2022年2月 6日 (日)

日本でも”冬の嵐”と向き合う対策と心構えは?

Photo_3 「冬の嵐」が米国民の生活を脅かしている。私の記憶では、「冬の嵐」は毎年、米国で大暴れしている。日本でも、今年の冬は中国地方から北海道にかけて寒波が住民の生活を苦しめている。以前は「爆弾低気圧」と言っていたように思うが、その要因は北極域上空の気流が乱れていることにあるようだ。私たちも、アメリカの「冬の嵐」対策と心構えを固めていかなければならないと思っている。Photo 北極と南極の白い氷表面は太陽の熱の90%を宇宙に返しているが、氷が溶けて、白から暗い色に変わると、反射する熱よりも吸収する熱の方が多くなる。分かり易く言えば、地球の冷却装置が暖房装置に変化している。2020年、シベリアの一部では最高気温が38℃を記録し、北極圏の泥炭地では炎々と燃えた火災も発生した。世界の科学者は、15年~30年後には北極海の夏の海洋が消滅するペースで溶解がすすんでいると言う。(参考資料:『2030未来への分岐点』NHK出版)Photo_2  地球環境の巨大で大切な調整システムのひとつである北極の氷が、これまで以上に太陽の熱を吸収することのない環境にしなければと思う。私たちが地球で生存していくためにはどんなことがあっても冷却装置を壊して気ならない。その責務を果たさなければと、今年も“山と心に木を植えて”いきたい。(顧問 高橋佳夫)

2022年1月31日 (月)

厳しい冬を乗り越え、春待つ苗木と森びと達!

  「光陰矢の如し」と言われますが、今日(1/31)で1月も終わりです。コロナ禍で森作業が自粛になって、足尾在住の筆者がその間の現場を点検・報告をすることになり、今日は2回目です。

 今日の松木沢は、やや風がありましたが青空が広がり、午後1時の気温は3℃でした。ただ、一日中”風花”が舞い、日本海側はまた雪が降っているのだろうと思う天気でした。

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 森びと広場の雪もかなり消え、臼沢や臼沢西の森の雪は完全になくなりました。立春も近いのですが、例年ですとこれからが雪が降る時期になります。まだまだ注意が必要です。

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 各所を点検したところ、森びと広場南側のビニールハウスエリアに立ててあるテントの屋根の一部に、雪解けた水が凍り写真の状態でした。押し上げようとしましたがビクともしません。

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 民集の杜内では2018年に植えた苗木が生長して横枝が重なり合い、かなり密状態になっています。春になり葉が広がると林床に陽が差さなくなり、生長の遅い木は枯れてしまう心配があります。枝落としなどの作業が必要です。民集の杜から森びと広場に戻る道路脇のアキグミの樹皮がシカに食べられていました。獣害対策も大切です。

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 臼沢の森では、冬枯れの中で鮮やかな緑のアカガシなど常緑広葉樹が、この時とばかりに陽の光をいっぱいに浴びていました。新松木や松木の杜では、コブシが花芽を付けて足尾の遅い春を待っていました。

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 私たちシニアも、新型コロナウイルスに“罹らない、染さない”を心がけ、森作業の再開に備えて体力と健康維持に努めていきましょう!

(報告 サポーター・橋倉喜一)   

 

2022年1月29日 (土)

太古の昔から植物の助けを借りて生きてきた私たち

 新型コロナウイルス「オミクロン株」が急拡大する中、1月27日に政府は「まん延防止重点措置」を34都道府県に適用、期間は2月20日までとしました。栃木県も新規感染者が4日連続で600人を超え過去最多を更新しています。そのため足尾の森作業も、スタッフ・サポーターの大事をとって中止をしました。

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(みちくさの庭で雪に埋もれるリンドウ)

 先日、毎日新聞(1/27朝刊)で「植物の力でコロナワクチン開発」と報じられていました。それは、「植物から抽出して抗原するもので、低コストで短期間に大量生産、冷蔵輸送が可能。すでに、カナダで承認申請され、日本でも臨床試験を実施中、今春にも厚生労働省に承認申請し、2022年度に実用化を目指す」としています。

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(2022年1月27日 毎日新聞朝刊より)

 日本でも昔からの知恵として、アオキ、ナンテン、ウメなどが薬として利用されてきました。足尾のクマも冬眠から覚めたら柳の芽を食べると聞きました。鹿や猿も木の皮を剥いで舐めています。

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 4月頃に広がる田園風景に点々と白い花のコブシの木が目につきます。そのコブシの蕾を干したものが頭痛、歯痛、鼻炎の薬効として用いられてきました。また、ホオノキやヤナギなどの樹皮は喘息や頭痛薬として実用されています。

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 (松木の杜・コブシの蕾)

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 (松木の杜・馬酔木)

