2023年9月18日 (月)

明治神宮外苑の森にすむ土壌動物の「民意」は東京都に届いているか

 9月10日、神宮外苑の森を歩くエコ散歩を開催し、参加者の皆さんと一緒に中村幸人植生アドバイザー(東京農業大学名誉教授)の説明に耳を傾けました。

 明治神宮や神宮外苑の森は、100年前全国の皆さんから資金や苗木が贈呈され、市民ボランティアの協力で作られたことが伝えられています。

 

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 中村アドバイザーは草や木の葉に触り、時には匂いを嗅ぎ、人工的に作られた生け垣や森の中に鳥や風が運んだタネが発芽し森の一員になっていることを教えてくれました。

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 神宮球場の外輪の森に“タブノキ”の幼木を発見。中村アドバイザーは「本命の木。これからこの森をつくろうとして生長を始めている。全体が森の形になっているからここで生長できた。大きくなれば本来の常緑の森に戻っていく。その“さきがけ”であるとみることが出来る」と教えてくれました。100年前に作り始められた人工林が鳥や昆虫、爬虫類など生態系を構築し、300年400年生きる自然の森に遷移しようとするダイナミズム、その“さきがけ”に立ち会うことが出来、感動をおぼえました。

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 当初観察する予定だった「御観兵榎(ごかんべいえのき)」が記念樹として植えられた旧青山練兵場跡に残る外苑の森が「都合により閉園」だったため、道路向かいの小さな森に入り観察。気温35度を超える外苑を歩き汗だくでしたが、ひんやりとし、しばし体を休めました。自動車が行きかう場所で緑の葉を広げ、森に寄り添う人々に安らぎを与えてくれる樹木は誰に支えられているのだろうか。

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 NPO森びとの顧問として森の下に住む土壌動物の存在を教えてくれた故・青木淳一横浜国大名誉教授の本「だれでもできる やさしい土壌動物の調べ方」を教科書に、落ち葉の下の土をすくい観察しました。

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ルーペの他にスマートフォン用のマクロレンズを使い、土の中に住む生き物を探しました。目視では何か白いものが動いている程度ですが、1㎜~2㎜ぐらいの生き物が2㎝ぐらいに拡大され、落ち葉を食べておなかの中に「落ち葉のソーセージ」をためている様子を見ることが出来ました。一握りの土の中にワラジムシやコムカデ、ジムカデ、ヤスデ、トビムシ、陸貝など何種類もの土壌動物を確認することが出来ました。ササラダニは顕微鏡が無いと見ることが出来ないため、東京都や大学などの研究機関に調査を期待したいと思います。

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 本「やさしい土壌動物の調べ方」を開き、確認できた土壌動物を調べてみると、『「自然の豊かさ」を評価するための32の動物群』では「わずかな環境変化にも敏感なグループA」(5点)には陸貝、ヤスデ、ジムカデ、コムカデが含まれています。「中間のグループ」(3点)にはワラジムシが含まれていました。100年もの長い年月をかけて、劣悪な環境にも耐えられるグループの生物たちが土壌を作り変え、その土地本来の木々、ケヤキやスダジイが生長し、鳥が運んだタブノキの種が森の仲間になるなど、神宮外苑の森が豊かな自然環境を保持していることを示しています。

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 故・青木淳一先生は1983年に明治神宮の森の調査を行い、人間の足の下に何匹の土壌動物がいるかを、子供たちにも分かりやすく示しています。トビムシやダニ、ワラジムシ、ミミズなど約80,000匹が落ち葉の下で暮らしていました。

 東京都のHP見ると東京都住民は1406万3564人(2022年)です。明治神宮の数値を参考に考えると、片足を25㎝×10cmとして、1m²は40倍、320万匹です。5m²で都民数を越えます。地上部に生きる人間をはるかに超える土壌動物たちが東京都の緑を守り、豊かな自然を守り、つくり出していることがわかります。

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故・青木先生は本の最後の文に(P100)

(3)土壌が陸上世界を支えている

 地上で活動する生物社会を支えているのは間違いなく土壌です。その土壌の健全さ、ゆたかさの程度を教えてくれるのが土壌動物です。その中でも、今まであまり注目されてこなかった土壌動物は、微生物とともに生態系のなかで重要な働きをしているばかりでなく、環境の診断役としても注目すべき存在であることを、これまでの説明からぜひわかっていただきたいのです。

とメッセージを記しています。

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 小池百合子東京都知事は9月15日の定例会見で、樹木保全の具体策を示すよう事業者に求めました。地上に生活する住民の民意と同時に、地面の下で都民の暮らしを守る土壌動物たちの「民意」にも耳を傾けてほしい。

