日は12月5日(日)、雲ひとつない足尾・松木沢です。朝9時の気温は0℃。森びと広場の地面は凍り、ところどころ霜柱が見えます。12月からは森作業集合時間は10時になりましたが、早く着いたスタッフと一緒に松木入りしました。身体が冷え切っているせいか、薪ストーブで薪を燃やしても中々暖かさを感じません。流し台の蛇口は凍り付き、水は出ませんでした。

Photo_4

 今日の森作業の打ち合わせでは、臼沢の森の獣害柵点検か臼沢の森の階段修繕を行うか意見が出されましたが、補植した小さな若木が動物たちの格好の餌となってしまうので、計画通り「獣害柵点検」を行うことにしました。 

Photo_5

Photo_6

    補修用網や背負子を軽トラックに積み込み臼沢の森に向かいました。臼沢の森のゲート前に到着し、網を背負い、臼沢の頂上近くまで獣害柵を点検しました。破れた部分を補修するには、かなりの労力と資材が必要となりますが、”足尾の猛者”と呼ばれるスタッフは、20箇所近く破られた獣害柵の修繕を行いました。たくさん背負っていった資材も全て使用し、足りないところは臼沢の森に荷揚げしておいた網を集めながら作業を進めました。

Photo_9

Photo_10 今日の最大の“トピックス”は、クマの寝床?(昼寝の場所)との遭遇でした。さらに驚いたのは、片隅にあったフンの中に5ミリほどの小石がたくさん含まれていたことです。どんなものを食べているのか興味を持った済賀スタッフが発見しました。私たちの結論は、「アリの巣から出てきたアリをなめながら一緒に食べた小石ではないか」となりましたが、真偽のほどは定かではありません。

Photo_11  下山し、遅い昼食となりましたが、空腹とは裏腹に達成感で満腹でした。疲れた体に、足尾在住の知人から差し入れしていただいた干し柿の甘さが、より一層お腹に沁みました。 

Photo_12

 今日の森作業のメンバーは、鎌田さん、加賀さん、済賀さん、筆者・橋倉でした。

(報告・橋倉喜一)

2021年12月 3日 (金)

青空の下で、「命を守るみどりの防潮堤」の生長を観察しました。

 師走となった12月1日、宮城県ファンクラブの仲間達12名で、青空の下、仙台市荒浜と名取市閖上の「いのちの森」の観察会を行いました。

Dsc01096

 2013年に植樹した荒浜の森では、常緑樹を中心に40本の補植を行い、クズのつる刈りと下枝払いを行いました。樹木も成長し、小さいながらも森の防波堤が築かれています。

Dsc01097

 2015年に植樹した名取の森は、今年4回の育樹作業を行いました。200本の補植と除草・つる草刈り・下枝払いなどの森作業を通じて、森に寄り添う暮らしを目指すことや、本物の森を再生し自然災害から命を守ることに、少しでも役に立ってほしいとの願いをファンクラブの仲間達と共有してきました。

Dsc01101

Dsc01104

 海岸線に緑豊かな森を蘇えらせ、「命を守るみどりの防波堤」を築いて、防災力を高める機能を発揮できるよう、来年も引き続き育樹作業を継続して、未来に「いのちの森」を残していきたいと思います。

(報告:宮城県FC 林 雄一)

2021年12月 1日 (水)

松木の里に降る雨も上がり、師走の森作業スタート!

 今日は12月1日(水)、早いもので師走となりました。足尾・松木の朝は暖かく、森びと広場の8時40分の気温は18℃です。昨日からの雨も止んで快晴となりました。

Dsc06035

 作業小屋に一足早く入った加賀さんが薪ストーブに火を入れ、遠赤外線の温かさが小屋に充満していました。本日から集合時間が10時になりましたが、9時に作業者が全員揃いましたので、少し早いですがホットコーヒーで体を温めながら作業の打合せを行いました。午前は、「臼沢の森」の階段修繕用杭の荷揚げ。午後は、6日に行う粗大ごみ処理の準備と新植樹地の整備をすることにしました。

Dsc06033

 早速、軽トラックに背負子を載せて「臼沢の森」に向かいました。「臼沢の森」の入り口を開け、階段を登り「臼沢の乙女(シラカバ)」上部の修繕用杭仮置き場に到着。

 30㎏を超える修繕用杭を背負い、大汗をかきながら165段の階段を登り、次の仮置き場E区画の下まで、各人のペースで荷揚げをしました。

Dsc06034

Dsc06037

Dsc06038_2

Dsc06039

 「臼沢の森」の手作りの階段に積もる落ち葉を踏みしめて登ると、時折強い風が臼沢の斜面を吹き抜けます。階段東側(松木川下流・足尾ダム側)の地面は、落ち葉が飛ばされ苔で覆われています。階段西側(松木川上流・ジャンダルム側)の地面は落ち葉のジュータンになっています。

Dsc06042

Dsc06041

 多く木々が葉を落とし、厳しい冬に備えています。お昼までに3人で38セット(横杭1本と縦杭2本で1セット)を上げることができました。

Dsc06040_2

 昼食後は、6日に搬出する粗大ごみの準備です。金属パイプを森びと号に積んで運べるように、グラインダーで切断しました。

Dsc06044

 その後は、新植樹地の整備を行い、大きな石を人力で脇に移動しました。作業が終わると急に風が強くなってきました。作業に区切りをつけ本日の作業を終了しました。

Dsc06046

Dsc06036

 本日の作業者は、大野さん、加賀さん、そして筆者・済賀でした。大野さん、加賀さん、ご苦労様でした。

(報告者:済賀正文)

 

2021年11月30日 (火)

気候変動対策は前向きなアップデート

 世界的な原油高騰が価格に上乗せされて、秋から冬にかけて生活用品、食料品、ガソリン代等、様々なものが値上げをし、家計を直撃しています。日本は多くのものを輸入に頼っており、輸送にかかる燃料代も高騰し、今後も家計に重くのしかかってくることは確かです。

Photo_4 先日、政府は原油高を抑えるために国家備蓄していた石油の一部放出を決め、原油価格を引き下げようとしましたが、産油国と消費国とのせめぎあいもあり、根本的な解決には至りません。

16382801615155715727156279120880_4

 COP26では、190の国と企業が石炭火力発電段階的に廃止し、新しい石炭火力発電への支援を終了する共同声明が発表されました。しかし、日本をはじめアメリカ、中国、インドなど、世界最大の石炭依存国の一部は、脱石炭に関する文書に署名しませんでした。世界の潮流は「脱石炭」ですが、日本は2回連続で「化石賞」をもらうなど、温暖化に消極的であることがまたぞろ世界中に明らかになりました。Photo_5 価格の変動リスクの高い化石燃料頼みではなく、再生可能エネルギーの拡大や原発ゼロを実現させなければ、人間の生存が厳しい環境になってしまいます。

Photo_6 地球温暖化にブレーキをかける以前に、今日・明日の生活が心配だという声も出ると思います。国立環境研究所の江守正多さんはテレビ番組で「気候変動対策は我慢だと思っている人が多い。そうではなくて、これは前向きなシステムのアップデート、社会のアップデート」と仰っていました。消極的ではなく前向きに、船や飛行機で多くの燃料を消費し環境にも負荷をかける食やエネルギーの利用ではなく、「安全・安心」の点からも地産地消や国産のものを意識して選ぶライフスタイルを発信していきたいと思います。

Photo_7 (運営委員・小林敬)