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2020年1月の21件の記事

2020年1月12日 (日)

予測不可能な最悪事態から逃れる森の備えを考えた森づくり

 15年前から苗木を植えている足尾「臼沢の森」は栃木県が土砂流出防備保護林に指定されている。生きものたちのゆりかごになりつつある森に育っていると実感できるが、県に指定されている森の機能としてはいかがなものか。

Photo     エナガの囀りに耳を傾けて

 森づくり運動の第2ステージの幕開けと言ってもそのステージを描かなくては運動を始めることはできない。「臼沢の森」に入ると林床は苔が生長しているが、草は一本も生えていない。異常気象によって大雨が降ると、土壌が雨に削られ、表土が流されてしまうのではないかと心配している。

Photo_2  森の機能に関しては県に問い合わせてみるが、森づくりの第2ステージは森の機能面から育樹活動を考えていきたい。自然界の競争に任せればよいだけでは済まされない気がする。想定外の大雨が降るという気配を感じつつ、太陽の光が射し込む空間をつくって林床が賑やかになってほしいと願う。

Photo_3       足尾町の夜景(写真:林子さん)

 私たちは学問や理論の世界だけでは生きていけない。予測不可能な事がやってきても、最悪な事態だけからは逃れられる備えをしなければならない。森づくりの現場に立って草木の葉音に耳を傾けながら考えたい。第2ステージづくりの一歩へ。(理事 髙橋佳夫)

2020年1月11日 (土)

脱原発・復興鎮魂を願う植樹祭でお会いしましょう

Photo  あけましておめでとうございます。上の写真は南相馬市原町区南萱浜第5回植樹会場の初日の出です。気温はマイナス1度、潮風は弱く良い天気でした。

Photo_2  昨年4月は6年前に植えたヤマザクラの花が咲きました。鹿島区南右田の第1回植樹会場で初めての観察会・観桜会を開き、参加者した応援隊会員、市職員、市民を含め25名で自然の恵みに感謝しました。

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Photo_4  私たちは昨年も森の防潮堤の育樹作業や鎮魂復興市民植樹祭事前作業と植樹祭サポート等を楽しく行ってきました。嬉しかったことは、市役所職員、市民、県外のボランティアの皆さんが毎回100名以上も参加してくれたことです。ボランティアの皆さん、ありがとうございました。

Photo_5  今年の目標は、第8回鎮魂復興市民植樹祭の成功はもとより、地球温暖化防止にも向き合っていきたいと思います。スウェーデンの環境活動家のグレタさんのメッセージに南相馬市から応えていきたいと思っています。「文明の岐路」に立っていることを感じとり、市民ができるアクションがグレタさんに応えることだと思います。

Photo_6  ところで1月6日、9年ぶりに常磐線富岡駅~浪江駅間の不通区間が開通し、特急電車が試運転されました。3月14日から営業運転です。待ちにまった運行ですので、少しでも復興に結びついてほしいと願っています。今年の第8回南相馬市鎮魂復興市民植樹祭は6月7日(日)に開催されます。私たちは脱原発を願う皆さん、鎮魂復興を願う皆さんとお会いできることを楽しみにしています。(応援隊 岩橋 孝)

2020年1月 9日 (木)

雪との戦いは辛いけれど、命に欠かせない恵みでもある雪

 世界中の国々が気候変動によって暮らしが脅かされています。今年の日本の雪国では積雪が少ないので冬の暮らしに支障がでています。雪と向き合ってきた方々にとっては、喜びとともに不安を感じているそうです。

3  私たちは、福島県只見町布沢集落の皆さんから集落の文化を学んでいます。窓口になっている刈屋さんからメールが届きましたので紹介します。

Photo         本日(9日)の布沢集落

「おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。“森の里ふざわ”に生まれて76年、正月に積雪10cm以下というのは初めてのことです。雪との戦いのない冬は夢に見てきましたが、その原因が地球温暖化であるというならば喜んではおれません。経済優先、アメリカ追従の安倍政権を一日も早く打倒しないと人類が滅亡してしまう。夏に大洪水や干ばつが襲ってこなければ良いと祈るばかりです。散歩してきた今日の布沢の写真を送ります。5月の「熱血サムライ井戸端会議」(仮称)を楽しみにしています」。

Photo_2          例年の布沢集落

 刈屋さん、メールありがとうございました。今年は、“森に寄り添って暮らしてきた布沢集落の文化”を未来の暮らしの常識になるような「井戸端会議」にしたいものです。

2 (理事 髙橋佳夫)

2020年1月 7日 (火)

