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2010年12月の16件の記事

2010年12月10日 (金)

見えない脅威から身を守るために

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 今日は農漁民たちの人権を守るために明治政府と闘った田中正造が明治天皇に直訴した日です。1901年の今日、足尾銅山製錬所からたれ流された鉱毒、煙突から排出された亜硫酸ガスによって犠牲となった農漁民と共に闘っていた日です。旧足尾銅山跡地で森づくりをしている私たちには忘れてはならない歴史であり、それは現代に活かすことでもあると思っています。

P3100065  地球上では人間によって自然が破壊され、「環境難民」と言われている何千万人もの方々が苦難な生活を強いられています。また、多くの方々は毎日の生活が不安につつまれ、人間の未来が見えない社会に生きているような気がしますし、未来を切り拓く私たちもバラバラになっている気もします。

 現代社会は、人間の幸せを願って未来を切り拓いてきた諸先輩(死後)と現世を「結」(ゆい:集落の住民が無償で労力を提供し合う風習)びつける協働を私たちに求めているようです。ノーベル賞受賞の報道が賑やかですが、科学の素晴らしい進歩があり反面、世界の異常気象による見えない自然の脅威から身(いのち)を守ることにそれは活かされていない気がします。

森への畏敬の念を持って森(自然)と接する心と森の共同体のひとりであることを改めて自覚して、諸先輩が求めてきた未来を近づける協働を実現することが新たな地平に繋がっていくような気がします。

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2010年12月 9日 (木)

フォーラム宣言を実現するために!

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 都心の木々も葉を落とし冬を迎える準備をしているようです。今日の午後はキャンパスフォーラム宣言を実現すべく林野庁と「日本の森を元気にする議連」事務局長・松浦大悟参議院議員に会ってきました。

 林野庁に向かう途中の日比谷公園内の木々は昼休みの人びとの心を最後の秋色で和ましているようでした。国会議事堂正面のイチョウも最後の黄金色を輝かせていました。ここでも木々の下では車の運転手たちへ安らぎを与えているようでした。

Pc091726  林野庁には「緊急要望書」に対する意向を伺ってきました。国有林を管理している皆さんもナラ枯れが全国的に広がっていることに心配しているようでした。議連の松浦参議院議員との話し合いでは「緊急要望書」の手続きと今後の議連の活動に関してお願いしてきました。人の心を和ませ、安らぎを恵んでくれる都心の並木や公園の木々に感謝の気持ちがあれば、緊急要望書などは提出しないですむのですが、と落ち葉を踏んできました。

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2010年12月 8日 (水)

約束は守るために、意思は実行するために!

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 今日の朝は群馬県榛名山、栃木県男体山に雪が降りました。自然の恵みを集めてくれる雪が降ると多くの生きものは静かにじっと恵みを待つ季節に入ります。八幡平・松尾鉱山跡地や足尾銅山跡地でもそのような季節となりました。先月30日の足尾森びと広場の朝陽(写真)はそんな気持ちにさせてくれました。

 暖かいメキシコではCOP16(国連気候変動枠組み条約締結国会議)が開催されていますが、いまのところ会議では2013年以降の二酸化炭素削減ルールが決まらないようです。世界各国では温暖化の影響による自然災害で何千万人が被災している、という状況なのに世界の主要国は国際公約を守る、守らない、あるいは議定書に参加する参加しないという体たらくです。

 森を育てるのも壊すのも人間の意思しだいです。109年前の今日、当時の田中正造さんは明治天皇へ直訴する意思を固めていたのでしょうか。遠方から聴こえる雄鹿の声を思い浮かべながら、森を愛する者の意思を固める年末にしていきたいですね。(朝陽の写真:田岡森びとインストラクター)

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2010年12月 5日 (日)

足元の森から元気にしよう!

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本日は丹沢での炭撒きを予定していましたが、所有者である神奈川県の許可を得られず、残念でしたが延期としました。炭撒きに協力を頂く予定でした方々には申し訳ありませんでした。あくまで延期ですので、私たちの考えるブナ枯れに対する炭撒き実証ができるようデータ収集をしていきたいと考えています。

 そのようなわけで、本日は山崎誠衆議院議員と藤野の雑木林の現地調査をしてきました。藤野は神奈川県の北西部にある相模湖周辺にあり、神奈川県民の水がめとして大切ないのちを支えているところです。また、このあたりは自然に恵まれ、クヌギやコナラなどを中心とした雑木林は日本の「森林浴の森100選」に選ばれています。

 藤野駅から15分ほど歩き、藤野園芸ランド遊歩道に入ると散策ができるコースが整備はされているものの、それ以外はほぼ人の手の入っていない雑木林でした。そこから15分ほど登ると平坦な道になりコナラなどが現れてきました。少し進んでいくと元気のないコナラを発見できました。多くの幹が2手に分かれ、片方だけが枯れており、幹にはキノコが生えていました。別のコナラの幹にはカミキリムシによるものと思われる穴があけられていました。元気のないコナラは総じて東側にあり、西側(中央道のある方角)には弱ったものは見受けられませんでした。

