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2009年7月の15件の記事

2009年7月10日 (金)

ラオスで実現したい命の森づくり

Pc020525  ラオス・ルアンブラバン県農林事務所からメールが届きました、という報告がありました。報告をしてくれたのは宮脇昭先生が所長を務めるIGES-国際生態学センターの研究員・矢ヶ崎朋樹さんです。
 昨年12月、当委員会はJICA横浜の依頼を受けて「アジア・アフリカ地域荒廃地の植生回復研修」を足尾で行いました。その時に記念植樹した苗木が元気に育っている様子の写真を、矢ヶ崎さんにお願いして全研修生にメールしていただきました。ラオスからのメール発信者は、この研修生の一人であるソンチャンさんからでした。矢ヶ崎さんが英文を訳してくれましたので、ソンチャンさんのメールを紹介します。
 「矢ヶ崎さん、お元気ですか?メールを送ってくれてどうもありがとう。写真付きのメールを受け取り、とてもうれしいです。私は日本のことを決して忘れません。とくに、(一緒に研修に参加した)私たちのチーム、足尾の高橋佳夫さんのチーム、そして、宮脇方式のことも。しかし、申し訳ないのですが、私のプロジェクトはすでに終了し、私自身も農林省の国家農林普及サービス局からルアンプラバン県農林事務所に転属となったため、宮脇方式を実行していません。けれども、できるだけ早い時期に、実行を試みます。よろしく。ソンチャン」、というメールでした。
 ソンチャンさんのふるさとの木による命の森づくりが早い時期に始まることを期待したいものです。このメールを読み、ラオスで森づくりが始まったら現地を訪れたいね、と矢ヶ崎さんに返信しました。来週は、フィリピンのNGOの皆さんと足尾現地に立って、荒廃地回復の活動に関して報告・討論を行います。
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2009年7月 8日 (水)

若木に爽やかな風を吹き込みました

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 今日から三日間は臼沢の森の下草刈りです。この草刈りはJREUの皆さんの協力で進められます。
また、4日後には第12回目の足尾・ふるさとの森づくりが行われるため、今日から11日までJREU大宮の組合員の皆さん、OBの皆さんがその準備に汗を流しています。
 今日の臼沢の森は蒸していました。樹木も草に覆われ、蒸されているようでした。今日の草刈りは昨年植えた森と07年に植えた森の草を刈り、若木に爽やかな風と太陽のエネルギーを吹き込みました。
 作業前は、鎌の研ぎ方を事務局スタッフ・岡安さんから教えられ、水を持って臼沢の森を登りました。汗だくの草刈りでしたが、全員怪我もなく草を刈ることができました。下山して「森びと広場」から臼沢の森を見ると、汗した結果が見え、草を刈ってくれた皆さんの顔には達成感が漂っているようでした。直後、「今日のビールは美味いなー」と言う声が飛び出し、皆さんの顔は丸くなった様な気がしました。
 午後四時頃には、ニイニイゼミの鳴き声は止み、松木沢から吹く風にのって“カナ、カナ、カナー”というヒグラシの鳴き声に変わりました。今年はじめてヒグラシの鳴き声を聴くことができました。間もなく、梅雨が明けるのかなー、と思いました。

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2009年7月 6日 (月)

現代を生き抜くには、私たちの多様性が求められている

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 昨日は、第2回「森びと塾」(東京)が横国大キャンパスで開かれました。天気は曇り、森散策には丁度よい気温の中で、24名の受講者は宮脇昭先生がつくった横国大の森を散策しました。ガイドは矢ヶ崎朋樹さん(IGES-国際生態学センター研究員)。後半は、横浜市内の教室で「生物多様性について」の討論を行いました。
 散策と討論では、インストラクターとして、NPO法人として人間が生きていく上で欠かすことのできない森との付き合いを、いかに多くの方々に伝えていくのか、を学んできました。例えば、1本1本の木を見るのでなく、木の実と鳥類との関係、土と土壌動物との関係、木と人間の関係など森全体を観ることの大切さを、矢ヶ崎研究員から学ぶことができました。今の時季、タブノキは実を付け、その実をムクドリ、ヒヨドリが食べていました。この鳥が実の皮を消化し、種だけが糞と一緒に運ばれ、地に落とされて8月の下旬には芽を出します、等々。
 後半は、村田塾長(理事)から「生物多様性について」の問題提起を受け、自由討論を行いました。討論では、「エコ商品買い換え運動」のおかしさ、政府が提案した温室効果ガス削減目標の疑問、このような現社会のおかしな流れに対して、森びとは何を目指すのか等の意見が活発に出されました。
 塾の最後に髙橋副理事長から、岸井成格理事長の言う、「文明の岐路に立っている」という視点から長期的な展望を持って、地球を駄目にした私たちの「非常識」を改め、森づくりを通じて心に木を植えていこう、と主旨の挨拶がありました。