森に寄り添った先人の知恵が詰まった「春の七草」

 本日は1月7日。松の内が明け、1年の安寧を願い玄関の松飾りやしめ飾りを片付けました。そして、お節料理で疲れた胃を休め、1年を健康に過ごせるようにと食べられる「春の七草」の日です。

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 7種の野菜(野草)を刻み入れた「七草がゆ」は、邪気を払い万病を除くともいわれ、野菜が乏しい冬に不足しがちな栄養素を補うという効能もあります。七草粥の風習は古く、中国の「七種菜羹」が日本に伝わり、日本文化・日本の植生と習合することで生まれたものと考えられているようです。
「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ・春の七草」は、胃腸や下痢、止血、アトピーなど薬効があり、自然(森)に寄り添って生きてきた先人たちが暮らしの中で得た知恵が詰まった食べ物だと知りました。
 しかし、生まれてこのかた「七草がゆ」を食べたことがなく、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)は近所にある農家の共同直売所で購入出来ますが、小寒のこの時期に家の近くの畑の畦を探してもセリやナズナなど他の5種を見つけることが出来ません。

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 スーパーに足を運び、野菜売り場を見ると「七草セット」が売っています。九州地方で生産されたものでしたが購入し、「七草がゆ」を作って食しました。セリの苦味がアクセントになり胃に優しい粥を美味しくいただくことができました。

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 現在は、冬でも野菜はふんだんにあり、キュウリやトマトなど夏野菜も店頭に並んでいます。ビニールハウス栽培や、温暖な地域で栽培された野菜など、地球上のどこからでも「食材」が運ばれてきます。「欲しいものがいつでも手に入る」生活は「便利」な一方で、熱帯雨林など森林が伐採され農地へ転用されたり、ビニールハウス内を「夏の気温」に保つための燃料や、海外からの輸入(空路・海路)に大量の燃料を消費し、温暖化ガスの排出を高めてしまいます。
 その結果が、昨年の台風15号や19号のように勢力を拡大させ、猛威を振わせてしまっているのではないでしょうか。「暮らしの見直し」をしなければなりません。

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 日本には四季があり、先人たちはその季節を感じ、その時期に採れる野菜を食してきたのだろうなと考えながら近所の野菜畑を見ると、露地栽培の“ほうれん草”は太陽の光を最大に吸収しようと葉を横に広げています。寒さに耐えられるように葉を厚くし糖度を増します。「緑臭い」「味が濃い」などと表現されますが、こうした野菜を摂ることで味覚、嗅覚、滋養が高められてきたのだと思います。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の風潮に染まらず、「欲張らず、必要な分だけ、地産地消の暮らし」を心がけた1年にしたいと思います。

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 足尾の「みちくさの庭」では、春を待つ草花がじっと寒さに耐えています。ヒガンバナやイチゴは緑の葉を広げています。ミツマタは鈴なりの蕾をつけ花開く日を待っています。
2020年は「パリ協定」の開始年です。世界のリーダーたちは自国の利益・権益を守るために対立しているようですが、「地球人」の視点を持ち、多くの森ともの皆さんと一緒に森を元気にしていきましょう。

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(筆者・清水 卓)

早過ぎる春一番に心がざわつく正月明け

 昨年末から森林火災が暮らしを脅かしているオーストラリア。熱波の影響で「非常事態宣言」が二度も発せられての暮らし。最高気温が49度を観測したと報道されています。赤道付近のインドネシアでは大雨による洪水で50名以上の命が奪われてしまいました。本日(7日)の天気予報をラジオで聴いていると、春一番が吹くという報道されています。今年も、新年早々から異様な天気の動きが気になります。

2           浅間山(6日)

 足尾スタッフの小井土英一さんから今年の抱負が届きました。小井土さんは、「松木の杜」「民集の杜」「臼沢の森」「新松木の杜」の木々は太く、大きく育っている。一昨年からは急斜面の草地の「臼沢西の森」に木を植えている。森づくりは15年間育てたこれらの森(杜)を案内したい。今年はオリンピック、パラリンピック開催年だから、世界各国から日本を訪れる人が多い。そこで原発に頼らず二酸化炭素削減に向きあう暮らしを考える“山と心に木を植える”心を伝えていきたい。今年は、その案内人を中心に行い、心身を鍛えたい」、と伝えてくれました。さらに、「森がざわつく 寒中の春一番」という句も。

Photo  なにやら新年早々、今年も“森に寄り添う暮らし”を探し当てなければならないようです。(報告 髙橋佳夫)

2020年1月 6日 (月)

2020年、足尾・松木沢の雪景色をどうぞ!

