カテゴリ「森の声」の168件の記事

2009年12月11日 (金)

日本の木の文化は自然の力を蘇らせること

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 キャンパスフォーラムの第1部・講演の二人目の講師はロア・ウイリアムさんでした。ロアさんは、宮大工修行中のフランス人です。ロアさんは、フランスでも建具の職人修行をしていましたが、フランスでは木材は使い捨ての考え方でしたのでそれに疑問をもち、木をそのまま使う仕事をしたいと思い、フランス修行時代は屋根裏で日本の木の文化を学んでいた、と言います。
 そのロアさんからは、「宮大工の修行は一生かかる。自分が建てた建物は10年、20年、30年後も調べて学ぶ。雪が多い地方、雨が多く降る地方そして地震に耐える建築が、こうした地方に合った材木を選び、活かして建てると長持ちする。木が長持ちするのは、木の選定と腐りにくい木にする道具の選定だ。その道具で木は作られ、その道具は日本の砥石によって磨かれている。日本の文化は刃物と砥石の文化だ。それを巧みに活かしているのが日本人の技術だ」、という主旨の話をしてくれましした。
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2009年12月 5日 (土)

森と生きるというこは少し我慢をすること

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 先月開いた第2回「森と生きるキャンパスフォーラム2009in早稲田」の天気は予報では雨が降る、という報道でしたが、太陽の光を受けたキャンパスの銀杏の葉が黄金に輝いて眩しいくらいの日でした。フォーラムの第1部は、日本の木の文化を再認識する講演でした。
 最初に登壇した方は、東京アイヌ協会の名誉会長をしている浦川治造さんでした。浦川さんは、アイヌ民族は森とともに生き、四季を通じて自然からの恵みを得て生きてきた。ゆえに、山に入るときは必ず感謝をし、恵みは全てを取り尽くすということはしてこなかった。しかし、戦後、現金収入を得るために、入ったことのない深い森に入り、巨木を伐り尽くしてしまったことがあった。後になって自然が壊れ、その森からは自然の恵みは消えてしまった。60年前の森をとり戻さなければならない。みなさんの力で戻してほしい、と反省をしながら訴えていました。
 Pb292666 参加者からは「山、河、海を60年前に戻してほしい、という訴えに共鳴しました」(60歳代・男Dscf1308 )、「自然とともに暮らすアイヌの文化を大切に残し、尊重していくことが必要だと感じました」)(30歳代・男)、「山や森が元気になり、河や海も元気になり、魚、海藻が多く採れて、魚や米等から国が潤う、そのような政策を国は考えてほしいと思った」(30歳代・男)という感想が寄せられました。

2009年11月30日 (月)

日本の森を元気にする進路に舵がきられました

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 昨日のキャンパスフォーラムでは、出席者280名が日本の森を元気にするために政府や国民に働きかける行動を共にすることを誓い合いました。その一つは、政府の温暖化対策が経済優先に傾き、肝心な森の衰退を防ぐ行動につながっていないこと。このままでは日本の山ははげ山になってしまうことを多くの皆さんに知ってもらう行動。二つ目は、森が衰退している原因は虫ではなく、酸性雨等による土壌の酸性化によるものであることを国に認識していただき、対策を講じてもらうことを求める。三つ目には、弱った木には市民の炭焼きと炭撒きのモデルケースを設置してもらう。今後も人とのつながりを大切にし、さらに“山と心に木を植えて”いくことにしました。Pb292668
 フォーラムの様子は今後、このブログで紹介していきます。なお、昨日のフォーラムは、今日の夕方16時53分から始まるTBSテレビ・「イブニングワイド」で放映されるようです。

2009年11月23日 (月)

知恵と力を結集して、日本の森を元気にしたい

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 21日、秋田県に住む今村インストラクターからFAXとメールが届きました。その中身は、一週間後に開かれる第2回「森と生きるキャンパスフォーラム2009in早稲田」に向けた情報でした。
 フォーラムのアドバイザーとして出席する大森禎子先生から紹介された安田勲さんが、秋田県男鹿市で実証している炭蒔きによる松枯れ対策の現場を観てきた情報でした。それによると、「安田さんは怒っていました」と言うことです。

35 どういうことに怒っていたのかと言うと、安田さんの話を聞いた今村さんは、「常に山を観ていると森の変化に気づく、この変化を行政や学者に言っても一個人は相手にされない。松枯れの原因を学者に訊くと虫のせいにする。男鹿の松は殆ど伐採されている。伐ってしまうと原因が分からない。観光客の目に触れないようにしているのだか、そんなことでは事の重要性が分からない。何故、日本海側が枯れるのか、土壌が冒されているのか、等、トータル的に原因究明をしていないことに怒ってた」、と言っていました。安田さんは奥様と共に、20年位前から800坪の借地で炭を蒔き、その土地に松を植えています。その松は元気に育っています。(写真上) 男鹿でも松枯れと同時にナラ枯れが拡大していることに、安田さんは大変心配していた、と言います。今村さんはこの観察結果をフォーラムで報告したいと言っていました。