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2009年7月 4日 (土)

情けない日本の温室効果ガス削減目標

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 足尾で植樹してから1ヶ月が過ぎました。僅か12~13㌢立方体のポットとの中で2~3年間も我慢していた若木が、参加者の期待に応えて23種・3361本は足尾の大地に元気な根を張っています。臼沢の森での辛かった黒土運び、松木の杜でのきつかった穴掘りと穴埋めでしたが、若木たちは雨と太陽からエネルギーの素を吸収しています。参加者のみなさん、ありがとうごさいました。
 先月、参加者から感想が事務所に届きました。「今回、はじめて参加させていただき、とても貴重な経験をしました。私たちは木がなければ生きていけないのに、木をたくさん伐って消費しています。そんな社会に生きて、人間が破壊した山に1本でも木を植えられた経験ができたことを幸せに思います。数十年後に大きくなった木に再会するのが楽しみです」と。(関東地区に住む若いアイヌ12名によるアイヌ語で歌い、伝統舞踊を踊るグループの一員・酒井美直さんより)
 足尾の植樹から10日後、麻生首相は温室効果ガス排出削減中期(2020年)の国内削減目標を、2005年比・15%にすると発表しました。発表前には、経団連や連合等に意見を聞いたそうですが、経団連と連合の意向は削減目標を上げないでほしい、という内容でした。削減目標は2005年が基準年ですが、2005年は京都議定書の排出目標から7%以上も増加しています。この年を基準年にしているのですから、世界各国からは失笑されても仕方がありません。その上、排出量売買による削減目標達成を図る、とした意図があるようでは、「世界の共通課題への認識の低さを示している」と言われるでしょう。(写真:上は臼沢の森、下は松木の杜。29日撮影)

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2009年7月 3日 (金)

約1万本の小さな命に元気の息吹を吹き込みました

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 先月26日と27日、みちのく事務所は苗分け作業を行いました。両日とも気温30度を超す猛暑でしたが、作業には延べ200名の皆さんが汗を流してくれました。
 事務局は長い冬眠から目覚める若木に期待をしていましたが、今年の苗床は異変が起きていました。苗床には何者かの“通り道”があちこちにでき、ポットには無数の穴が空いていました。トチノキの苗床を見ると、1本も芽が出ていません。全てのポットを掘ってみるとトチの実はひとつもありませんでした。ミズナラや栗の苗床にも同様のことが起きていました。私たちは唖然としました。
 しかし、元気に冬眠から目覚めた若木たちの苗を分けました。作業には、旧松尾鉱山で働いていた青木さん、中軽米さん、佐々木さん、そして6月6日の植樹(雨で中止)に参加してくれたauの社員のみなさん、八幡平市の市民のみなさん、JREUの組合員の皆さん達が駆けつけてくれ、苗木1本1本を丁寧に分けてくれました。苗分けは2日間で9812本行いました。猛暑の中、約1万本の小さな生命に元気の息吹を吹き込んでくれました皆さん、ありがとうございました。
 事務局は昨年からの今年にかけて起こった異変(食害)に関して、様々な方々のアドバイスを頂戴しています。苗床はネズミ等の棲息エリア内なので仕方ない、とは思いますが、人が森(自然)と共に、永遠に生きていくためには、私たちの知恵と努力を発揮しなければとその策を検討中です。

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