 明けましておめでとうございます。この一年も、森ともの皆さんと一緒に「地球温暖化にブレーキをかける森づくり」の取り組みを進めていきたいと思います。

 1月5日、目を覚ますと足尾の町は雪景色でした。車の屋根には7㎝ほどの雪が積もっています。しかも、まだ降り続いているので、今日の森作業に来る加賀、小川両スタッフに状況を伝え中止することにしました。

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 アパート周辺の雪かきをし、昼頃に松木沢に向かいました。雪が止み、気温が上がるとドンドン雪が溶けだしていました。皆さんに雪化粧した松木沢の姿を伝えたく、急いで”みちくさ”を目指します。

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 道すがら、二人のカメラマンと出会いました。それぞれ、雪景色や動物の写真を撮りに来たそうです。そして、気になっていた雪の中の足跡ふたつは”みちくさ”まで続いていました。入口のひさしの下で雪を避け、鳥の観察をしていた男女でした。突然の雪景色に興奮し楽しそうにしていました。

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 それでは、松木沢の雪景色をお届けします。単独行動でしたので、安全な場所から撮ったものばかりですが、お楽しみください。

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雪にかすむ足尾ジャンダルム(上)

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雪を抱く中倉山(上)

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臼沢西と臼沢(上)

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渇水期の松木川

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雪に埋もれる墓石

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雪雲の中の太陽

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落石の痕跡(銅精錬の滓・カラミ斜面)

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シンボルツリーを目指すクスノキの防寒

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森びと広場全景

 皆さん!年の初めに「今年の抱負」を打ち固めましたか? ”温暖化にブレーキをかけいくことは難しい活動”ですが、その気持ちは雪に埋もれることなく、情熱でその雪を溶かす勢いをもち続けましょう!今年も宜しくお願い致します。(足尾スタッフ 橋倉喜一)

2020年1月 4日 (土)

“森の木々”に新年のあいさつ。寒風に負けず森と生きる2020年をつくります。

 本日1月4日の旧松木村は快晴です。森びと広場・作業小屋10時の気温は1℃。時折寒風が吹き、風花が舞い、体感温度は氷点下に感じます。
 2020年初の足尾入りですので“森の木々”に新年のあいさつをし、弘永さんと本日の作業打ち合わせを行いました。今日は、苗床のポット苗への撒水と、遊働楽舎“みちくさ”のソーラー移設場所の整備を行うこととしました。

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 水源を確認すると沢はカラカラでした。奥の堰堤を見るとチョロチョロと水が落ちていますが、乾いた土に吸収されてしまうようです。

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 ですので、ハウス内のタンクに溜めた水を漏斗(じょうご)に汲み、ポット苗に撒水しました。給水をまっていた苗木たちは、うれしさを表すかのようにキラキラと輝いています。
この15㎝ほどの苗木たちは、寒さに耐え一生懸命ポット内に根を張り、大地に植えられる時を待っています。

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 撒水後は、ソーラー移設場所の準備です。単管、継手、大ハンマー、水平器などを準備し軽トラで“みちくさ”に移動しました。1mの単管を打ち込み基礎をつくろうとしましたが、予定した箇所に大きな石があり、場所を移動。鉄筋を大ハンマーで打ち下穴を開けようとしましたが表土が凍っていて鉄筋を打ち込めません。ツルハシを取りに行き、再チャレンジです。地表から10cmほどが凍土となっており、ツルハシで表土を剥がすのも大変でした。
 約2m四方に基礎となる単管を打ち込み、継手を使用して2mの単管を継ぎました。水平器を使い、水平を計りながら横に単管を取り付け、大まかな枠をつくることができました。

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 新年の森びと広場周辺では、サルの群れがエサを求め移動し、シカが草を食み、トンビが空を舞う姿を見ることができました。正月休みで工事の音も無く、静かな松木の里は、森に寄生する動物たちの“ふるさと”となっているようです。

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中倉山に陽が沈み、寒さも増してきたので各小屋の確認をして本日の作業を終了し帰途につきました。

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(報告・清水 卓)

私の2020年合言葉は「地球isハートランド」です

 明けましておめでとうございます。私は昨年「甲状腺がん」という病気に侵された。手術後は今までの様な暮らしができ、足尾の森作業にも行っている。先月下旬、「臼沢の森」最上段まで登ったが、少し疲れたが作業に自信がついた。

