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2023年1月28日 (土)

世界の石炭火力削減の流れに逆行する不当判決

    昨日、東京地裁で横須賀石炭火力発電所の建設及び操業に係わる経済産業大臣の環境影響評価適合通知の取り消しを求める国を相手にした行政訴訟について、住民ら原告の請求を棄却する“不当な”判決が出されました。コロナ禍もあり、傍聴券は無抽選で獲得ができ、14時に103号法廷で開廷されました。2分間の報道写真の撮影後、裁判長から主文が30秒程で読み上げられ、14時03分には閉廷するというスピードにやましさを感じざるをえませんでした。20230128_052419    報告集会では、原告弁護団長の小島延夫弁護士から判決のポイントとして3つあげられました。1つ目は、原告の皆さんが(原告尋問を4人行ったにも関わらず)どのような被害を受けるかが一切書かれていないことです。裁判所は何のために存在しているのか、「人権の砦」などと言われていますが、被害に向き合うことなしに、被害を受けている住民を救済することはできません。横須賀石炭火力発電所だけでは被害が生じないという考えだから、判決文では被害に触れようとしないのではないでしょうか。2つ目は「大海の一滴論」。何と横須賀石炭火力発電所から出るCO2によって大して影響はないと言うそうです。世界的にCO2を削減しようとしている時に、CO2を大量に排出する石炭火力発電所を建設するのは大きな問題です。3つ目は、合理化ガイドラインの存在です。1970年に前身の石油火力発電所がフル稼働していた時期と比較することで、CO2や硫黄酸化物、窒素酸化物などの大気汚染物質の排出が大幅に削減できるなどとし、それを根拠として、詳細な調査を省略し、無理くりな判決を出さざるを得なかったと、言われていました。

20230127_220425    原告団の鈴木睦郎さんからは「残念な結果で悔しい限り」「土俵の上にあがらない判決。控訴して最後まで頑張りたい」「絶対に負けられない闘い。世界に対する責任、将来世代の若者に対する責任を果たしていきたい」と力強い発言がありました。まとめでは、浅岡美恵弁護士(NPO法人気候ネットワーク理事長)から「誠に残念な判決。厚い判決文だが、中身がない」「科学者の言っていることが一切書かれていない」と語られていました。

    今後としては、再来週には控訴の手続きに入るそうで、世界の声を裁判所に突きつけて、高裁では画期的な判決を勝ち取ろうと、意思統一して散会となりました。会員の皆さんもご存知の通り、気候変動対策はもはや待ったなしです。現在、神奈川県ファンクラブが原告の皆さんと共同行動のために動いており、森びと事務所でも連帯していきたいと思います。(報告:運営委員 小林敬)

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