(運営委員 清水 卓)

 

色づき始めてきた足尾・松木渓谷

本日の足尾の8時40分の気温は26℃、晴れ。昼の気温は30℃になりました。

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足尾ダム・ゲートに着くと「源流碑」傍に生えているヤマボウシの実のオレンジと空の青さと緑が優しく私を迎えてくれました。

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「みちくさ」=遊動学舎に着くと、松木渓谷の奥から歩いてくる二人連れの夫婦が来たので「まだ準備が出来ていませんが寄っていきまかか」と声をかけると、「今まで何回か来ましたがいつも開いていなかった」と返事があり、私は、この小屋がどんなものなのかと気にかかっていたのかと思いました。ご夫妻を中に案内すると、「あら素敵、こんな風になっているんだ」とびっくりしているようでした。

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ご夫婦は宇都宮市内から可愛いい二匹の犬と散歩に来たらしく、松木渓谷には初めてではないようでした。中倉山にも興味を持っていましたので、11月3日に行う「中倉山ブナを元気にする恩送り」の協力を呼びかけました。

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 その後、みちくさの回りも草が茂っていたので仮払い機で草刈りを行いました。9時30分頃から、みちくさ庭の草刈りと庭に植えてあるドウダンツツジやシモツケソウなどを広場の北斜面に移植するための準備をすることにしました。庭に行って見ると、ヤブマメの蔦が野イチゴの生えている一面びっしり、ツツジなどにも絡まっていたので、他の草と一緒に取り除く事にました。

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お昼頃に、橋本さんがイチジクを持って来てくれました。一緒に昼食をとり、先日の「JICA植樹体験研修」動画のチェックをしました。

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それからは、二人でみちくさ庭の草刈りを継続し、刈った草を庭の外に出して、ドウダンツツジとシモツケソウが何本あるか調べてみました。すると、成長には少し差がありますが、ドウダンツツジが約181本、シモツケソウが約80本ありました。

ー今日のみちくさ庭に咲く花たちー

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本日の「みちくさ」の舎人は、清水と大野でした。

<報告は大野昭彦>

2023年9月17日 (日)

第4回植樹会場の下草刈りを行ないました。  

 昨日( 9/16)は、南相馬市鎮魂復興市民植樹祭実行委員会主催の除草作業を第4回植樹会場(2016年)の原町区萱浜字東蔵前地内で行ないました。この会場は植樹7年目を迎えます。応援隊のスタッフ5名は8時に現地集合し、市役所担当者と打ち合わせを行ないました。8時30分からの除草作業には、市民・育樹ボランティアの皆さん40名が参加してくれました。

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 8時30分より南相馬市農林整備課の岡田係長の進行で参加者の皆さんと打ち合わせを行ないました。佐藤課長からは、市民ボランティアの皆さんへのお礼と作業上の注意点、熱中症対策についてが話されました。

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 続いて、応援隊の松林代表からは、「熱中症やハチに刺されないように注意しましょう」とあいさつをしました。その後、参加者は手鎌と刈込鋏を持って草刈リをはじめました。

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 第4回会場には、野ネズミの巣やキノコ(アネモネタマチャワンタケ)が生えていました。こうしてみると森の防潮堤にも色々な生きものたちが生息できるよう環境になっているよです。

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 今回の除草作業は、熱中症やケガ人もなく無事に終わりました。今年度、植樹祭実行委員会主催の除草作業は4回開催され、延べ約200名の参加がありました。本日の育樹作業に協力してくれた皆さん、お疲れ様でした。林内の風通しもよくなり苗木たちも大きく生長できると思います。今後ともよろしくお願いいたします。本日の応援隊の参加者は、松林代表、菅野副代表、東城スタッフ、岩橋恵美スタッフ、筆者・岩橋でした。

(報告 事務局 岩橋 孝)

2023年9月14日 (木)

色なき風に秋を感じた森作業とJICA足尾研修

昨日9月13日、足尾・松木の8時40分の気温は22度、清々しい天気で空気が美味しく感じました。

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参加者がいつもより早めに集まりました。コーヒーを飲み、やっぱり松木は「涼しいね」と、森作業の打ち合わせを行いました。

責任者の済賀スタッフから、前回やり残している広場北斜面の獣害柵づくりと夕方にJICAの足尾研修で、「環境保全活動を通じた観光振興を学ぶ」ために各国政府職員の方が「植樹体験」するというので、その準備をすることにしました。