P1273263  新年を迎え、考えていることは少しでも多くの木を植えて、気候変動の暴走にストップをかけられないかである。先日、四国のある町に多くの外国人観光客が押し寄せているというテレビを観た。その人気は、そば打ちとそのそばを食べるという体験型イベントであった。さらに、初体験の力仕事で不平や文句は出ているが、少しばかりの汗を流して収穫した料理に参加者は満足そうに笑顔で帰っていくという番組を観た。どうやらそこには“非日常の体験”が共通点であるらしい。

P3210193  夏のオーストラリアでは火災が頻発し「非常事態宣言」が出されている。日本でも気候変動による温暖化の影響が毎年暮らしを脅かしている。この異常気象の猛威は植樹を始めた15年前とは違う。ならば森づくりは当時の延長線上では駄目だと思った。

P1272587  今年からの森づくりは地球温暖化に向き合っていただくことを体験してもらいたい、と思っている。地球から、森の中から私たち人間を観ることで温暖化にブレーキをかけるきっかけに繋がってくる気がしている。2020年の合言葉は「地球isハートランド」である。(事務局員 加賀春吾)

2020年1月 3日 (金)

森づくり運動の第2ステージを語り合いたい2020年

 「松木村 漆黒の闇に 冬の星」(松村宗雄)、山眠る 鹿の足跡 松木沢」(仁平範義)。この俳句は両氏が年末に送ってくれました。この句にはどんな思いや願いが込められているのでしょうか。

5  上の写真は銅の製錬過程で出た滓の堆積場跡です。私たちの森づくりは1902年頃に廃村になった松木村跡地で行っています。この地は、煙害で農作物が育たなくなり、現金収入源であった養蚕の桑の木が枯れる等で暮らしの糧が奪われてしまった所です。この堆積場の西側の草地に2014年から5年間、苗木を植えて森を育てているのが「民集の杜」です。5年前に植えた苗木は樹高5㍍程に生長し、生き物たちのゆりかごになっているようです。

5_1 故・岸井成格理事長の記念樹(ホウノキ)

 足尾の森づくりスタッフの半数は今年で古希を迎えます。その一人が仁平スタッフです。75歳になる松村宗雄さんは、「75という私にとってはひとつの区切りの数字。今年は、この数字を健康で迎える準備をする。健康なくして目的は達成できなということを体験した15年間でした。また、五感を感じるだけでなく、見る五感に今年からチャレンジしたい」、と松村さんの第2ステージを伝えてくれました。

5_2  古希を迎えたスタッフの気持ちは“森づくり活動の第2ステージ”生き方ではないかと思います。筆者もその一人として、「パリ協定」始動年の森づくり運動にチャレンジしていきたいと思っています。

5_3          昨年3月の事務局・スタッフ合同会議

 筆者のスローガンは、“脱原発・森に寄り添う暮らし(社会)を実現するために心をひとつにする運動”としたい。今年から10年間は、「温暖化を暴走させるのか否かの分岐点」と言われています。その1年目に生きるシニアとして、まずは第2ステージに起ってくれる森びと達と新年の盃を交わして、心をひとつにできればと思っている新年です。(副理事長 髙橋佳夫)

2020年1月 2日 (木)

森に寄り添う暮らしを持続させる人間の責務を果たしたい

 明けましておめでとうございます。地球温暖化にブレーキをかけ、未来の子や孫のために「温暖化防止運動」を世界に広める一歩を踏み出すことができましたでしょうか。

3            足尾のニホンカモシカ(2019年)

 昨年暮れの「森びと設立15年感謝の集い」では、15年間支えてくれた皆さんに森づくりの苦労を共にし、新たな希望を感じていただくことができたのではないかと思っています。足尾スタッフは、ふるさとを追い出された松木村村民の想いを心に描き、草木も生えなかった地に木を植え、最低3年間の草刈りを行い、わが子のように木々たちを15年間育ててきました。その木々たちはそれに応え、四季折々に彩り、今を生きるすべての生物たちに“勇気と希望”を与えていることでしょう。

3_2  新年を迎え、AIが人間の知性を超えるといわれる時代に、生物社会の中の小さな人間社会である人間を知り、最大公約数のAIのデータを考え判断することができる五感と知恵を磨き、自然界の想定外の警告と向き合っていくことが求められているのではないでしょうか。

5_2  2020年は「パリ協定」開始の年です。締約国の目標を達成しても、世紀末には人類の危機を迎えると言われています。地球に生きる人間として、これからもこの地球上で生きていくための人間としての責務を果たしていきたいと願っています。

3_3  私たちの足元をしっかり固めて、東京事務所一同は今年も森づくり現場からその運動をサポートしたいと思います。“森とも”のご多幸をお祈りします。(東京事務所一同)

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