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2009年11月17日 (火)

世界を変える原動力は現場の小さな力です

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 新聞報道によると「ポスト京都」が見送りのようです。来月にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、法的拘束がある「ポスト京都議定書」が見送られる可能性が強まっているようです。先進国と新興国・途上国の対立が原因らしいのですが、どうして各国の閣僚級会議では世界の人類のためにできる事をやる勇気と実践がないのでしょうか。
 各国首脳がこんなレベルでは、各国の首脳によって人類は自然界の孤児になってしまうようです。今、求められているのは私たちができることいかに挑戦するかです。昨日も3回目のフォーラムへの呼びかけパンフの配布を行いました。配布してくれたのは早稲田大学の学生の皆さんとJR貨物労組の若者でした。早稲田際から一週間後のキャンパスは早稲田際以前の様子で、学生達ひとり一人にパンフを配ると学生達は真剣にパンフを読んでくれました。
 P1010017 今回感じたことは、フォーラムに向けたパンフ配布を行えば行うほどに、学生達の反応が感じられたことでした。このようなキャンパス内の小さなアクションでしたが、この小さな力の積み重ねが世界の自然を活性化できるのではないでしょうか。早稲田大学「一学一山運動」実行委員会の皆さん、大隈塾の塾生の皆さん、3回にわたるパンフ配布へのご協力に感謝します。楽しく意義のあるキャンパスフォーラムを創りだしましょう。

2009年11月16日 (月)

森の叫びに応えていきたい

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 今月29日に開催する第2回「森と生きるキャンパスフォーラム2009in早稲田」で講演してくれる浦川治造さんに会ってきました。14日は風が強い日でJR東京駅八重洲側から出発するバスが運行するか心配でしたが、安全運行によって待ち合わせ場所の木更津金田バスターミナルに到着しました。そこから浦川治造さんが運転する車で事務所へ向かい、フォーラムの打ち合わせをしました。 話の中で浦川さんは、“アイヌは森を畏敬の念をもって大切にして森と一緒に生活してきたが、昭和30年以降、木が金になるからと言って、入ることがなかった山(アイヌは始めて入る山は「新山」という)に入って巨木を伐ってきた。その後の森は湿地帯が無くなり、ワサビ等が消えてしまった。今、考えると取り返しのつかないことをしてしまった。森は生活に欠かせない大切な自然だ”、というような話をしてくれました。
 京都議定書での日本の目標は温室効果ガス90年度比6%削減でした。その方法は「二酸化炭素を吸収する植林など森林整備で3、8%、他国への技術や資金提供によるを削減分を国内目標に組み込む1、6%、省エネなど国内対策で0、6%」でした。結果は削減どころか増加傾向にあります。
 浦川さんの話を聞いて、現代においても人は森に生かされていることに気付かなければならないことを改めて感じました。フォーラムではその森が悲鳴をあげていることに気が付き、森が人類に呼びかけている声を具現化できればと願っています。

2009年11月 6日 (金)

伝統建築に金属を使わなくてはならない日本の建築って?

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 今日の山形市は秋晴れでした。山形に向かう途中の高畠駅周辺の車窓(山形に向かって左側)からは、小さいながら赤や黄色に色づいた葉を付けた苗木が元気に育っているのが見えました。この苗木は一昨年から始められているJR東日本会社の鉄道沿線の森づくりで植えられたものです。この苗木の一部は私たちが育てた苗木です。今日はそんな元気な苗木たちを車窓から見ながら山形市に向かい、宮大工・加藤吉男棟梁とロア・ウイリアムさんとのフォーラム打ち合わせでした。
 お二人は各地の伝統建築を修復していて大変忙しい中、時間を割いてフォーラムの打ち合わせに付き合ってくれました。打ち合わせでは、フランス人のロアさんが6年間の修行で学んだ日本人の木の文化と日本建築の疑問点が語られ、そのような話をしながら日本の素晴らしい木の文化を語っていこう、と話し合いました。「加藤棟梁が聞いている前では話すのは緊張します」、と言っていたロアさんですが、加藤棟梁から「俺のことは気にせずに、学んできた日本の良いところと悪いところを話せ」と言われ、ひと安心した様子でした。2時間に及ぶ打ち合わせを終わったロアさんは、車で新潟県柏崎市の現場へ向かい、棟梁は明日、車で栃木県宇都宮市の現場で打ち合わせです。本当に忙しいところ打ち合わせをしていただきありがとうございました。打ち合わせをしながら、ロアさんの職人気質と真面目さを感じました。棟梁はそんなロアさんの人間性に宮大工の技術を叩き込んでいるようでした。今月29日の「森と生きるキャンパスフォーラム2009in早稲田」の講演をお楽しみに。
 

2009年11月 3日 (火)

W大学生達とパンフレットを配布!