 先日、現地の役場の方に「ナラ枯れは出ているか」を電話で聞いたところ「まだ来ていません。ただ、時間の問題でしょう」と言われました。ナラ枯れの被害は28府県に及ぶと報道されていますが、それは自治体が林野庁に報告をするのを受けて発表をしているものであり、実際はもっと被害が出ているのではないかと思います。

 私たち森びとは現場に入り、五感を働かせて真実を掴むことを貫いています。今後も、山崎議員と現場主義で日本の森(神奈川県の森)を元気にする運動の輪を広めていきます。(森びと神奈川県ファンクラブ・小林敬発)

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2010年12月 3日 (金)

未来を切り拓く勇気を伝えてくれる諸先輩に感謝

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 今日、東京事務所では朝から雷と強風が吹き荒れました。その後は青空が顔を出して気温も上がり、少し歩くと汗が出るほどでした。おかしな天気だと思いながら、今日は先月のキャンパスフォーラムで誓い合った宣言(ホームページに掲載中)を実現すべく「緊急要望書」資料作りをしています。

Pb251685  気分転換に読んだ本には、「木を枯らす理由を調べたら、もちろん虫がたくさんついとるんです。それでじきに、“あ、これ虫が悪いんや”って簡単に決めつけてしまうんです。虫に言わせたら、“わしら、木い枯れて餌ができたからついてん”と言ってるんですよ。“分かります?”どうもこの日本の農学にはね、・・・昆虫学という学問が、どういうわけか理学部になくて農学部にあったあたりに大きな原因があるんですね。農学部の研究室では、虫が以下に悪いかというのを宣伝しないと研究費が出んのですよ。だから、みんなさんが習った大学の先生とか、そういう専門家には必ず虫を犯人扱いする癖があります。でも木が枯れる要因を探してみたら、果てきりなしに(限りなく)あるんですよ。ウメが枯れた。それを昆虫学者に調べさせたら〝虫がついたから枯れた”って必ず言いますよ。カビの研究者に頼んだら、これはカビやと言います。線虫の研究者が調べたら、必ず“線虫が根の先端についたからこの木は弱ったんや”とか、反対に“アルカリになったからや”とか言うて土壌の分析やります。なんか、それぞれの人がそれぞれの研究費でやっているかぎり、自分がやっていることがいちばん重要やと思っているから必ずこうなります。」(後藤伸講演録・『明日なき森』より)、と書いてありました。本を読み、未来を生きていくために苦闘している諸先輩に少しでも近づけたらと闘志が湧いてきました。

 後藤さんは最後に、「何故ウメを生かすように研究せんのかと思うことがあります」と書いていました。私たちは、日本の森を元気にするために研究者を総結集してナラ枯れの原意解明とその対策を即急に打ち出すことを政府与党に要望していきします。

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2010年12月 1日 (水)

アジア・アフリカから森の文化を発信?

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 時間の過ぎていくのが早く感じられます。もう今日から師走です。足尾ではCOP16が始まった29日、私たちは「アジア・アフリカ地域における後背地植生回復」研修を行いました。今年で4回目の研修にはインド、カザフスタン、ケニア、ラオス、ミャンマーの5か国から、日本でいえば国家公務員9名が足尾を訪れました。

Pb291750  29日ははげ山となった足尾銅山跡地での治山・緑化事業の歴史と私たちの森づくり、30日には臼沢の森900㍍地点での植樹実習を行いました。室内講義では高橋佳夫副理事長から、「市民レベルの森づくりができるのは数十年にわたる国や県の治山・緑化事業に携わった皆さんの労苦の賜物。莫大な費用をかけて100年以上もかかる事業は無駄ですから国の政策が極めて重要です」、と話され、環境問題は政治の課題であるので皆さんの考え方にかかっているという事を訴えました。

 Pb301769 30日の朝は雲ひとつない青空のもとで皆さんを迎えました。朝9時、事務局の仁平、宮原さんが日光市内に宿泊していた皆さんを迎え、足尾銅山跡地まで案内しました。現地では、苗づくり現場を案内し、背負子を背負って腐葉土、苗木等を植樹会場まで運び上げてもらいました。今年は途中でダウンする人はいなく、約200㍍の急こう配の階段をスムースに登ってくれました。参加者一人が二本の苗木を臼沢の森の西側に植えました。

Pb301762  植樹後の場では、参加者は潜在自然植生に基づく宮脇方式が荒廃地でいのちの森が育っていることを実感しているようでした。別れ際には、互いに世界各国からいのちの森をつくっていこう、と誓い合いました。皆さんと別れた後、事務局は植樹会場のチェックとイノシシに荒らされた植樹会場を整地しました。

 反省会はJR日光駅近くの寿司・「沼田屋」さんで行い、来年の抱負を語りあいました。沼田屋さん!美味しい稲荷ずしと楽しい話をありがとうございました。また、貴重な経験を提供していただいているJICA横浜、国際生態学センターの皆さんありがとうございました。毎年、英文の資料を提供していただいている林野庁・日光森林管理署の皆さんに感謝申し上げます。

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