 それは、森と共に暮らしてきた先人たちが「森の恵み」をいただく中で見つけてきた「生きる知恵」なのではないでしょうか。「良薬口に苦し」とも言われますが、苦みや渋み、舌先に感じる痺れ、匂いなど、人間が持つ「五感」も磨き上げてきたのだろうと思います。

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(みちくさの庭・ミント)


 コロナ禍で人との接触が制限され、ストレスの多くなった現代社会に生きる私たちですが、足尾の森作業に入り、木々に触れ、土を耕していると、普段は気づかない、風に乗って聞こえる沢の音や鳥のさえずり、木の葉や土の匂いなど、感性が研ぎ澄まされてくることを感じます。

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(民集の杜・2015年旭川MS会植樹)

 目に見えないウイルスの出現は、私たち大人に子や孫と一緒に自然に触れ森を大切にする心を育むことや、未来につながる人間の持続的な生存を可能にする自然環境を健全にしていく事が最も大切なことだと気づかされます。

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(臼沢西の植樹地を整備する強者たち)

 私たちにとって、「コロナワクチン開発」は、朗報には違いありませんが、人間のいのちの問題なので安全には細心の注意を払って、研究開発を進めて欲しいと願っています。

(運営委員 大野昭彦)

2022年1月27日 (木)

マレーシアで考えた持続的な開発

 前回、この欄に投稿してから3ヶ月、世の中変わらないのはコロナだけ、いや新型コロナウイルスは変異株のオミクロン株になり、さらに大変なことに。長野でもとうとう「まん延防止措置」がこの27日から始まることになりました。

 そうしたなか、2年前のちょうど今頃、マレーシアの義弟のところへ義母を伴い、10日ほど遊びに行っていたのを思い出しました。写真は現地のマーケットですが、今見ると誰もマスクをしていないのが奇妙に感じてしまいます。あの頃は平和でしたね。

1 向こうで感じたのは、とにかく人々がパワフルで、エネルギーに満ちていること。出歩いたのはクアラルンプール周辺とマラッカだけですが、土木工事はあちこちで行なっているし、都心の電車は10分おきにくるし、街中は夜中まで人で溢れていました。

 調べてみると、2020年の平均年齢はマレーシアが29歳、日本は48歳。私は日本の平均年齢を大きく押し上げているのですから、下手なことは言えませんが、まあそういうことです。

 もちろん問題もたくさんあると思います。多民族、他宗教国家ですから、それだけでも大変。また、空港へ降りるとき目に入るのが、アブラヤシの見事なまでの一成林。この実から精製されるパーム油は手頃な価格の植物油脂として、日本でも食品や化粧品など多岐にわたって使われています。世界での生産は85%近くがインドネシアとマレーシア。需要の拡大と農園のため伐採される熱帯林の現状を考えれば、持続的な生産と消費者側の賢い消費が求められます。パーム油に関してはRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証がありますが、こうした取組みの進展を期待しています。

 マレーシアでは計画的な首都機能の移転も行われています。現在ではクアラルンプールから25キロほど離れたプトラジャヤへ多くの政府機関が移りました。写真は首相官邸です。

2 この土地にはもともとアブラヤシ農園があったとのこと。周辺には自然に囲まれた先進的な官庁街が整備されており、政府は低炭素グリーンシティを目指すとしています。写真のピンクモスクでは多くの人が礼拝に訪れていました。

3 環境問題を考えるには、国内だけでなく世界の状況へも目を配りたい。そのためには、他国を見るのも大きな手助けになります。まあ、そんなのは屁理屈で「海外へ行く自由が欲しい」というのが私の本音ですが。ちなみに冒頭に記した義弟はその後インドネシアへ転勤となり、日本には一度も戻れずにいます。(運営委員・井上 康) 

2022年1月24日 (月)

自然界に存在するあるがままの自分を知る森づくり

 今年の足尾松木沢は雪が多い。15年間以上も足尾松木沢に通っていた私の記憶でも初めての降雪。木を植えている森の草木にとっては有難いことにつながっているのか。春から夏にかけての草木の息吹が楽しみ。Img_2912 苗木を植える前の乾燥していた草地にはビロウドモウズイカ、セイヨウノコギリが目立っていた。今では探さないとその姿は見えない。除草したわけではないので、生きていく環境が合わなくなってきたと思う。

P6295440   ビロウドモウズイカ

 今年、足尾の森づくりでは植物遷移を体感することができないかと、石や岩の上で地衣類が生えている場所に苗木を植えていく。植える苗木は空気中のチッソを吸収できるヤシャブシ、ハンノキ等。植えた木々の生長と植物の芽生え、地衣類の生長と他の生物の観察を行っていく。P4112637

P1273258  土壌改良をせずに、砂と石ころだらけの状態での植物遷移が体感できるのかは不明だが、植物遷移の概念を身体で感じていきたい。気の遠くなる時間がかかると思うが、人間が自然界の一員であり、かつ消費者に過ぎない存在であることを実感できることを願って始めていく。(顧問 高橋佳夫)