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 大学祭を7~8日に控えた昨日(2日)、私たちは早稲田大学大隈銅像前で第2回「森と生きるキャンパスフォーラム2009in早稲田」への参加を呼びかけるパンフレットを配布しました。この行動には同大学の学生9名(「一学一山運動実行委員会」内・高尾の森メンバー等)が協力してくれました。
 キャンパス内は学園祭を控え、各サークルが勧誘のビラ配布やよさこいの踊りを披露するなど、若者たちが活気に溢れていました。賑やかな中でのパンフレット配布でしたので、パンフレットを受け取ってくれる方々は少なかったのですが、ある学生はビラを見て「ぼく熊森なんです。先日もシンポジウムに参加しました。フォーラムに参加します」、と言ってくれました。また、一緒にパンフレット配ってくれた高尾の森の学生からは、「申し込みはどうすればいいのか」、と聞かれたので「インターネットを見て申し込みしてくれ」、と対応してくれたそうです。昼休み時の約40間の行動でしたが、冷え込みが厳しいなか、他の学園祭の仲間達と共に燃えていました。(清水事務局次長発)
 また、来週の月曜日(9日)にも同じ行動を行います。協力してくれる方を募集しています。問い合わせは東京事務所まで電話(3日は足尾ですので事務所は留守。4日以降にお願いします)ください。電話は、03-5692-4900です。

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2009年10月30日 (金)

人はひとりでは生きていけない?!

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 27日、事務局員の柳澤肇さんの実父・佐太夫がご逝去されました。今夜は故・佐太夫さんの通夜に行き、足尾の森づくりへの支援に感謝を述べ、ご冥福をお祈りしてきました。
 柳澤さんのお父さんは足尾・森づくりに欠かせない方でした。作業小屋の鉄骨の無料提供と運搬、そして大型トラックで重機を運んで「森びと広場」の整地をしてくれました。その重機はその後も、松木の杜の穴掘り等で大活躍でした。重機は足尾・ふるさとの森づくり準備にはなくてはならない機械になっていました。それを許してくれたのが柳澤さんのお父さんでした。
 祭壇に飾りつけられていた故・佐太夫さんの写真は、真っ赤なモミジを背景に秋の青空を見つめていました。寛容な佐太夫の写真の前で私は、これまで支えてくれた感謝を述べ、これからは天から足尾の森づくりに汗している私たちを見守ってくださいと、合掌しました。
 安中榛名駅では時間があったのでそばを注文しましたが、おじさんから「火を止めたばかりだ、峠の釜飯が残っているので買って下さい」と言われ、今日の夕飯は豪勢な釜飯にしました。一人で釜飯を食べながら、駅の窓越しに輝く星を遠く見ながら、私たちは色々な方々に支えられていることを絶対に忘れてはならない、と肝に銘じました。柳澤さんのお父さん、ありがとうございました。

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2009年10月17日 (土)

森に潜んでいる人間社会の掟

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 兵庫県丹波市の地方紙『丹波新聞』(10月1日)のコラム欄に大人の絵本・『サルと人と森』が紹介されました。また、月刊誌『リベラルタイムス』(11月号)のBOOK紹介の欄でも紹介されました。紹介して頂きありがとうございました。
 『丹波新聞』のコラムでは、「この寓話が100年以上前、盛岡中学の校友会誌に寄せられた時は、あまりに先を見通していたせいか、決して評判は良くなく、これまでほとんど陽の目を見てこなかったという」と書いてありました。その当時からすればその通りかもしれません。
 Pa042587 啄木記念館近くに「愛宕神社」がありますが、啄木はこの神社境内の森をいのちの森と言っていました。この森で啄木は子どもたちと勉強していた、と聞きました。多分、啄木はこのいのちの森から様々な事を学び、森の掟から人間社会を観察していたのではないかと思います。
 お陰様で『サルと人と森』は第5刷(5.000部)りに入りました。地球の自然環境の悪化を憂う方々に読まれているのだと思います。地球上では、二酸化炭素を吸収している大切な熱帯雨林が毎年1250万㌶も伐採されていると報道されていました。損失額は6兆7千億円に上る、とも報道されていました。この新聞を読んで、啄木は経済優先でなく、大切な生命(いのち)を第一に森(自然)を考えていたから先を見通せたのではないか、と思いました。
 「物とエネルギーにこだわり過ぎた、人間本位の奢った考え方から生物の一員としての人間がより豊かに健全に、より人間らしく生きていくことを緑(よすが)としたい」(発刊にあたって・宮脇昭)。

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