« いのちの森を守る心がひとつになった秋の感謝デー | メイン | 生物の減少は私たちの暮らしの指標! »

2011年11月11日 (金)

未来の進路は“森と生きる”

Dscf8282 昨日、国土緑化推進機構主催、毎日新聞社共催、林野庁後援の第3回間伐材活用シンポジウム「木が育む文化、木と育む文化」が銀座・時事通信ホールで開かれました。来賓で出席された林野庁長官・皆川芳嗣さんは、「世界の陸域の3割しか森林がない。1700年代には5割だった」「森の恵みを生かした復興が大事な課題です」等とあいさつしました。続いて、シンガーソングライターの上田正樹さんの「緑の募金」東日本大震災復興支援コンサートが行われ、彼は心にしみる歌を熱唱しました。

Dscf8281 休憩後、環境考古学者の安田喜憲さんから「木とともに育まれた文化・文明」と題した基調講演が行われました。特徴的には、「森からは130キロヘルツにも達する高周波が発し、皮膚で感じ、脳幹に影響をしている。鳥や虫の声、川のせせらぎの音はドーパミンやセロトニンなどの脳内の神経伝達物質の分泌に深く関わっている」、「(3月11日の大震災で被災に遭われた方々の姿勢を見て)日本人の気高い心は未来に引き継ぐべき財産。これは人間が美しい自然と関わる中で培ってきた心です」、「私たちが稲作漁撈社会で生きるためには他人の幸せを考えながら生きていかないといけない」「植樹祭は来年から止めて、宮脇昭さんの推奨する緑の長城運動を国民運動に」等と訴えていました。

パネルディスカッションではNPO法人土佐の森・救援隊事務局長の中嶋健造さん、NPO法人森林(もり)をつくろう理事長の佐藤和歌子さん、そして森びとプロジェクト委員会の岸井理事長の3名が「木が育む文化、木と育む文化」と題して話し合いました。

中嶋さんは、地域に根ざした小規模分散型自伐林業システムの確立のために3月11日以降、岩手県で自伐林業を展開し、雇用の創出につながったことが報告しました。佐藤さんは、佐賀県でライフスタイルの変化によって木になじまない生活が普及し、森と人の生活が乖離しているので木の良さを知ってもらう活動をしている報告がされました。岸井理事長からは、2004年から始めた足尾と八幡平での山と心に木を植える活動趣旨、日本のナラ枯れを食い止める運動の拡がりについて、そして『サルと人と森』について報告がありました。

間伐材の活用法については、「仮設住宅は工業製品でなく、木材を使うべき」(佐藤)、「広葉樹も使うべきだ」(中嶋)、「炭焼きの復活」「公共施設などの建て替えの際は全て木材の活用を」(岸井)等の意見が出されました。聴衆者へのメッセージとして岸井理事長は、「外国の特派員が取材に来た際に、被災地を中心とする3月11日以降の日本人の冷静沈着さ・国民性はどこから来たのかと。歴史や伝統、文化に対する関心が非常に強い」、「(被災地の方は)全てを失っているのに、遠くから救援に来ている者は感謝を形で示せないのが残念でしょうがないのではないか」、と仰っていました。

Dscf8285 シンポジウムに出席してみて、森の恵みの素に暮らしてきた日本人であることを誇らしく思えたこと、この日本人の文化を決してなくしてはならないと感じました。(報告:小林事務局長)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/330076/27428235

未来の進路は“森と生きる”を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

森びと検索

最近のトラックバック