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早速、全員で広場北斜面に行き、どこに階段をどのようにつくるか。それぞれの意見を出し合いました。決まったら手際よく、上の道路側の柵の入り口予定の所から鉄筋を大ハンマーで打ち込み、ビニール紐で目印を付けました。それを全員で確認し、「松木郷」の広場周りのイメージを膨らませました。その後獣害柵づくりの作業に移りました。

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昼食後は、柵づくりの作業がまだ残っているので、その続きをやる人と臼沢西の森で行う「体験植樹」準備の二手に分かれて作業を行いました。体験植樹の準備は、ツアーのため送れることを念頭に置いて、現地で実際にスコップで掘って植えてみました。すると、石だらけで掘るのが大変なことが分かりました。本番では、スタッフが一人一人について植樹指導することにし、15本の苗木を植えるところに置き準備を整えました。

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下山すると、広場北斜面では柵づくりも一段落して、木陰で休憩をしていました。谷からくる風が汗だくの体を心地よくすり抜け秋の色の涼しさを感じました。

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JICAの体験植樹は、旧ヘリポートの所に、テーブルにヘルメットと軍手を人数分置いて到着を待っていました。約束の16時を少し遅れて研修受講者5名と山田会長(山田組)、大日方様(通訳)、元山様(WBA株)を乗せた大型バスが到着しました。直ちにヘルメットと軍手を装着して臼沢西の森に向かいました。現地では、森びとプロジェクトからは、「いま地球温暖化による気候変動で世界の人々の命と生活が脅かされています。これは人間の経済活動によるものです。今日の「体験植樹」が、地球温暖化にブレーキをかけ現実と向きあっていく一歩になれば」と述べました。

受講者の自己紹介をし、済賀スタッフの植樹の方法を行い、コナラ、ミズナラ、コブシなど15種類の苗木を丁寧に植えていただきました。

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世界の人々が自然災害に怯えた生活を少しでも軽減できるように願って木を植えた感想をいただきました。

「今回の経験を国に帰って何か生かせるのではないかと思った。」「私の国では、木を燃やすことはあるが植えることはない」「国でも植樹活動は行われているがこんなにきっかりとは遣られていない。心打たれる経験でした。」「皆さんがやっていることは、世界の人々に希望を与えること。」「木を植えることは、将来世代のためでもある。素晴らしいことだ。」「心温まる皆さんと一緒に植樹活動が出来て良かった」と感想を述べていただきました。(モンゴル、マダカスカル、ザンビア、タンザニア、ドニミカ共和国)感想を聞いて、国を超えて共感し、いのちを未来に繋ぐ活動への情熱が込み上げてきた。

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下山する途中で、臼沢の森の入り口の前で、清水副代表が、資料を基に「今皆さんが植えた木は、あと15年たつとこんなに大きくなり、人間が森に生かされていることが実感できる。そして、受講者の皆さんがお世話になった山田会長は、荒廃地の足尾銅山跡地に木を植える先駆者です。」と話しバスに戻りました。

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最後に、ドミニカ共和国から来たジェニーさんよりコーヒーをいただきました。また、日本に来た時には、植えた木に会いに来て欲しいと願いました。参加されたスタッフ・サポーターの皆様、遅くまでお疲れ様でした。

本日の森作業者は、鎌田、橋倉、福原、加賀、済賀、清水、大野。続くJICA研修サポートは鎌田、松井、橋倉、福原、加賀、済賀、清水、大野でした。

<報告は大野昭彦>

秋の紅葉が楽しみです。

 朝から晴天が続いた足尾松木沢渓谷。東京では真夏日が30日以上続く異常気候ですが、松木渓谷付近も負けじと32℃を超えました。 Img_20230913101153555  その暑さを凌いで暮れるのは、涼しい沢風とツクツクボウシ・ヒグラシ等の囀りでした。 

天を見上げると初秋を感じる高い空、広場にある栗の木には実が付き、コスモスの花や草木の葉を見ると秋に向かっている様です。  

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秋の行楽シーズンにはハイキングや散策で松木渓谷に足を運んで頂き、四季の移り変わりを堪能して戴きたい。特に、私たちが手入れしている落葉広葉樹の紅葉を体感して頂ければ幸いです。見頃は、例年ですと11月上旬です。 

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本日は平日でしたので、訪問者はおりませんでした。遊働学舎(みちくさ)の開舎日はホームページでお知らせしていますので宜しくお願いします。 皆様のお越しをお待ちしております。 

本日の放射能線量:0,092μsv/h     舎人:松井